どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

63

ラキュが余計な事を言った直後、ロアの様子は急変した。

「なっなななっ何を言い出す馬鹿者ぉっ!」

顔を赤くしたまま叫び出すロア、突然あんな事を言われたらそうなるよな……。

「あれ、何で姉上が恥ずかしがるの?」

始まってしまった地獄の時間……ラキュよ、ロアもからかってくるとは予想外だ、と言うか後で絶対に覚えておけよ?

「はっはじゅかしがってないわぁ!」

で、からかわれたロアは、もう噛み噛みだ……視点も定まっていない目がくるくるしている、誰が見ても恥ずかしがってると分かってしまう、もう口元に付いてるソース、自分で取れば良いんじゃないか?

「最初は乗り気だった癖に……」
「だっだってお前がシルクに舐めて貰えって言いおるから……」

そう言えばラキュは言ってたな、ロアは攻められると弱いと……だからと言って俺は攻めるつもりはない、此処は穏便に解決させて貰おう、俺はこう言う風な事を何度も体験したんだ、ある程度解決策は思い付く。

「ロア……こっち向いてくれ」

だからそれを実行しよう、するとラキュが過剰に反応する、残念だがお前が思ってる様な事はしないからな?

「くふふ……覚悟を決めた様だねシルク君」

面白そうに笑っている所悪いが……絶対にお前の思い通りにならないからな。

「しっシルク……」

ロアはゆっくりと俺の方を見て目元に涙を浮かべる、これを期に俺への過剰なスキンシップを自重してくれたら良いんだがな……うん、絶対無理だよな、こいつなら懲りずに仕掛けてくるだろう。

「じっとしてろよ?」
「ふぇ!?」

俺はロアに顔を近付ける、一気に顔が今以上に赤くなるロア、その横でこの状況が楽しすぎてくすくす笑うラキュ、くそっ……本当に覚えておけよ? 貴様に必ず地獄を見せてやる……おっと! 今はそれよりもこっちを優先させないとな。

「はわわわっ…はわっ……はわわわっ!」

恥ずかしさのあまり、はわはわ言ってるロアをどうにかしないとな。

「こら動くなよ」
「はぅぅ……」

喋れなくなってしまったロアは何時もと違った、今は小動物の様にぷるぷると震えている。
ロアは今死ぬ程恥ずかしい筈だ、さっさと済ませるか……。

「……よっ」

俺はロアの口元に付いてるソースを……指で拭き取った。

「ほらっ取れたぞ」
「っっ!」

身体をびくつかせて反応するロア、俺の指にはソースがついた、これでこの問題は解決出来た。

「ちょっとシルク君萎える事しないでよ……期待外れだなぁ」
「ラキュ……」

さて、やる事はきちんとやらないとな。

「えーと、何んで睨んでるのかな?」
「それは自分で考えるんだな……」

恐らくあいつならこう言えば何時でも来るだろう、ラキュよ、次はお前が地獄を見る番だ!

「ヴァーム! ラキュがコスプレしたいって言ってるぞ!」
「ちょっ、何を言って!」

俺がそう叫んだ時だ、ラキュの背後の空間が、ぐにゃりと歪む。

「うふふふ……嬉しい事言ってくれますねぇ」
「っ!?」

怯えるラキュと笑顔のヴァーム……同情はしてやる、しっかりと地獄を見て反省するんだな。

「では、いきましょうか……」
「やっやめ」

がっちりとラキュをホールドするヴァーム、ラキュは何かを言う前にヴァームと共に消えていく、これが因果応報と言う奴だ、覚えておくんだな。
……さて、お仕置きは済ませたし、これからどうしようか。

「ロア、取り敢えず残ったステーキを……ん?」

ロアの方を見てみる、伏せ目で俺を睨んでいる……いや、これは恥じらってるのか?

「あっありがとなのじゃ」

小さく震えながら語るロア、その仕草と小さな声……合いすぎて物凄く可愛いと感じてしまった。

「おっおぅ……どういたしまして」

そんなのを見れば当然、俺の顔も赤くなる、くっ恥ずかしい……。

「ステーキ食べないのか?」

だから無理に話掛ける、それに反応したロアは椅子に座りステーキを食べ様とする、だが食べる途中で止まってしまう。

「しっシルク……」
「何だ?」

ロアは俺の方を向いて俺の手首を掴んでくる、いきなりどうした……。

「指先……ソースが付いてるのじゃ」
「あっそうだな……」

まぁ、指で拭き取ったからな……そりゃ指に付くだろう、後で手拭きで拭いておこう……って、ロア? 何俺の指を口に持ってこうとしてるんだ?

「あむっ……」
「……っ、ちょっ!?」

ぱくっと俺の指をくわえるロア……ちゅぅちゅうー!と吸ったり、ちろちろと舐めてきたりと……俺を、じとっーーと見詰めながらそんな事をしてくる。

「んっ……あぅ…」

ロアが小さな声をあげながら、くちゅっ! ぴちゅっ! と言う唾液が弾む音が聞こえる、少し淫らだと思うのは俺だけでは無い筈……って、そんな事思ってる場合じゃないだろう。

「おいロア……」
「はむゅ…」

うっ……軽く噛んできた、なっ何だよ、顔を真っ赤にして見詰めて……何でそんな事するんだよ!

「……ぷはっ」

やっと止めてくれた……手首も離してくれて自由になる、離してくれたのに心臓が物凄くどきどき言ってる、あんな事されたんだ……俺の頭は何を考えて良いか分からない、恥ずかしさのあまり口ごもっているおロアから話し掛けてた来た。

「シルクの味……美味しかったのじゃ」

そう言った後、ロアは立ち上がり素早くこの部屋から去っていった、変な事を言うなよ……。

「って……ロアが出てったら何処にも行けないじゃないか」

恥ずかしさから一変、ピンチに陥る、廊下には相変わらず謎の魔法が掛かっている、当然俺にどうこう出来る物じゃない、さぁ……どうすべきか。

「1つしか方法が無いな……」

少し考えて見たがそれしか考えられなかった。

「此処が鬼騎の部屋で良かった」

もう鬼騎の部屋で一夜を明かすしかない、鬼騎には悪いがもうこうするしかない……ごめんな鬼騎。

「今日、風呂は我慢するか」

何処にも行けないとなると風呂にも行けない……1日ぐらい我慢するか……となるともう寝るしかする事が無い……いや鬼騎の部屋にも何かあるだろう、それを拝借して暇を潰すとするか。

「と、その前に……」

ロアが食べずに残したステーキを食べないとな……人の食べ掛けたが、残すのは悪いと思う、だから食べてしまおう、食べた後は皿を洗わないとな……俺が洗っておくとしよう。
さて、早速食べるとしよう……あの騒動で疲れて少し腹が空いた、これ位なら食べられるだろう。
ステーキ皿を俺の方に引き寄せてフォークとナイフを使って一口サイズに切り分ける、それを突き刺し頬張る、そのステーキの味は当然美味しかった、今度はステーキを注文しよう……そう思う俺だった。

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