どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

327

 さて、場所はガラリと変わって魔王城。
突然倒れたヴァームを介抱するために地上に戻って城に来ていますの。
一緒にシズハさんが来てくれましたので助かりましたわ……一人だとヴァームを抱えたまま地上に戻るのは大変ですもの、それに別の意味でも助かりましたの。

で、無事運べて今はヴァームの私室にいますわ。

「すぅ……すぅ……くかぁ」

口をもごもごさせてるヴァームを見てほっと一息……あぁ疲れましたわ。

あ、一応服は着替えさせましたわ、あのままだと寝づらそうですもの。
だから今はパジャマですの。

「これで一件落着ですねぇ」
「えぇ、そうですわね」

ぽへぇ、と優しく息を吐くシズハさん。
この方、あたしと一緒に運んでくれましたけど……息1つ乱してませんわね。
城下街地下から上がるときも魔物顔負けのハイジャンプもしましたし……この方、本当に人間ですの?

まぁ、それは置いといてヴァームの方を見てみますわ。
余程疲れてましたのね……くぅくぅ寝息をかいて寝てますわ。
この様子だと暫く起きてきませんわね。

「ラムちゃん」
「ん、なんですの?」

なんて考えてたら話し掛けて来ましたわ。
なんか、じとぉって見られですわね……そんなに見られると興奮するんですけど?

「ラムちゃん」
「なっなんですの?」

やっやたらと見てきますわね……なんだか見られ過ぎて気持ち良くなってきましたわ、ふふふふ……。

「ずばりっ、ロアちゃんを応援してますねぇ?」
「…………ふぇ?」

一瞬にして気持ちよさなんて吹き飛びました。
なっなにを突然訳の分からない事を言いますの?
まぁ、確かに応援はしていますわね……でっですが、なぜこのタイミングで言ったんですの?

それに言葉が足りてないのでなくて? 全く意味が伝わってませんわよ?

「えと、どういう事ですの? あとロアちゃんは止めなさい! きちんとロア様とお呼びなさい、馴れ馴れしいにも程がありますわ!」

キッ! と睨んで言ってやりましたけど、全く聞いてませんわね。
小首かしげてあたしを見てきてますわ、理解力がありませんわね。

「えぇと、話続けて良いですかぁ?」

それに加えてマイペース、話の流れも理解できてませんわね。
はぁ……仕方ありませんわね、ここは聞いてあげましょう。

「良いですわよ?」
「じゃぁ、話しますねぇ」

しゅばっ、と手を上げたシズハさんは、ずずいっとあたしの方によってきます。
ちっ近いですわね……鼻と鼻がくっつく位に近寄られましたわ。
そこまで寄らなくても良いんじゃなくて?

「……やっぱり言うの止ぁめたぁ」
「え、止めますの!?」

えれく引き付けておいて結局言いませんの?

「ふふふぅ、あれですよぉ……今言うのはぁ、なんか違うなぁって思ったんでぇす」
「……言ってる事が意味不明ですわよ?」
「自分でも分かってますよぉ」

分かってるなら直しなさいな! そして喋りなさいな!

「……じゃラムちゃん、戻りましょぉぉ」
「え、あっ……きゃっ!」

ゆるぅく笑うシズハに呆れていたら手を掴まれ引っぱられました。
ごっ強引ですわね……。

「うわぁ、ぷにぷにですねぇ」
「まぁ、スライムですので当たり前ですの」
「そうなんですかぁ……」

ほへぇ……と呟き走り出すシズハさん。
あの、取り合えず離してくださいません?

「アヤネちゃん、頑張ってますかねぇ……」
「……え? 何かおっしゃいました?」

小さすぎて聞こえませんでしたわ。

「なんにも言ってないですよぉ」

え? 確かに何か言った気がしたのですけど……何もないんですね、そうですか。

「そんな事より、ゴーゴーですよぉ」
「ちょっ、強く引きすぎですわ! こっ興奮するじゃないの!」

シズハさんが、ぐいっ! と強く引っ張ってきましたわ。
まったく、急にドM心を擽るのはお止めなさい!

と、そんな事よりも……ロア様が心配ですわね。
その為にヴァームを運ぶ役目を仰せ使いましたし、ロア様に目で「なんとか二人になってくださいまし!」 とサインをしたのですけど……しっ心配ですわ。

ロア様って、張り切りすぎて失敗する事がしばしばありますの……だからすっごく心配ですの。
あぁぁぁ……心配で身体がキリキリしますわ。

「ぅぅ、心配ぃ……」
「……何か言いました? あと、そろそろ離してくれません?」
「気のせいじゃないですかぁ? 私はなんにも言ってないですよぉ。離すのはダメですよぉ」

あら、今度こそ何か言ったと思いましたのに、喋ってませんのね。
あと、離すのはダメですのね……。

はぁ、こう言う自分のやりたい事曲げない所……ロア様に似てますわね。

またまた呆れたあたしは、引っ張られていきました。
そして、このままシズハさんとあたしは城下街地下へと足早に向かうのでした。

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