どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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私の名前はアヤネ ブレイブ、まだまだ遊びたい!そう思うってる永遠の20歳、黒髪ポニーテールで身長は165……かもしれない、最近計ってないから分からない…だけど、それで合ってると思う。
さて、私だけど実は名のある剣豪の家庭に生まれたの、そんな私はとても不幸だと思ってる…だってあんまりのんびり出来ないからだ。
来る日も来る日も剣の稽古だもん……そんな生活が面倒臭くなったから家から飛び出した、若き乙女は汗臭い修行は受け付けない身体だから仕方無い事……だと思う。
さて、はっきり言わせて貰うと私は家出している! 因みに家を出て3年位経っている、だからもう家出のプロだ、誇って良い事……だと思う。
お金を持たないで家出をしたので頭の良い私は近くの森に行ってご飯を採ったりして自炊している、凄いでしょ? えっへん! ん? あれ? これ威張ったら駄目な奴かな? まぁいいや……そんな話しは一旦置いておいておく。


突然話しは変わるけど、今私は街にいる。

「あら奥様ごきげんよう」
「あらあら奥様ごきげんよう」

様々な露店が建っている街並みに色んな人が歩いている、お店の人の掛け声や子供の楽しげな声、そして中には井戸端……ん? 此処は道端だから、道端会議をしているおばさんがいたりする。

「今日は何処にいるかな?」

今私がこの場にいる理由は1つ……ある人を探している、周りをくまなく見渡して探し人を探す、何時もなら此処で店を開いてる筈……今日は大事な様があるから何としても会わないといけない、何処にいるんだろう……っ! 見付けた……少し遠くにシートを敷いて薬草と動物の皮を売るお店、周りにも色んな露店が開いているけど周りと比べたら一際質素な露店……その店を開いてるのが私の探している人だ。

「ん、誰かいる……子供?」

良く見ると側に子供がいる、女の子だ……何だか親しげに話してる、褐色肌の紫色の長い髪の毛……頭から透明のレースを被ってる、高級そうな白い衣服を着てる……しかもきらきら光ってなんだか周りと品が違うなぁ……と感じる私、あっ……丈がおへそまでしかない、子供なのにへそだしするなんて……おませなお年頃かな? 腕には金の腕輪……首にも掛けてる、なんてりっちなんだろう……羨ましい。
私あんな綺麗な服着た事ない……1度で良いから着てみたいなぁ、何時もはこの鉄の鎧ばかり着ているの、だからあんな綺麗な服に憧れるのは仕方無いよね?
いや今はそんな事はどうでも良い、問題はシルクが小さな女の子と一緒にいる事だ……幼馴染みで知らなかったけど……シルクは実はロリコンだったのか! 知らなかった、私と言う物がいながらいけない男だ文句いってやる! と思っていたら小さな女の子は何処かに行っちゃった……好都合だ! いざ突撃っ!

「シルク、あの女は誰?」

シルクに近付いて横から話し掛けて見る、まだ私には気付いていないみたい。

「俺が知る訳無いだろ……!」

普通に喋った後ようやく気付いた……驚かしちゃったみたいだ、でもその表情可愛いなぁ。

「アヤネか…」
「そう、私…」

皆には紹介しないといけない、この人は私の幼馴染みのシルク ハーベストと言う男の娘だ、見た目は女の子に似てる、いや女の子と言っても良い位のクールビューティーな容姿だ、あぁ可愛い……。
性格はとっても優しい、そう言う所が私は大好きだ、常に少し鋭い目付きをして怖いイメージがあるけど全くそんな事は無い、シルクは喧嘩嫌いの平和主義者なのだ。
そんな彼は1人暮らし、実家は街外れにあるみたいだけど夢の為に家を出たらしい……私と違って偉い人だなぁ。
よし紹介はこれ位で良いかな? ならばやる事をやってしまわないといけない、私はシルクを見つめつつ両手でシルクの艶のある右手を掴む、あっ……また驚いた、肩を小さく震えさせて可愛い……。

「シルクはちっちゃい女の子が好きなの?」
「お前は阿呆か?そんな訳あるか…」

小首を傾げながら聞いてみたが気持ち良い位に否定されてしまった……誤解してしまったみたい反省しなきゃ。

「そう…」

誤解なら良かった、私は安心して胸を撫で下ろす、ん? 誰か此方に来るみたい……!!

「あっ…シルクちょっと動かないで」

私はささっとシルクの背後に身を潜める、ちぃっ……こんな所まで探しに来るなんて、シルクの後ろに身を隠しながら様子を見てみる、そこには屈強な鎧を着た大男がきょろきょろと辺りを見ながら露店内を歩き回っていた。
こんな所に家の兵士を来させてぇ、黙って家の見張りでもさせてれば良いのに……しつこいお父さんめ。

「アヤネまだ家出してるんだな」
「うん」

と、イライラしてる時だシルクが私に聞いてきた、その通り! まだ継続中……続けられてるのはシルクのお陰でもある、シルクは私の味方……色々と助けて貰ってる、何時か必ず恩返ししないといけない……頑張ろう!

「行った?」
「まだだ、もう少し隠れてろ」

もごもごと動く私を声で制止するシルク……なんか長い時間じっとしてるのって苦手だ、早く行ってくれないかな。

「シルクの背中…」

少し焦れったいのでシルクの背中をじっと見てみる。

「何だよ、猫背だって言いたいのか?」
「違う…後ろ姿が女の子だなって」
「このままアイツ等に引き渡しても良いんだぞ?」
「…ごめん」

おっ怒られてしまった……誉めたのに、女の子に見られるのは誇って良い事だと思うんだけど気に触ったみたい、! あいつ等何処かへ行った。

「行ったぞ…」

その言葉を聞いてシルクの真正面に移動して座り込む、感謝の気持ちを伝えないと!

「ありがと…」
「おぅ」

あれ? 何か一瞬怒ってた見たいだけど……顔を赤く染めちゃった……風邪かな? 考えても分からないや……と、その時お尻に違和感を感じて下を向いてみる。

「あっ、思いっ切り商品の上に座ってた、ごめん…」

あぁやっちゃった……商品がぐちゃぐちゃになってしまった。

「今、気付いたのかよ」

呆れるシルクを見て申し訳無い気持ちになる、直ぐにそこから退く、うぅ……注意が足りなかった、反省しないと……あっそうだ、今日はシルクに用があるんだった。

「実は、今日はお願いがあって此処に来た」

気を取り直して真っ直ぐシルクを見つめる。

「………」

その要件を伝えようとした時、シルクは瞬時に嫌そうな顔をした、何でそんな顔をするんだろう? まぁいいや言おう。

「お金を下さい」
「ストレート過ぎるだろ…」

私はシルクに抱き付きながら言う、だけど直ぐに引き剥がされて凄く睨まれた……むぅ駄目か、色仕掛け失敗しちゃった。
これまでに何度かシルクにお金を貸して貰って1度も返してないから断られるのは当たり前だよね、やっぱり家出するならお金は事前に用意するべきだった、でもそろそろ私はお金が無いと大変だ! もう一度頼んで見よう、今度は手を合わせて頭をぺこりと下げて御願いする、そして秘密の言葉を言う、これを言えばお金を貸して貰えるかもしれない!

「今度は絶対に返す」
「アヤネよ…その言葉に信憑性があると思うのか?」
「ある」

あっ、苦笑した……これは駄目かな? そう言えばこの手を使ったのは10回目だった。

信じて貰えないのは仕方無いよね? はぁ……失敗した。

「すまんが力になれない、俺だって苦しいんだ」
「そう…分かった」

完全に私が悪いのにシルクは謝って来た、そうだよね……シルクだって生活が厳しい筈、私ったら自分の事ばっかりだった、シルクに頼り過ぎた……でも仕方無い、だって好きだから頼りにしてしまうんだもん。

「断っておいて何だがこれからどうするつもりだ?」

心配そうに聞いて来るシルク……本当に優しい人だ、でも心配には及ばない。

「別のプランがあるからそれを実行する、出来ればもう少しフラグを積んで置きたかったけど……」

その言葉を聞いて安堵したのか、にこっと笑うシルク……あぁもうっ可愛いなぁ。

「そうか……大丈夫そうで何よりだ」

そんな表情を見たら意地悪したくなって来ちゃった、少しからかって見よっと。

「シルクって素っ気ない様で心配性だよね……」
「んなっ!そんな事あるか!」

ふふっ……からかったら直ぐに顔を赤くしちゃった。

「じゃ、私は行くね…お店、頑張って」

よしっ、意地悪は終了。

「あぁ…アヤネも頑張れよ」

私はこれから例のプラン実行の為に色々しないといけない……シルクのお店から立ち去った後、私はシルクの方に振り替えって私はシルクに手を振る、ちゃんと手を振り替えしてくれた、よし……頑張らないと! 私は意気揚々と街の中をかけていく、シルク……びっくりするかな? この計画はシルクとの距離を一気に縮める計画……そうしたら私はシルクと結婚……えへへ、そうなれたら良いなぁ。


と、うきうき気分の私であったが……残念ながらその計画は失敗に終わった、シルクが誰かに誘拐された…かも知れないからだ、シルク……本当に何処へ行ったの? 手掛かりさえも見付からない私は既に路頭に迷っていた、だがこの時の私は知らなかった、近々私はシルクに会う切っ掛けを与える人物に出会えると言う事を……。

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