どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
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はい、今絶賛運ばれ中な訳だが……風を感じてる。
アヤネにお姫様だっこされて、猛スピードで風を受けている、だから若干痛い、あと寒い。
「ふふ、楽しい」
「そうか、俺は落とされそうで恐いぞ……だから下ろせ!」
俺を抱えて、ぴょんっと飛んだり、ダダダダァっと素早く走ったりする様は、まるで野性動物の様だ、動きに無駄がない身軽な動きだ。
あぁ視界が揺れる、地面に足を付きたい。
がくんがくん揺らされて気分悪くなってきた。
それに、さっきから屋根から屋根へ飛んでて、いつ足を滑らせて転けるんじゃないか? とか思ってヒヤヒヤしてる。
「なぁ……。歩いたら、もっと楽しいんじゃないか?」
「うん」
「いや、うんじゃなくてだな……」
やはり聞いてはくれないか。
くっ……話の聞かない奴め!
「えと、それは知ってる。だけど……もう少し離れてから降ろすよ。だから待ってね」
「今じゃダメなのか?」
「ダメなの」
そっそうか、ダメなのか……そこをなんとか曲げてほしいんだけどなぁ。
さっきから上下にぐわんぐわん揺らされてるから気分悪いんだよな、うぷっ……そろそろ酔ってきた。
「あの大きな屋根を越えたら……あ、シルク大丈夫?」
「むり……かも、はっはきそう」
「そう、じゃぁ降ろすね」
そうしてくれると嬉しい。
……すたっ、と華麗に地面に着地する。
そしてアヤネは俺を下ろしてくれた、ふぅ……やっと地に足をつけれる。
「大丈夫?」
「うっ、うぅぅ。なんとか……な。あぁぁ、フラフラする」
がくっと足がよろついたが、アヤネが支えてくれた。
「大丈夫?」って感じで顔を覗き込んでくる。
「ごめん、シルクの事……考えてなかった。反省する」
そして、しゅんっと落ち込む。
「あっあぁ、そっそうしてくれ。でも……そんなに落ち込む事は無いぞ? ちょっとふらついただけだからな」
「そう? ダメそうだったら言ってね。私が運んであげる」
「ははは……。そか、ありがとな」
これ以上、運ばれるのは勘弁したいな。
と、そう思った時……アヤネが手を握ってきた。
俺の心臓が、とくんっと高鳴る……。
なんだ! と思ってアヤネを見てみると、にっこりと笑っていた。
「シルク」
「ん?」
「そろそろ歩こ」
「そっそれは良いが、ロアは……」
「いいの。今はシルクと二人で歩きたい気分」
きっ気分……か。
でも良いのか? ロアの奴後で怒らないか? あいつ放っておいて俺達で回ったら……きっと何か言われるに違いない。
だけど、だからと言って……手をぎゅっと強く握って来てるアヤネの手を振りほどくのもダメだ、アヤネが傷付いてしまう、そんな気がする……。
「実は、二人きりで歩きたくて此処まで来たんだよ」
「そっそうなのか?」
「うん」
悩んでる最中に、俺を連れ出した理由を言ってくれたな。
そか、俺と一緒に歩きたかったのか……だったら何時でも言ってくれれば良かったのに。
「それじゃ行こっか」
「行くって……この辺道分かるのか?」
俺は分からないぞ? 城下街地下はあまり来てないからな。
分からないで歩いて迷子になった……なんて事は避けたい。
「うん、知ってる。実はこっそり調べてた」
「おぉ。それは凄いな」
「えへへ、ありがと。もっと褒めて」
知ってるなら安心だ。
……いやまて、安心か? アヤネって方向音痴じゃなかったか?
信じきっても大丈夫……なのか?
「取り合えず右いこっか」
「右に何かあるのか?」
「道がある」
「…………」
やばい、すっごく心配になってきた。
これ、迷子になって一生さ迷い続ける……なんて事にならないよな?
そんな心配を抱きながら、俺とアヤネは手を繋いで歩いて行った。
アヤネにお姫様だっこされて、猛スピードで風を受けている、だから若干痛い、あと寒い。
「ふふ、楽しい」
「そうか、俺は落とされそうで恐いぞ……だから下ろせ!」
俺を抱えて、ぴょんっと飛んだり、ダダダダァっと素早く走ったりする様は、まるで野性動物の様だ、動きに無駄がない身軽な動きだ。
あぁ視界が揺れる、地面に足を付きたい。
がくんがくん揺らされて気分悪くなってきた。
それに、さっきから屋根から屋根へ飛んでて、いつ足を滑らせて転けるんじゃないか? とか思ってヒヤヒヤしてる。
「なぁ……。歩いたら、もっと楽しいんじゃないか?」
「うん」
「いや、うんじゃなくてだな……」
やはり聞いてはくれないか。
くっ……話の聞かない奴め!
「えと、それは知ってる。だけど……もう少し離れてから降ろすよ。だから待ってね」
「今じゃダメなのか?」
「ダメなの」
そっそうか、ダメなのか……そこをなんとか曲げてほしいんだけどなぁ。
さっきから上下にぐわんぐわん揺らされてるから気分悪いんだよな、うぷっ……そろそろ酔ってきた。
「あの大きな屋根を越えたら……あ、シルク大丈夫?」
「むり……かも、はっはきそう」
「そう、じゃぁ降ろすね」
そうしてくれると嬉しい。
……すたっ、と華麗に地面に着地する。
そしてアヤネは俺を下ろしてくれた、ふぅ……やっと地に足をつけれる。
「大丈夫?」
「うっ、うぅぅ。なんとか……な。あぁぁ、フラフラする」
がくっと足がよろついたが、アヤネが支えてくれた。
「大丈夫?」って感じで顔を覗き込んでくる。
「ごめん、シルクの事……考えてなかった。反省する」
そして、しゅんっと落ち込む。
「あっあぁ、そっそうしてくれ。でも……そんなに落ち込む事は無いぞ? ちょっとふらついただけだからな」
「そう? ダメそうだったら言ってね。私が運んであげる」
「ははは……。そか、ありがとな」
これ以上、運ばれるのは勘弁したいな。
と、そう思った時……アヤネが手を握ってきた。
俺の心臓が、とくんっと高鳴る……。
なんだ! と思ってアヤネを見てみると、にっこりと笑っていた。
「シルク」
「ん?」
「そろそろ歩こ」
「そっそれは良いが、ロアは……」
「いいの。今はシルクと二人で歩きたい気分」
きっ気分……か。
でも良いのか? ロアの奴後で怒らないか? あいつ放っておいて俺達で回ったら……きっと何か言われるに違いない。
だけど、だからと言って……手をぎゅっと強く握って来てるアヤネの手を振りほどくのもダメだ、アヤネが傷付いてしまう、そんな気がする……。
「実は、二人きりで歩きたくて此処まで来たんだよ」
「そっそうなのか?」
「うん」
悩んでる最中に、俺を連れ出した理由を言ってくれたな。
そか、俺と一緒に歩きたかったのか……だったら何時でも言ってくれれば良かったのに。
「それじゃ行こっか」
「行くって……この辺道分かるのか?」
俺は分からないぞ? 城下街地下はあまり来てないからな。
分からないで歩いて迷子になった……なんて事は避けたい。
「うん、知ってる。実はこっそり調べてた」
「おぉ。それは凄いな」
「えへへ、ありがと。もっと褒めて」
知ってるなら安心だ。
……いやまて、安心か? アヤネって方向音痴じゃなかったか?
信じきっても大丈夫……なのか?
「取り合えず右いこっか」
「右に何かあるのか?」
「道がある」
「…………」
やばい、すっごく心配になってきた。
これ、迷子になって一生さ迷い続ける……なんて事にならないよな?
そんな心配を抱きながら、俺とアヤネは手を繋いで歩いて行った。
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