どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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「なっなんで、パパと……ママが?」

パチクリと目を開け閉めするアヤネ。
相当驚いてる、そんなアヤネにフドウさんとシズハさんはニコリと笑う。

「久し振り、アヤネちゃん」
「久し振りだな」
「うっ……うん。ひっ……久し振り」

おぉ、すっごく困惑してる。
そして、俺の方をみる。
「どういう事なの?」って顔をしてる。
その後また、フドウさんとシズハさんを見る。

「なにが、なんだか、分かんない」

頭を抱えるアヤネ。
大分困ってる……えと、ここは何か言った方が良いのかもしれない。
大分焦ってるからな、もう汗ダラダラ掻きまくってるじゃないか。

「アヤネ、実はな……」

俺は今までの事を話した。
アヤネは目を丸くして、話を聞いてくれた。

「……と言う訳なんだ」
「へぇ。だから……ここに、いるんだ」

ぽへぇとするアヤネは何度も頷く、そして……。

「えぇぇぇぇぇっ!!」

と、大声を上げた。
そして、身体を震わせながら立ち上がる。
その後、走り出そうとする……しかし!

「ダメよぉ、アヤネちゃん。食事中に走っちゃお行儀が悪いわよぉ」
「そうだぞ」

フドウさんとシズハさんが肩を掴んで阻止する。
逃げようとしたけど無理だったな……。

「ひゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

そんな叫びを最後にアヤネは、フドウさんとシズハさんに連れられて出ていってしまった。
と言うか、寝起きなのに良くそんな大声出せるなぁ。

「アヤネ、少し話をしよう」
「やだ」
「ワガママ言っちゃダメよ? お話しましょうねぇ。怖くないですよぉ」
「やだぁぁっ!!」

暴れるアヤネを2人がかりで持ち上げる。
凄い、あのアヤネを抑えている……流石はアヤネの親、力は上と言う事か。

……いや、そんな事思ってる場合じゃないか。
えと……どうしよう、俺はこのままアヤネが暴れる様を見てて良いんだろうか?

腕を組んで考えてみる。
んー……まぁ、ここはあれだな、親に任せるべき所だな。
という訳で、俺は黙って観ていよう、そもそも、アヤネの父さんと母さんが来てる時点で話し合わなきゃならないのは確実なんだ。

それが今、目の前で起きている。
それで良いじゃないか、という訳で、アヤネ……頑張れ。
きちんと話してこい。

「シルク! 見てないで助けて!」
「…………」
「なんで目線反らすの? 酷いっ、後で仕返ししてやる!」

すまんな……アヤネ、もう一度言うぞ、がんばれ。

「じゃ、みんな。私とふぅちゃんは、アヤネちゃんとお話してきまぁす、と言うわけでまたねぇ」

暴れるアヤネなんて気にしていないシズハさんがそう言うと、そのまま部屋から出ていってしまった。
その間、アヤネは騒いだ……だけど抜け出せなかった。
……この後のアヤネの運命が心配だ、黙って見ていた俺が思うのもなんだけどな。

「あれ。大丈夫じゃよな? なにかとんでもない事をされそうなんじゃが……」

俺を含めた皆がぽかぁんとしてるなか、気まずそうな顔をしてロアが話し掛けて来た。

「大丈夫じゃないか? 話するだけみたいだし」
「そっそうか。そうじゃと良いんじゃが……なにやら説教が始まる気がしてならんのじゃ」
「……それ、当たってるかもな」

まぁ、それは確実だろう。
親に心配かけたんだからな……だが、俺が心配してるのはその後。

アヤネはもしかしたら……ここから出ていく事になるかも知れない。
その事を考えて、俺は難しい顔をする。

……アヤネ、お前はシズハさんとフドウさんが「帰るぞ」と言ったら……どう答えるんだ?

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