どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
505
俺がアヤネに森に連れて行かれて、何日もそこで野宿するのかと思ったあの日、俺の思いとは裏腹に直ぐに帰って来たあの日から……一週間が経った。
◇
「しっるくぅ。妖精コス似合うのぅ。イケイケじゃぞ」
「うん……ありがと」
今いるのはヴァームの部屋。
そこで相も変わらず俺にべたつくロア、そんな俺は……憂鬱だ。
ロアよ……今までお前の正体に気付いてやれなかった。
なのになんで、そこまで俺にベタベタ出来る? って、それは好きだからか。
こんな俺なんかの何処が好きなんだよ……。
「むぅ……。いつもの反応をせんなぁ。もっとこう……離れろ! とか、ベタベタするな! とか言ってくれんかの? さもなくばハグ以上の事を……」
「離れてくれ」
ニマニマするロアに素っ気なく言ってやると、ロアがきょとんとした。
「えぇぇ。なんか素っ気なくないかの? それに最近わらわを見ようともせん……」
……見ようとしないか。
それはな、申し訳なさから来てるんだよ。
見てたら色んな感情が沸いてくる、それも湯水の様にな。
ロアは昔にあった好きな人……ロアは俺の事が好き、夜中俺の為に色々と学んでくれている。
ロアはずっと俺の事が好き、そんなロアを俺は好きになって良いのか?
俺が全く気付いてくれなくて苦しんだ時もあっただろう……。
そう思うとやっぱり辛い。
って、何度その事を思ってるんだ俺は。
「もっとこう、がぁぁっ! って感じに言ってくれんか?」
「……うん」
「いや、うんて」
あぁ……ダメだな、こうしてロアの側にいるだけでも辛い。
「その……シルク? わらわ何かしてしまったかえ?」
「違う、そうじゃない!」
それは絶対ない、してしまったのは俺の方なんだ。
っ! しまった……大声出して驚かせてしまった。
「しっシルク?」
「あ、えと……ごめん。ほんと……可笑しいよな」
「え? あっあぁ……そうじゃな。ちと様子が変じゃな。くはははは」
……陽気に笑ってるな。
俺はロアの笑う姿を見て、心が大きく揺れた。
そして、ゆらゆらと揺らめく様に昔の事を思い出す。
ハナト、いやロアと初めてあった時だ。
それを鮮明に思い出す、あの時の笑顔、少し怒った顔、照れた顔、そして……俺に告白してきた時の顔。
その全てがロアと重なった、当たり前だ、当の本人が側にいるんだ。
「どうした? ついにわらわの魅力に気づいたかえ? 好きになってしまったか?」
……まだ、偽るんだな。
もう偽る必要は無いよ、お前は充分頑張ってる。
キラキラと眼を輝かすロアに対してそう思った後……俺は立ち上がる。
そしたらロアが不思議そうに見てくる。
……ごめんな、ロア。
俺が完全に悪いんだが、お前の側にいると……辛くなるんだ、だから……離れるよ。
そう思い、扉へと向かう。
そしたら、後ろから引っ張られる……転けそうになるが踏みとどまり、後ろを見ると……ロアが悲しい顔をしていた。
だが直ぐに、にこっと笑って服から手を離す。
一瞬だけ見えたロアのその表情を見た時、……胸が締め付けられる様に痛くなった。
ごめん、ほんとごめんな……。
何度もその言葉を心の中で繰り返し……俺は部屋から出ていった。
◇
「しっるくぅ。妖精コス似合うのぅ。イケイケじゃぞ」
「うん……ありがと」
今いるのはヴァームの部屋。
そこで相も変わらず俺にべたつくロア、そんな俺は……憂鬱だ。
ロアよ……今までお前の正体に気付いてやれなかった。
なのになんで、そこまで俺にベタベタ出来る? って、それは好きだからか。
こんな俺なんかの何処が好きなんだよ……。
「むぅ……。いつもの反応をせんなぁ。もっとこう……離れろ! とか、ベタベタするな! とか言ってくれんかの? さもなくばハグ以上の事を……」
「離れてくれ」
ニマニマするロアに素っ気なく言ってやると、ロアがきょとんとした。
「えぇぇ。なんか素っ気なくないかの? それに最近わらわを見ようともせん……」
……見ようとしないか。
それはな、申し訳なさから来てるんだよ。
見てたら色んな感情が沸いてくる、それも湯水の様にな。
ロアは昔にあった好きな人……ロアは俺の事が好き、夜中俺の為に色々と学んでくれている。
ロアはずっと俺の事が好き、そんなロアを俺は好きになって良いのか?
俺が全く気付いてくれなくて苦しんだ時もあっただろう……。
そう思うとやっぱり辛い。
って、何度その事を思ってるんだ俺は。
「もっとこう、がぁぁっ! って感じに言ってくれんか?」
「……うん」
「いや、うんて」
あぁ……ダメだな、こうしてロアの側にいるだけでも辛い。
「その……シルク? わらわ何かしてしまったかえ?」
「違う、そうじゃない!」
それは絶対ない、してしまったのは俺の方なんだ。
っ! しまった……大声出して驚かせてしまった。
「しっシルク?」
「あ、えと……ごめん。ほんと……可笑しいよな」
「え? あっあぁ……そうじゃな。ちと様子が変じゃな。くはははは」
……陽気に笑ってるな。
俺はロアの笑う姿を見て、心が大きく揺れた。
そして、ゆらゆらと揺らめく様に昔の事を思い出す。
ハナト、いやロアと初めてあった時だ。
それを鮮明に思い出す、あの時の笑顔、少し怒った顔、照れた顔、そして……俺に告白してきた時の顔。
その全てがロアと重なった、当たり前だ、当の本人が側にいるんだ。
「どうした? ついにわらわの魅力に気づいたかえ? 好きになってしまったか?」
……まだ、偽るんだな。
もう偽る必要は無いよ、お前は充分頑張ってる。
キラキラと眼を輝かすロアに対してそう思った後……俺は立ち上がる。
そしたらロアが不思議そうに見てくる。
……ごめんな、ロア。
俺が完全に悪いんだが、お前の側にいると……辛くなるんだ、だから……離れるよ。
そう思い、扉へと向かう。
そしたら、後ろから引っ張られる……転けそうになるが踏みとどまり、後ろを見ると……ロアが悲しい顔をしていた。
だが直ぐに、にこっと笑って服から手を離す。
一瞬だけ見えたロアのその表情を見た時、……胸が締め付けられる様に痛くなった。
ごめん、ほんとごめんな……。
何度もその言葉を心の中で繰り返し……俺は部屋から出ていった。
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