どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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ロアはしようとしてる事を二人に話した。

「あらあら、人間界に……」
「へぇ。条件付きとは言え行くんだ……良く許してくれたね」

へぇ……って感じに話を聞いた二人、なんだか意外そうに相づちをうちあう。
そんな二人に対してロアは未だにじとぉっと睨む。

「なんで、お主等がここにいるんじゃ?」

で、聞いてみた。
それを聞いた二人は顔を見合わせてきっぱりとこう言ってくる。

「なにか面白い事が起きそうなので」
「面白い事が起きそうだからだよ」

微笑ましい笑顔を見せてくるラキュとヴァーム、おぉ……まさに他人事。
完全に楽しんでいる、そんな様子にピクピクと眉を動かしてイライラする。

「ふんっ。ちっとも面白くもないわ! わらわ、緊張で心臓が張り裂けそうやんじゃぞ!」
「ふふふ。そうですか……大変ですねぇ」
「ヴァームぅ、そんな事これっぽっちも思っとらんな?」
「さぁ? どうでしょう」

面白そうに微笑んだヴァームは、「ふふふ」と笑う。
苦しむ主人を前にしてるのに、性格が悪すぎる……。

「くっ、この従者は……」

ちっ……と舌打ちした後、ラキュを睨む。
そしたら彼も。

「で? 人間界に行って何するのさ」

そう言いながら笑ってきた。

「……お前なら察しがついてるんじゃないのかえ?」
「んー……ついてないね。さっぱり分からないよ」

ほんとか? そう思いながらラキュを見つめると、笑いかけてきた。
怪しさ抜群だ。

「ふふふ。ラキュ様、あまりからかってはいけませんよ」

と、ここでヴァームがラキュを優しく諭した。

「そんなの分かりきってるじゃないですか。ロア様はシルクと言う人間に会いに行くんですよ」

で、ロアの目的を言ってのけた、まさしくそうだ、見事的中である。
と、この時……まさか当てられるとは思って無かったのか。

「なっ! なななっ、なぜ……そっそれを!」

分かりやすく動揺した。
いや、なぜそれをって……ロアの今までの行動を見てれば少し考えれば予想がつく。
逆に何故バレないと思った? といってやりたい。

「あぁ。やっぱりそうなんだぁ……ふぅん、会いに行くんだ、へぇぇ」
 
煽るようにロアを見つめるラキュは脚を組んで微笑んだ。
すっごく楽しそうだ、まさに丁度良い玩具でも見付けたかの様な顔をしている。

「なっ、なんじゃ……なにか言いたい事でもあるのか!」
「え、もちろんあるよ。人間界に行って、その人間に会ってなにするのさ。それと……なんの目的で行くのさ?」

ほんとうに意地悪な弟だ。
完全に分かってて聞いている、ロアも答えようとしなくても良いのに。
それを聞いて、答え辛そうに顔を真っ赤にしてうつ向いてしまった。
そんな2人を見てるヴァームは「あらあら」と言って微笑んでいる。
いやいや、微笑んでないで止めてあげろよ……。

「もっ目的って……それは、その……あれじゃよ」
「あれじゃ分からないよ」
「っ。うぅぅぅ」

ほら、ロアが半泣き状態になってしまった。
だがそれでもヴァームは止めようとしない、この場にはSしかいないのか?

「こっ告白じゃよ!!」

と、ここで色々と耐えきれなくなったのか、叫んでしまった。
しかも、堂々と目的を言ってのけた……頑張った。

「……へぇ、告白か。本気なの?」
「ほっ本気じゃよ!」
「会ってもいないのにするんだ」
「あっ会ったのじゃ! じゃから問題ないじゃろ!」
「いや、会ったって……。それ、姉上が一方的にこっそりその人間の寝顔見ただけじゃん、向こう姉上の事知らないじゃん」
「はぐぅっ!!」

まさに鋭い突っ込みとはこの事か。
痛いところを疲れてしまった、まさにその通りである。

「……まぁ、うん、あれだよ。会うだけ会ってみれば良いさ」
「あっ会うだけじゃダメじゃ! きっきちんと告白するんじゃ!」
「……くははは。面識ないのに告白か、気が早いんじゃないの?」
「っ、うぐぅぅ……」

二度目の鋭い突っ込みが炸裂した。
ロアは渋い顔をして胸を押さえる、まさか……その考えは頭になかったのか?

だとしたら、ラキュの言うとおり……気が早すぎる。
色々とやるべき順序をすっ飛ばし過ぎてる。

「告白とか会って告白して終わりじゃないのか……」
「当たり前じゃん。ねぇヴァーム」

ラキュに話を振られたヴァームは力強く頷く。

「はい、その通りです……大変なんですよ? 告白と言うものは」

おぉ……既婚者がこれを言うと、言葉に重みを感じる。
そう、告白とは大変なのだ。

「……くっ」

まるで苦虫でも噛み潰したかの様な顔、それを見てラキュとヴァームは苦笑した。

「ま、予想はしてたけど……なんにも考えてなかったんだね」
「色々と追求して正解でした」

更に、この言葉により更にロアの顔は険しくなる。

「わっわらわとて、なにも今すぐ行くつもりなんて無い……」
「え、そうなんだ」

へぇ……意外だね。
とラキュが思った瞬間、ロアはカァァッと顔が紅くなった。

「いっいざ会うとなると恥ずかしいじゃろ? じゃからな……へっ変装でもしようと思うんじゃよ、くははははは」

軽快に笑いながら、むんっ! と胸をはる。
まさしく、どうじゃ? 良い案じゃろ? と言いたげだ。
だがしかし、この言葉を聞いたラキュとヴァームは悟った。
こいつ、間違いなくこの期に及んで怖じけずいたな? と。
散々行く行くと行って、隠れて行くことも会ったのに変装して行くと抜かした。

……今になって会うのが緊張してきたのだ。
だから条件付きで、小細工なんてしてる暇も無いのに変装すると言い出した。

さぁて……大変な事になってきた。
ロアが人間界に行くのは、どうやらもう少し先になりそうだ……やれやれ、ロアは色々と周りに苦労を掛けるなぁ、そう思ってしまう一時であった。

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