どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

362

食事は賑やかに進んだ。
そして、暫く経って……食べ終わった。

「いっやぁぁっ、食べたのぉ。わらわは満足じゃ!」

ぐぐぅっと背伸びして廊下を歩いてるロア、その隣を俺は歩いてる。
後の奴等は用事やらなんやらで別れた。

「……」
「ん? どうしたシルク。もしや、わらわの料理が旨すぎて感動しておるんじゃな?」

違う、お前が次から次へと強引に食べさせるから腹一杯になって苦しくて喋れないんだ。
あぁ……くそぅ、黙ってないで何か言えば良かった。

「さぁて、お次は何をしようかのぅ。お喋りか? それとも外でも歩くかえ?」

また笑顔を見せてくるロア、お喋り……散歩、そのどちらもするつもりは無いが……選ばないと強引に連れ回わされそうだ。

だけど……そのどちらもするつもりは無いんだ。
もう喋るべきかもしれない、ここまでしてくれてるロアに……ある日の事を教えるんだ。

俺はそう思い、立ち止まった。

「ん、どした?」

そしたら、振り替えってじぃっと見てくる。
言おう……言わないと、何度も頭の中でその言葉が駆け巡る。

そして……俺は決心した。

「話したい事が……ある」

うつ向いてしまったが、言う切っ掛けを作る事には成功した。
後は、あの時の事を言うだけ……。

「ほぉ。そうか……なるほどのぅ、話したい事か」

ふむふむ、って感じに頷いてがしっ、と俺の手を握ってくる。

「そか、話す気になったか。いやぁ……これで気になってた事が知れる訳じゃな。お陰で今日はグッスリ眠れそうじゃ」

そう、話す気にはなった。
だが……言うと言ったんだが、言い辛い。
言えばロアはどんな反応を取る? どんな反応を取るのか分からない。

正直恐い、何を恐がってる? そう言われても恐い。
だがいわないとダメだ、打ち明けないとロアにも悪い、そして……アヤネにも悪い気がする。

「……辛そうじゃな。シルクが今抱えてる物は、それほどまでに重いのじゃな」

そう、重いのだ。
ズシッ……とのし掛かってどうすれば良いか分からない。
だから引きこもった、だけどロアに連れ出され……前に進もうとはしている。

「くふふふ。まぁあれじゃ、言いたいのなら言えば良い。と言うか正直に言うと聞きたいのじゃ……気になるしの」

気になってるのか……。
と言うか、さっきから何をわくわくしてるんだ? 別に聞いても面白く無い事だぞ?

「あ、じゃが待て。話すのならば場所を変えよう。ここじゃと不便じゃからなぁ」

その言葉に黙って頷く、そうだな、廊下で話すような事じゃない。
きちんとした話だがら、どこか場所を移そう。

「では、わらわの部屋で良いかの?」
「……あぁ」
「ならば行こう!」

そう言うやいな、ロアは走り出そうとする。

「ちょっと待ってくれ」

だから止めた。
部屋に行く前に、やることがあるからだ。

「なんじゃ。話すのではないのか?」
「そう……なんだが」

話しを聞いて貰いたい人が 1人いるんだよ。
出来るなら黙っていたいが、そう言う訳にもいかない。
キチンと話さないと……今頃あの人はアヤネの事を心配してる筈だ。

「シズハさんにも聞いて欲しいんだ」
「なに、シズハに?」

なんで? って言いたそうな顔だ。
だが直ぐに……。

「うむぅ。分かった!」

そう言ってくれた。
そう言ってくれて助かるよ。

「では、まずはシズハを探そうかの。あやつ何処にいるんじゃろうなぁ」

うん、それは俺も思った。
食事の後「ちょっと用事があるんでぇ、また会いましょうぉ」と言って出ていったからな。
今頃何処で何をしてるんだろ。

「ま、そんな事思っても仕方ない。では、探すとするかの」

ロアの言葉に頷く。
先ずはシズハさんを探す、あの時の話をするのはそれからだ。

そう思い、俺とロアはシズハさんを探すために歩き回った。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品