どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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鬼騎の反応をわくわくしながら待ってると、コリコリと頬を掻きながら話してきた。

「えと、なっなんのつもりだ?」
「お前が俺に物を渡すなんて、どうかしたか?」

すっごい困惑してる。
すっごい怪訝な顔してる、予想通りの反応だ、なかなか面白い反応するじゃないか。

「別に? ただ渡したかったから渡しただけだよ」
「そっそうか」

ここで、姉上が暴れた時に来てくれたお礼にって言えば話しはスムーズに進むんだろうけど、絶対に言ってやるもんか。

「要らないなら持って帰るけど?」
「あ、いや。有り難く貰おう」

そう言って、鬼騎は受け取ってくれた、まったく……初めからパパっと受けとりなよ。
でもまぁ、これで用事は無くなった訳だ、さっさと部屋に戻って寝よう。
今日は色々ありすぎて疲れたよ、そう思って立ち上がろうとすると。

「ちょっと待てや」

鬼騎が呼び止めた。

「……なに?」
「折角だからよ、ちょっと付き合えや」

えぇぇぇ……休もうとしてたのに? 付き合う? 普通に嫌なんだけど。
だって疲れてるもん、あと……お前と一緒にいたら仲良い様に思われるじゃん。
そんなの絶対に嫌だ。

「……あからさま嫌そうな顔しとるな」

それが分かってるから、さっきの言葉を取り消すと良いよ。
でも、ここで喧嘩するのも余計に疲れるから……。

「そう見える?」

こう言って誤魔化しておこう。

「まぁ、嫌なら良いけどよ。こっちもお前に聞きたい事があったんだが……嫌なら良い」

へぇ……僕に聞きたい事ねぇ。
珍しい事もあるね、ちょっと興味が出て来た。
変な事聞いてきたら思いっきりからかってやろう、心の中でクスクス笑いながらそう思い笑顔で「別に嫌じゃないよ」と言ってあげた。

「なんか妙に笑っとるな。妙な事考えてねぇよな?」
「何も考えてないよ、気のせいじゃない?」

だからそんな睨んでこないでよ。

「まぁ、どう思うが良いけどな」

ため息交じりにそう言って、席を立つ鬼騎。
あれ? 話があるんじゃないの? と思ったら、僕が渡したトマトジュース入りのボトルを手に取り厨房へと歩いていった。

あぁ、なるほど。
飲みながら話すって事か、つまり長くなるって事なのかな? 飲み物出すって事はそう言う事だよね。
それとも、折角持ってきたんだから一緒に飲みたいって事かな? まぁどっちでも良いけどね。

「なんか食うか?」
「いや、要らないよ」
「そうか」

そんな事を言いつつ、鬼騎はグラスにトマトジュースを注ぐ。
そうした後、それを持ってきた。

「んじゃ、有り難く頂くぞ」
「どうぞ、味わって飲むと良いよ」

僕の言葉を聞いた後、鬼騎は、ごくりっとトマトジュースを飲んでいく。
おぉ一気に飲むんだね、味わって飲めって言ったのに。

「うまいな、これだけはお前には敵わねぇな」
「そりゃどうも」

不適に笑って褒めないでくれる? 変な気分になる。
と言うか、さっきから大人しくない? 何時もだったら「シスコン」とか「からかうなボケ」とか言ってくるのに。
妙に大人しい、だからなのか調子が狂う、これじゃからかえないじゃんか、つまんないなぁ。

聞こえない様に舌打ちした後、手早く用件を聞くことにした。

「そう言えば、なにか聞きたい事があるんじゃないの?」

鬼騎は言ってた。
僕に聞きたい事があるって、未だそれを言ってない。
だから早く聞きたいんだよね、出来れば手早く言ってくれると嬉しいよ。

「ん、あぁそうだな。じゃぁ手早く聞くか」

コトッとグラスを置き、まっすぐ僕を見る。
ごくっと無意識に唾を飲み込んでしまった、妙な緊張感が走ってくる。

この感覚、凄く真剣な空気だ。
鬼騎の奴は何を聞いてくるか分からないけど、真面目な事なのは分かった。
そう察した後鬼騎はゆっくりと口を開き、話した。

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