どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

37

俺とメェの攻防が始まり数分が経った頃だ。

「にひひぃ、耳ぴょこぴょこしてて可愛いですぅ」

開始直後で俺の負けが見えている、いやっ! まだ負けていない! そんな折れない心を持つ俺に対して、アホ毛を振るわせながら突如生えてきた猫耳をやらしく触ってくるメェ、俺は必死に抵抗しているのだが……なぜか身体が痺れていた。

「ひゃ……ひゃめ……ろっ」

だっだめだ! 痺れて上手く喋れない、俺の抵抗を無視して、ふにふにっーーと猫耳を触るメェ、まるで無邪気な子供の様にもてあそんで来る、くっくすぐったいし身体は痺れるし……散々だ! と言うか何で身体が痺れてるんだよ! もしかしてあれか? あの時ぶっ刺された注射のせいか? 確実にそれだ! それしか考えられない!

「ぐっ……くしょぉぉ……」
「にひっにひひっ……どうやら感情によって猫耳は動く見たいですねぇ、そこは猫獣人と同じですぅ、えひひひぃ」

不気味に笑って今度は俺の頬を引っ張ってくる。

「いひゃいっいひゃいって!」
「痛覚は人間と同じ…好奇心が止まらないですぅ、んぅ? 発汗が凄いです」

なっなんだこの医者は! まるで子供じゃないか! メェは白衣の中に手を突っ込む…そこから取り出したのは白いタオルだ。

「もしかしてぇ……身体も獣人見たいに毛皮があるんですぅ?」
「ふぇ? ひっひや…にゃにいっへ…」

メェはタオルをぎゅうっと握り締める、そして俺の頬から手を離した後指をわきわきさせる。

「ほっほい……にゃにお……!?」

その手で服を掴むメェ、この後する事は1つだ、がばぁっーーと服を捲りあげる、露になる俺の裸、まだ熱があるのか汗を掻いている…。

「っ!?」

自分の服を脱がされた事に戸惑う、そうしてる間にもメェは艶かしい視線で俺の裸を舐める様に見てくる。

「にひひひぃ、どうやら身体は獣人化しないみたいですぅ……さっ、汗を拭くですよぉ」

そう言って汗を拭いてくるメェ、俺に覆い被さりタオルで俺の肌を拭く、こっこいつ……自分の好奇心で動きて置きながら一応医者としての処置はするんだな、プロ意識はあるようだ……いやいや絶対にそれは無いだろう! プロ意識がある奴は患者に注射器ぶっさしたり好奇心で過剰に身体を調べたりしない!

「にひひぃ…んぅ? 乳首がたってるですよぉ? 何故ですぅ?」
「ひるか!」

否定しないと色々と不味いのに…喋れない! いや……それより今の問題は。

「んぅ? 今は昼じゃなくて朝ですよ? そんな事より……いっぱい脇汗掻いてるですねぇ……首筋にも掻いてるですぅ」
「あひゃにゃのは、わかっへる! あっあへはふかにゃくへひい!」

さっきからメェの胸が俺の身体に当たっていると言う事だ! なんっだよこの状態は! 助けを呼んだけど……今この状態を誰にも見られたくない! だからお願いだ! 今は助けに来るんじゃない!

「あぁ…シルク君の顔が赤くなっていくですぅ、これは獣人化により体温の変化による物ですぅ?」

そう言って俺に顔を近付けてくるメェ……くっ、やっ柔らかい物が……ふっ2つ俺の胸に当たってる……こいつっロア並みにたちが悪い!

「んー…今、どんな気分ですぅ?」
「はじゅかしいきふんらよ!」
「恥ずかしいですか…それは何でですぅ?」

うっとりとした目で語るメェ…子供っぽい印象だったのに急に大人っぽくなった、ロアにしてもそうだが…こいつも女性だと言う自覚を持って欲しい。

「むっ…胸があらっ…て」
「んぅ? 良く分かんないですぅ、あっそうですっ! まだ調べて無い所があったですぅ」

これは本格的にやばい雰囲気だ! 何とか身体を動かさないと……って駄目だ、もう身体が動かない! まっ不味い、本格的に薬が効いて来たのか? 身体も本格的に痺れて指1本動かせなくなってきた、このマッドな医者を前にして動けないって事になったら好き放題にやられる!

「や……め……ろ」
「にひっ……次に調べるのはぁ、下半身ですぅ!」

っ! それだけは阻止せねばっ! くそっ……動けっ動けよっ俺の身体だろうが! だっ駄目だ……力を入れても全くもって動かない。

「スカート降ろすですよぉ…って、何で男の子がスカート着てるですぅ? まぁ良いです」
「よ…きゅ…にゃ…いっ!」

にひひひぃ…と笑みをこぼしながら、ずりずりっーーと俺の脚の方へ下がっていく、手に持っていたタオルを投げ捨てスカートの裾を掴むメェ、くそっ……ヴァームの次はメェにスカートを降ろされるのか。

「先ずはじっくり目で見るですぅ、それからきっちりと触診するですよぉ」

コスプレさせるのが大好きなヴァームと違って…メェの場合は身体検査…しかもスカートを脱がされた瞬間目で見られて触られてしまう、そうか今分かったよ……城の中で気を付けるべき相手はヴァームやロアだけじゃなく……メェもか!

「では……ご開帳ぉですぅ」

そう言ってスカートを脱がそうと手に力を加えたメェ…このまま脱がされてしまう! まさにその時だった。

「こんのっ、馬鹿羊がぁぁっ!」
「んぅ? っ! めぇぎゃぁぁぁぁぁっ!」

俺の身体のすぐ上に太い光線が通る、それはメェに当たり、光と共に吹っ飛んで言ってしまう。

「大丈夫かシルク!」
「ろ……あ?」

声を荒げて駆け寄って来たのはロアだった。

「微かな叫び声が聞こえてな、急いで来てみたらこの様じゃ」

そう言ってメェの方を睨む、身体が痺れて少ししか確認出来ないが、今メェの状態が分かる、壁にめり込んでぴくぴくっと足を動かしているのが見える。

「酷い目にあったのぅ、大丈夫かえ?」
「……だ……い……じょう……ぶ」

それをお前が言うのか? と思ったが今は言わないでおこう、結果的に助かったんだから由としようじゃないか。

「む? 痺れているのか? これはメェの仕業じゃな?」

そう言いつつ俺の乱れた服装を直すロア。

「むっ、髪の毛も乱れているのぅ……綺麗な髪だと言うのにこんなに乱しおって……」

ぶつぶつと言いながら俺の髪を撫でて整えてくる、それが終わると、にこっーーと笑みを見せてくる、そしたらドキッーーとしてしまった、なんだ今の気持ちは? 心に変な気持ちを感じる俺、するとロアが口を開いた。

「よしっ、完成じゃ!」

俺の髪を整え終わったロアは頭をぽんぽんと優しく叩いてくる。

「あぁそうじゃ、ご飯の用意が出来たのじゃ! 直ぐに持ってくるから待っておれ」

そう言ってロアは俺から離れていく、そうか……ご飯が出来たのか……そう言えば飯の準備がどうのって言ってたな。

「あとそこの羊! 一緒に来いっ説教してやるのじゃ!」

壁から倒れて床でぐったりしているメェの脚を持って引きずっていくロア……普通に連れていってやれよ可哀想じゃないか、と思うも先程散々迷惑を掛けられたので気にしない事にした、て言うか所々焦げてないか?

「めっめぇぇ……ごっごめんな……さいですぅ」

力なく喋った後、がくんっと力尽きるメェ…それと同時にあほホ毛が萎れる、まるで生きてるみたいだ……もしかして、あのアホ毛って生きてるのか? 触られてる間にもぴょこぴょこ動いてたが……まぁ今は気にしないで行こう。

「ではのっ!」

そう言ってロアは部屋から素早く出て行く、あんなスピードで引きずられて行くメェが少し心配になった、そう言えばロアは指を火傷してるんだったよな? 大丈夫だろうか? 後でそれとなく聞いてみよう。

……そうだ、ロアは料理を作ったと言ったが一体何を作ってくれたんだ? 恐らく食べやすい物だろうが……俺は今あまり食欲がない、だがきちんと食べないといけない……必死で看病してくれたロアの為にもな。

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