どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

247

「おい! 脳筋っ」

暫く立ち尽くしていたラキュだったが、気を取り戻し、バシンッ! と鬼騎を叩いた。
そしたら鬼騎は大袈裟に身体をびくつかせて反応する。

「っ! らっラキュ!? どっどうしてここに……」
「めきゃっ、おっ驚いたですよ……気が付いたら人が増えてるです」

驚く鬼騎とメェ、2人とも目を見開いてる。
……気付いてないのか? と思ってはいたが、本当に気付いてなかったんだな。
俺はそれに驚いたよ。

「朝食食べに来たんだよ。それよりっ! なんでアヤネが料理作ってるのさ」

びしっ、とアヤネの方を指さすラキュ。
そしたらアヤネが気づいて「ん?」と言いたげに首を傾ける。

「ん、アヤネが? ……うぉっ! 本当に料理を作っとるな」

また身体をびくつかせて驚く鬼騎、そのすぐ後に「うがっ、くっさ!」と言って鼻を摘まむ。

「状況理解できたなら、なんとかしてきなよ」
「くっ……そっそうだな」

ラキュの言葉で早足で向かう鬼騎、そしたらアヤネが素早く反応する。

「赤鬼君、こっちきちゃダメ、今日は私が料理をつくる」

だが、俺達に言った様な言葉を鬼騎にも言う。

「ならそのサポートをさせてくれ!」
「だめ」
「俺も料理を作りたい!」
「だめ」
「せめて鍋の中身を見せてくれ!」
「だっめっ」

調理器具を置いて、腕をクロスさせて拒否する。
それに表情をしかめる鬼騎、暫く黙った後、何かを思い付いたのか口を開く。

「なら俺は口しか出さん、料理のアドバイスをさせてくれ! 料理は俺の仕事なんだ!」

ばんっ! と手を合わせて頭を下げる鬼騎。
それを見たアヤネは目を丸くする、そして「んー……」って呟いて。

「それならいいよ」

そう言ってくれた。
はぁ……良かった、これで朝食でぶっ倒れる事態は回避されそうだ。

俺とロア、ラキュとメェが胸を撫で下ろす。
鬼騎は厨房へと向かっていく。
そして、早速色々とアヤネに何か言っていた。

その後、鍋の中を見る。
その瞬間、鬼騎の顔が歪んだ。
それ見て鍋の中身が悲惨なのが伝わってくる。

……ん? ラキュが俺の袖を引っ張ってきた。

「ね、さっきのシルク君が入ってきたから起きてたの?」
「ん? あぁ……そうだ」

ここに入った瞬間驚いた。
ロアなんか硬直してたからな。
そんなロアが大きくため息をはいて喋り出す。

「メェよ、一体何があったのじゃ? お前なら分かっているのじゃろ?」
「めきゃ!?」

ロアが事の発端を聞き出したな。
気になる事だが、それ……いきなり聞くんだな。
まぁ、俺も聞きたかったから良いか。

そう思ってメェを見てみる。
……凄い汗を掻いてるな、さっきも変な声出してたし、何かあったのは確実だな。

「べっ別になんにも無いです……」

思いっきり目を泳がせながら言ったな、嘘が丸分かりだ。

「何も無い事はないじゃろう、わらわは見たからな。メェも鬼騎も様子が変だったじゃろ」

しゅびっ、とメェに指をさすロア。
図星を付かれたのか苦笑するメェ、一気に顔を紅くして目線を反らす。

そして、ボソッと呟いた。

「いっ言わなきゃダメです?」
「ダメじゃ、言わぬとお主の胸を揉みまくるのじゃ!」
「めっめぎゃっ!? わっ分かったですっ、おっ教えるですよ!」

思い切り焦り出すメェ。
自分の胸をガードしてロアを睨む。
ロアよ、話を聞きたいのは分かるけど、堂々とセクハラ実行発言をするんじゃない。

「でっでも、メェはアヤネの事は何にも解んないですよ?」
「なに?」

なんだと? それだと、アヤネはメェと鬼騎に気付かれずに厨房に立ったって事になるが……本当に気づかなかったのか?

「……そうか、ならば分かっている事を話すのじゃ」
「っ、わっ分かったですよ……」

思いっきり嫌そうな顔をするメェ、余程言いたく無い内容なんだろうな……。

だがメェは渋々と話始めたのであった。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品