どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

480

シルクがラキュの部屋に行った時、ロアとアヤネは二人で風呂に入ってた。
ただ……距離が遠い。

お互いギスギスした雰囲気で一緒の空間にいた。


「……」

あぁぁぁ……もぅあれじゃ、日頃の疲れを癒す筈がドッと疲れてくるのぅ。
わらわの少し遠くにいるアヤネのせいでな。

くぅぅっ、こやつさえ居なければ今頃シルクとイチャイチャしてたのにぃ。
最近の失恋を経てから更にぐいぐい来るようになった。
じゃからうかうかしてられん。

早速今日の昼、一緒に行動してたらしいし……わらわも頑張らねばならん。
ぐぬぬぅ、昼間にマフラー編むんじゃなかったのぅ……いつも通り夜編めばよかったのじゃ。

「ロア」

そんな感じに悔しがってると、わらわの方を見ないで話し掛けてきおった。

「なんじゃ」

じゃからぶっきらぼうに答えてやる。

「……ちっちゃい頃、シルクの家に行ったの聞いたよ」

……ん? なんじゃと。

「えと、なんじゃ突然」
「シルクを覗き見て会いたくなったから来たって」
「えっえと……え?」

なっなんでその事を? 昔、シルクに会いに行った? まっまぁ……確かに会いには行ったが、なんでアヤネがその事を知っておる?
わらわ、言った覚えはないぞ。

「何処でそれを知った?」
「んぅ? えとね、盗み聞きしたの」
「ぬっ盗み聞き!?」

え、え、盗み聞きって……いつ? いつ盗み聞いたのじゃ? わらわ、あの時の話しした覚えはないぞ?

「いつ盗み聞いたのだ?」

とっ問いたださねばならん。
答えないとか言っても、無理矢理聞いてやろう。

「今朝」

うむ、やはり答えてくれんか……では問いただ……ふぁっ!?

「今朝ぁぁっ!?」

すんなり答えおった! いや、それよりも今朝じゃとぉぉっ!
え、え? えぇ……どっどゆことじゃ? 混乱して訳が分からん。

えと、つまりあれか? 誰かがわらわの過去の話をしたと言う事かえ?
……一体誰が? 全く検討もつかぬ。

「大声だすのダメ」
「え、あ。すまぬ」

くぅ……怒られてしまった。
いや、だって……驚いたんじゃもん、仕方ないじゃろ?

「えっえと、そのぉ……じゃな。誰が言ってた?」

反省はそこそこに、一番気になる事を言ってみた。
それが気になる、だから聞いておこう。

「らっ君だよ」
「…………」

らっ君……あぁラキュか。
アヤネはラキュの事をそう呼ぶからの。
そうか、ラキュか…………。

「ラキュぅぅぅっ!?」

え、えぇぇぇっ!? なにやっとんのあいつぅぅっ!
昔、言うなとあれほど言っておいたのに言ったじゃとぉぉ!!

「うん、そだよ。シルクに話してるの盗み聞きした」
「な! なん……じゃと」

おっ、おぉ……。
目の前がくらっとなったのじゃ。
まっまさか、シルク相手に言うとは……なんて事をしてくれたんじゃあいつぅぅっ!!

「で。昔会いに行ったのほんと? そろそろ答えて……あれ? なんで立つの?」

ゆっ許せん。
これは許せん、どんな理由があろうと許せんぞ。
今すぐ言って説教してやるのじゃ!
頭に血が昇ったわらわは、ばしゃばしゃと飛沫を上げながら風呂から出る。

アヤネはきょとんとしてそれを見ておった。

「待って、まだ答えて貰ってない」

じゃが、暫くして呼び止められてしまった。
なんじゃ、今忙しいのに……。

「あぁ。その通りじゃよ!」

面倒じゃから、キッパリと答えてやった。
その後は早足で出ていく。
出ていく時にアヤネがなんか言った気がするが……聞こえんかった。
正直、今はどうでもよい!

それよりもラキュの事の方が大事じゃ!
風呂場から出た後は、パパっと身体を拭いて、パパっと服を着た後は、パチンッと指を鳴らす。
すると、ぶわんっ……と不思議な音が鳴り目の前に青い空間が現れる。

わらわはそれを見るや否や飛び込んだ。
すると、その空間は瞬く間に消える。

ラキュ、部屋におるよな? おらんかったら探し回ってやる。
そして見付けたら……詳しく話を聞かんとな。

少し強めに叱ってやろう、あとお仕置きもせんといかんなぁ。
ラキュの部屋へワープする最中、わらわは不敵に笑う。
頭の中で、あいつが嫌がりそうな事を沢山思い浮かべる。
さて、どんなお仕置きをしてやろうか……ちと楽しみじゃの、くふふふふ。

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