どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

363

俺とロアはシズハさんを探す為に城内を歩いてた。
ここは広いから時間が掛かるんだろうなぁ……。

「私に何か用ですかぁ」

と思ったら、直ぐに見付かった、まだ探して一分も経ってない。

「おっお前! まさか付けてたのか!」

確かにそう言わざるを得ない現れ方だった。
ロアの言う通り最初からいたとしたら……驚きだ。

「違いますよぉ。偶然お二人が話してる時に来たんですぅ」

にこぉっと笑顔を保ったまま言ってくるシズハさん。
ほんとか? すっごく疑わしいんだが……。
本当は初めから近くにいたんじゃないのか?

「いっ色々と追求してやりたいが、今はそれ所じゃな い! シズハよ、暫し付き合え」
「良いですよぉ」

にへぇらぁ、と笑うシズハさんは先へ進んでいく。
いや、どこ行くか分かってるのか? なんで俺とロアの前を歩くんだよ。

 しかも相変わらず軽い感じだ、そんなシズハさんに唖然とする俺とロア。
そしたら振り替えって「行かないですかぁ?」と言われる。
色々と突っ込んでやりたいが、しても笑って返されるだけだ……そう思ったので歩き出した。



暫く歩いて、ロアの部屋についた。
そして、ロアが腕組みしてこう言ってくる。

「まぁ、まずは座ろうかの」

その言葉を聞いて座る。
……まずい、座ったらドキドキしてきた。
これから大事な話をする、自分で言ったことなのに……くそっ、落ち着け俺。
落ち着いて言えば……なんの問題もない!

「えぇと……シルクよ、さっそくじゃが、話してくれるかえ? それとも……少し時間が必要かえ?」
「あ、いや……大丈夫だ。直ぐ話す」

じゃないと何時までも話さないでズルズル行きそうだからな。
それじゃダメだ、ロアは俺に対して色々してくれた、それに応える為にやらないと……。

このままじゃダメなんだ、だから言わないといけない。

それに……その事を伝えないといけない人が前にいる。
その人は状況が分かってないのかニコニコしてるけど……言わないとダメだ。

「じゃぁ、言うぞ」
「うむ」
「はぁい」

ドキドキしながら俺はゆっくりと口を開き、話した。

「俺は、アヤネに告白された」

それを聞いた瞬間、2人はピクリと眉を動かした。
相当驚いたんだろう、ロアが眼を見開いたまま固まった。
シズハさんに至ってはニコニコ顔がすぅっと消えた。

恐い、その反応が凄く恐い。
だが、まだ話は終わってない……続けて話そう。

「そして俺は……アヤネを振った」

うつ向いて話した、消え入りそうな声で話した。
ロアはどんな顔をしたのか、シズハさんがどんな顔をしたのか分からない。
どう思ったのかも分からない。

だから恐さが増していく、震える手を抑え、チラリと二人を見てみる。

ロアが驚いた顔をしてる、シズハさんは……じぃっと俺を見つめてる。
真顔だ、あんなシズハさん……始めてみた。

「そぉですかぁ、で……その後はどうしたんですかぁ」

いつもは明るい声のシズハさん、だが今の声は冷たかった。

「アヤネは、出ていった」
「そぉですかぁ、なるほどぉ……」

視線が痛い、責められてるな……完全に。
自分の娘を傷付けられたんだ、そうしても可笑しくない。

「ちょっちょっと待て! 出ていったと言う事は……アヤネは今何処にいるんじゃ?」

と、ここでロアが口を開いた。
何処にいるか、か。

「分からない」
「……うっうむぅ」

口を押さえて考え込むロア、その時シズハさんが立ち上がった。
なっなんだ……なんか、俺の前まで歩いて来たぞ。

「しぃ君」
「……はい」

ぽむっ……。
俺の頭に手を乗せる、そして……笑った。

ぞくっ……。
異様な雰囲気を感じた、恐い、恐すぎる……俺は何を言われるんだ?

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