どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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「おいしぃ、このカレー美味しいよぉ。お店の味ですねぇ」
「そうだな、美味しいな。あっ、ほっぺたにカレーついてるぞ、我が取ってあげよう」
「やぁんっ、ふぅちゃん優しいぃぃ」

一言言わせてくれ、あんたら皆が見てる前で堂々とイチャイチャするのはどうかと思う、普通に目のやり場に困るぞ。
……あ、二言になってしまった、まぁそんな事はどうでも良い。

「のぅ……」

ちょんちょん。
ロアが俺をつついてくる、随分小さな声だ、だから俺もその声に合わせて小さく返事する。
その表情は渋い顔をしている、大体言いたい事は察した。

「あの者ら、なんとか出来んのか?」

うん、察した通りだ。

「出来ない」
「おっおぉ……キッパリ言いおるのぅ」

しかたないだろ、本当に出来ないんだから。
この二人の人前でのイチャつきは今回に限った事じゃない。
所構わずイチャイチャイチャイチャ……見てるこっちが恥ずかしい。

だから注意する人もいた、だがしかし、そんな奴に対して二人は「気にしないで下さい」と返した。
いや、気になるから声掛けたんだよ! とその人も言ったんだが……結果は変わらず。
その人は諦めた、まぁ……キスしないだけましな方だ。

あれ? なんだろう、あんまり人の事言えない気がしてきた、なんでだろうな?

「むぅぅ。困った奴等じゃのぅ」

あぁ、それに同意だ。
本当に困った人達だ。

「あぁぁっ。しぃ君、ロアちゃん! 内緒話してますぅ」
「む、ほんとだな。人前で熱い奴等だ。若いって良いな」

なんか、大きな誤解が生まれてるな。
と言うか、人前どうこうでフドウさんには言われたくない。

「そっそれをお前達が言うか! 人前でイチャつくなら度をわきまえよ!」

おぉ、ロアが真面目な事を言った。
だけど……なんかふに落ちない、色々言いたい事があるんだが……今それを口に出すとややこしい事になるからよそう。

「ごちそうさま」

ん? ラキュが食べ終わったみたいだ。

「ん、もう良いのかえ?」
「うん」

ロアの言葉に軽く返して、ラキュは出ていった。
それを見送った後、カレーを一口食べた。

「シルク君、食事が終わった後……少し話がある。時間は大丈夫か?」

そんな時だ、フドウさんがそんな事を言ってきた。
その時、ロアがピクリと眉を動かして反応した、ロアだけじゃない。
ヴァーム、メェ、鬼騎もだ……なんだ? そんなに大きく反応する事か? 

「はい、ありますよ」

フドウさん、俺に何の話があるんだろう、そう思って返事した。
その後、水を飲んだ後……ふと思い付く。
そう言えば、フドウさんはアヤネが失恋したのは知ってるのか?
恐らく、まだ知らない筈だ……そう思うと、恐くなってきた。

俺がアヤネを振ったんだ。
フドウさんがそれを知った時、俺になんて言うんだ? その事が気になって、俺は何時もより食事のペースが遅くなってしまった。

……話し、か。
その事が気になって、今日はあまり料理の味に集中出来なかった。

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