どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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まず色々と言わせて欲しい。
俺はメェさんが好きだ、告白もしようかと考えてた。
だが、告白はメェさんからしてくれた。

で、そこからなんやかんやあって……俺は変な事を言ってしまった。
メェさんは俺の言った言葉を「結婚を前提に付き合って下さい」と、とってしまった。

嫌と言う事は全然ない、むしろ嬉しいくらいだ。
だから、俺はその返事に無意識に「はい」と答えた。
まぁ、嬉しかったからな……この言葉は嘘じゃない、全て真実だ。

だがな……そうなると俺は付き合う事をすっ飛ばして求婚をしたと言う事になるわけだ。

……なんだこれ、物凄くヤバイ事になっとるな。
まさにどうしようも無い事とはこの事だ。
さっき、どうしようと悩んでいたが……悩むだけ無駄だ。

とっと言うか、なぜ悩む? 結果的にメェさんに気持ちを伝える事には成功したじゃないか。
……いや、俺は肝心な事を忘れておる。
メェさんは、俺の事を好きだといってくれた、きっキスまでしてくれた。

これは紛れもなく、俺の事を好いてくれてる証拠だ。
……だからと言って、いきなり結婚を申し込まれたら……幾ら好かれていても、ひかれる。

だっだから俺はメェさんの顔を見ていない、「あっはい」と言って暫く立った後から、ずっと下を向いている。

みっ見たくないんだ。
メェさんはきっと、幻滅した顔をしておる。
そっそんな顔、俺は見たくはない……あぁ、やっちまった。
俺はなんて事を言ってしまったんだ。

と言うか俺、さっきから似た様な事で悩んどらんか?
くっ……悩むのは仕方ない、どうすれば良いか分からんからな!

「きぃ君……って、緊張したら思い切った事言うですね」
「ぐっ……もっ申し訳ない……でございますです」

本当にそうだ。
俺は緊張すると何をするか分からん。
こんなんだからラキュにからかわれるんだろうな、くっ、自分が不甲斐ない……。

っ、メェさんに顔を上げられた。
……あ、メェさんも顔が真っ赤だ。

「きぃ君の気持ち……分かったですよ」

嬉しそうに笑うメェさん。
照れと恥じらいが混じった表情、そんな表情で俺を見上げてくる。

そして、メェさんは続けて言った。

「うっ嬉しいです。メェは……感激したです」
「えっ! おっ! あぁっ! うっ……」

かっ感激!? おっ俺の言葉に? 聞く人が聞いたら、え? 何言ってんだ? って思われる俺の言葉が?

「きぃ君って……普段はオドオドしてるですけど、案外勇気あるですね、やっぱりその筋肉は伊達じゃないです!」

普段はオドオド? いやいや、オドオドしてるのは、メェさんの前だけです! 他はそんな事はない。
……で、然り気無く筋肉を誉めてくれて、あっありがとう。

うっうむ……なっなんと言うか、うっ嬉しそうに言ってくれて俺は嬉しいんだが……そっそんな事言われたら……照れ臭くて何も言えなくなってしまった。

「そんなきぃ君に改めて言うです」

あっ改めて? いったい何を?
潤んだ瞳をするメェさんは大きく息を吸い込んで……その言葉を言った。

「メェも……きぃ君の事、結婚したいって思う位、大好きです」

バツンッーー
その瞬間、俺の視界が真っ白になった。
結婚したいって思う位? メェさんが? 俺と?
メェさんのその言葉を聞いた瞬間、あまりの信じられなさと、衝撃的な言葉に耐えきれずに俺は……立ったまま気絶した。

ただ俺は、あまりの嬉しさに表情がニヤけていた。
ニヤけた表情で、白眼むいて気絶……意識を取り戻したら、俺はあまりの不甲斐なさに悶絶してしまいそうだが、今はそれはおいておく。

今まさに、思いたい事はただひとつ。
それは……俺の生涯に一片の悔い無し、だ……。
かっかっかっ、メェさん……俺は、本当にありがとう……俺は、幸せだ。

そう思う俺は、黙って直立不動するのであった……。

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