どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
419
前にいるラキュを見つめる。
一体何をするのか分からない……不安だ、こんな状況で変な事をする奴じゃないんだが、それでも不安を感じる。
アヤネの後ろにいるクータンを見てみると、緊張してるのか震えていた。
いつも通りの被り物と服装、クータンの方は何時も通りみたいだ。
「元気そうだね、アヤネ」
俺達以外誰もいない城下街地下にラキュの声が響いた。
「ん、私は……元気」
「そう、良かった」
何気無い会話だ、もちろんこれで終わるわけが無い。
さっきラキュは、意味深な顔をしていた。
だから……だから何か凄いことを言うはずだ……と勝手に予想してるが、実際どうなのか分からない。
あぁ、見てるだけなのにドキドキしてきた。
アヤネの方はどうなんだ? そう思って、よぉく見てると、きょとんとしていた。
「まずはさ、空気読まずに割り込んだのを謝るよ。ごめんね」
「……ん、別に良いよ。気にしてない」
うん、それに関しては俺も同じだ。
「そう、じゃぁ手早く話そうかな。妙に焦らすのは好きじゃないからね」
ごくっ……。
思わず唾を飲み込んでしまった、緊張の瞬間だ。
見てるだけなのに、汗掻いてきた。
「アヤネ」
「なに?」
「好きだ」
なっ、ななっ、え? 妙な真剣な雰囲気出してるなぁ、と思ってたが……こっ告白? 今、告白したよな?
いっ言いたい事ってそれか! それが言いたかったのか!
「らっららっ、らっ……君?」
顔真っ赤のアヤネ、流石にこの展開は予想外だったんだろう。
非常に慌てている、それは俺も同じだ、慌てて口をあんぐり開けたまま間抜けな顔してるよ。
「驚いた? って聞かなくても分かるよ。驚いたよね」
「うっ……うん」
くふふふ、と笑ったラキュはそのまま、ビシッ! とアヤネを指差す。
「あ、勿論シルク君の事が今でも好きなのは知ってるよ。敢えて言ったからね」
「え、あ……うん」
ピクリっと反応するアヤネ。
……なんか凄いことを言ってるな、違う人が好きなの分かってて告白したのか、すっ凄いな……ラキュ。
「だからさ、家に帰るなんて言わないでよ? 僕が帰さないから、迷惑だと思っても構わないよ。好きにさせる自信……ある、からさ」
普段聞かないくらいキザな台詞だ。
こんなの、俺の知る限りヘッグしか言った事がないだろ。
……いや、そんな事はどうでも良い。
ラキュが、あんなキザな事を言うなんて……あ、でも最後ら辺、恥ずかしくなったのか声小さくなったな。
あれか? 言うのが恥ずかしかったのか?
「…………」
そんなラキュの言葉に無言のアヤネ。
表情は……さっきと同じで何とも言えない感じ、もしかして状況分かってない感じか?
「あぁ、えと……。此処にいなよ、じゃないと困る。じゃ……僕はもう行くよ」
ラキュはこっちを向いて、足早に俺の方に向いてくる。
そして……俺を横切って帰ってしまった。
凄い速さだ……よっぽど恥ずかしかったんだな、この空気に耐えられなかったんだな、なんとなく分かる。
実はこの時の横切り際に「つっ次は、シルク君の番だよ」そう呟いていた。
……なっなんだろう、この感じ。
さっきまでガチガチに緊張してたのに、良い感じに解れてる。
とっ取り合えず行くか、このまま、ぼぉっとしてるのは良くないからな。
という訳で、てくてく歩いてアヤネの側まで行く。
「……」
で、側に近付いたのは良いんだが……何言って良いのか分からなくなった。
どっどうしよう……この空気で、俺の想いを伝えるのか? いやいやいや、無理無理無理。
伝えるにしては空気が変な事になってる。
なっなんとかしないと……くそっ、ラキュめ……告白したのは良いが、変な空気にするんじゃない! 俺、これから大事な事を言うんだぞ!
「告白……」
「え?」
びっくりした、ぽつり……と、小声でアヤネが喋った。
なんて言ったんだ?
「告白……された」
「おっおぉ、そう……だな」
「されたの……初めて」
「そうか」
「うん」
……。
少し恥ずかしそうに眼を細めるアヤネは、手と手を重ねる。
「らっ君……顔真っ赤だった」
「そうなのか? 後ろ姿だったから分からなかった」
「うん、真っ赤っかだったよ。リンゴみたいだった」
ほっほぉ……それは見てみたかったかも。
「面白かった」
「面白かったのか」
「うん」
にぃっと笑うアヤネ、俺も釣られて笑った。
あ……今、アヤネが笑った。
久し振りと言うのは大袈裟かもしれないが、敢えて言わせてもらう。
久し振りにアヤネの笑顔を見た。
そしたら俺の心が暖かくなった、いつものアヤネに戻ってくれた。
「ふふ……」
その事に感激してると、俺に向かってはにかんだ。
その瞬間、言うなら今だ……そう思った。
よしっ、心の準備は出来ている……伝えるか、俺の気持ちを。
一体何をするのか分からない……不安だ、こんな状況で変な事をする奴じゃないんだが、それでも不安を感じる。
アヤネの後ろにいるクータンを見てみると、緊張してるのか震えていた。
いつも通りの被り物と服装、クータンの方は何時も通りみたいだ。
「元気そうだね、アヤネ」
俺達以外誰もいない城下街地下にラキュの声が響いた。
「ん、私は……元気」
「そう、良かった」
何気無い会話だ、もちろんこれで終わるわけが無い。
さっきラキュは、意味深な顔をしていた。
だから……だから何か凄いことを言うはずだ……と勝手に予想してるが、実際どうなのか分からない。
あぁ、見てるだけなのにドキドキしてきた。
アヤネの方はどうなんだ? そう思って、よぉく見てると、きょとんとしていた。
「まずはさ、空気読まずに割り込んだのを謝るよ。ごめんね」
「……ん、別に良いよ。気にしてない」
うん、それに関しては俺も同じだ。
「そう、じゃぁ手早く話そうかな。妙に焦らすのは好きじゃないからね」
ごくっ……。
思わず唾を飲み込んでしまった、緊張の瞬間だ。
見てるだけなのに、汗掻いてきた。
「アヤネ」
「なに?」
「好きだ」
なっ、ななっ、え? 妙な真剣な雰囲気出してるなぁ、と思ってたが……こっ告白? 今、告白したよな?
いっ言いたい事ってそれか! それが言いたかったのか!
「らっららっ、らっ……君?」
顔真っ赤のアヤネ、流石にこの展開は予想外だったんだろう。
非常に慌てている、それは俺も同じだ、慌てて口をあんぐり開けたまま間抜けな顔してるよ。
「驚いた? って聞かなくても分かるよ。驚いたよね」
「うっ……うん」
くふふふ、と笑ったラキュはそのまま、ビシッ! とアヤネを指差す。
「あ、勿論シルク君の事が今でも好きなのは知ってるよ。敢えて言ったからね」
「え、あ……うん」
ピクリっと反応するアヤネ。
……なんか凄いことを言ってるな、違う人が好きなの分かってて告白したのか、すっ凄いな……ラキュ。
「だからさ、家に帰るなんて言わないでよ? 僕が帰さないから、迷惑だと思っても構わないよ。好きにさせる自信……ある、からさ」
普段聞かないくらいキザな台詞だ。
こんなの、俺の知る限りヘッグしか言った事がないだろ。
……いや、そんな事はどうでも良い。
ラキュが、あんなキザな事を言うなんて……あ、でも最後ら辺、恥ずかしくなったのか声小さくなったな。
あれか? 言うのが恥ずかしかったのか?
「…………」
そんなラキュの言葉に無言のアヤネ。
表情は……さっきと同じで何とも言えない感じ、もしかして状況分かってない感じか?
「あぁ、えと……。此処にいなよ、じゃないと困る。じゃ……僕はもう行くよ」
ラキュはこっちを向いて、足早に俺の方に向いてくる。
そして……俺を横切って帰ってしまった。
凄い速さだ……よっぽど恥ずかしかったんだな、この空気に耐えられなかったんだな、なんとなく分かる。
実はこの時の横切り際に「つっ次は、シルク君の番だよ」そう呟いていた。
……なっなんだろう、この感じ。
さっきまでガチガチに緊張してたのに、良い感じに解れてる。
とっ取り合えず行くか、このまま、ぼぉっとしてるのは良くないからな。
という訳で、てくてく歩いてアヤネの側まで行く。
「……」
で、側に近付いたのは良いんだが……何言って良いのか分からなくなった。
どっどうしよう……この空気で、俺の想いを伝えるのか? いやいやいや、無理無理無理。
伝えるにしては空気が変な事になってる。
なっなんとかしないと……くそっ、ラキュめ……告白したのは良いが、変な空気にするんじゃない! 俺、これから大事な事を言うんだぞ!
「告白……」
「え?」
びっくりした、ぽつり……と、小声でアヤネが喋った。
なんて言ったんだ?
「告白……された」
「おっおぉ、そう……だな」
「されたの……初めて」
「そうか」
「うん」
……。
少し恥ずかしそうに眼を細めるアヤネは、手と手を重ねる。
「らっ君……顔真っ赤だった」
「そうなのか? 後ろ姿だったから分からなかった」
「うん、真っ赤っかだったよ。リンゴみたいだった」
ほっほぉ……それは見てみたかったかも。
「面白かった」
「面白かったのか」
「うん」
にぃっと笑うアヤネ、俺も釣られて笑った。
あ……今、アヤネが笑った。
久し振りと言うのは大袈裟かもしれないが、敢えて言わせてもらう。
久し振りにアヤネの笑顔を見た。
そしたら俺の心が暖かくなった、いつものアヤネに戻ってくれた。
「ふふ……」
その事に感激してると、俺に向かってはにかんだ。
その瞬間、言うなら今だ……そう思った。
よしっ、心の準備は出来ている……伝えるか、俺の気持ちを。
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