どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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はい、今まさに訳わかんねぇ事が起こったです。
だからメェは……物凄く混乱してるです。

もう、何と言うか……あまりにも唐突過ぎて何も言えねぇです。

ぽけぇっとしてるメェにゆっくりと近付いて来たアヤネは……メェをお姫様抱っこしてきたです。

何も言わずに無言で、突然の事だったから何の抵抗も出来なかったメェは、暫く呆然としてたです。

で、はっ! となってメェはいってやったです。

「ちょっ、アヤネ! 何を」
「大丈夫、今度は飛び降りない」
「え?」

話してる最中なのに割り込んで来て意味深な事を言うですね。
て言うか、アヤネ……さらっと、お姫様抱っこするんじゃないですよ!

「じゃ、行こっか」

え? 何処にです? なんて事を言おうとしたですが、それを喋る前にアヤネは……。

ドンッ! と床を蹴って部屋から出たです。

「めっめぎゃっ! はっはや! これ、人間が出して良い速さじゃねぇですよ!」

その叫びはアヤネには届かない。
あぁ、風を切る音が聞こえるです。
アヤネは髪を靡かせながろ掛けていく。

時折きょろきょろと何かを探すかの様に見回してる。

……と言うかメェは、この状況に対して突っ込みを入れるのを忘れてるですね。

いや、それも仕方無いかもです、だって突然現れて告白がどうのって言われて、お姫様抱っこされて、超スピードで走られたら何も言えねぇですよ。

「いない……何処にいるの?」

あ、なんか喋ったですね。
やはり何か探してる見たいです。
ん? メェを見たです……なっなんかじぃっと見つめられてるです。
ちゃんと前を見ないと危ないですよ? 今はメェを抱っこしてるですからね? 転んだりしたら許さねぇですよ?

「メェちゃんのおっぱい、超振動してる。羨ましい」
「……っ!? みっ見るなっ、見るなですぅぅっ!」

メェはアヤネに言われて胸を見る……そしたら胸が、ぶるんぶるんっ揺れてたです。

何と言うか、揺らしたプリンの様に見ただけで柔らかさを感じる揺れ……そんな感じです。
って、メェは一体何を思ってるですか?

「メェちゃん、顔真っ赤」
「わっ笑うなっ! 笑うなですぅっ!」

うっうぅっ、辱しめを受けたです。
アヤネめぇっ、さっきからメェを振り回して……この仕打ちはいつか必ず返してやるですよ!

「……あ、いた」
「え?」

メェを見て、くすくす笑っていたアヤネは何かを感じて、ふと前を向いたです。

いた? いたって誰が……あっ。

「あらあら、何やら可笑しな格好で走ってますね」

前にヴァームがいたです。
もっもしかして、アヤネが探していた人って、ヴァームの事です?

「うん、むぅちゃんを探してたの」
「あら、私をですか?」
「うん」

2人は私を放って話をし始めたです。
だったらメェを降ろしてくれないです? 

「何の御用でしょうか?」

疑問を浮かべたヴァームが首を傾げて聞いて来たです。
アヤネは、真っ直ぐとヴァームの目を見て「こほんっ」と咳払いをして、辺りを確認したです。

……ん、なんです? 周りが気になるですか? 別に誰もいないですよ?
なんて事を思ってると、アヤネは手をパタパタさせながら「耳かして」って言ったです。

ヴァームは不思議な顔をしつつも、アヤネに近付き、耳を貸したです。
うっ……2人に挟まれるとちょっと狭いですね。

「あのね、ごにょごにょ……」

そしてヴァームに耳打ちしたです。
んー……近くにいるのに、何言ってるか分からないです。

メェが難しい顔をしてると、ヴァームがむっとした表情になったです。
え? アヤネ何言ったですか? 変な事言ってないですよね?

「ちゃんと聞いて」
「……わかりました」

むっとした顔のヴァームを見て冷静に話すアヤネ、なっなんです? メェはこの雰囲気に着いてけないです……。

「ごにょごにょ……」
「……なるほど」

いや、なにが「なるほど」なんです? ヴァーム……一体何に対して、なるほどって言ったんです?

「ごにょごにょごにょ……」
「ふふっ、そうですね……それは面白そうです」

……。
ヴァームが不適に笑ったです。
いまこの瞬間、とてつもなく嫌な予感がしたです。

「ごにょりごにょごにょ……」
「うふふ……アヤネさん、素敵な事を考え付きますね。分かりました、私に出来る事ならやりましょう」

あ、もう耳打ちは止めたです? 2人とも妙ににこにこしてるですが……一体何を話してたです?

「えと、何話してたですか?」

気になったから聞いて見たです。
そしたらヴァームが髪を手で靡かせながら言ってきたです。

「イメチェンです」
「……めぇ?」

いっイメチェン? えと……全く話が見えて来ないです。

「ふふふ、そうですよね……大切な場面には、きっちりお洒落する物ですよね」
「……ヴァーム? えと、イメチェンって、何です?」
「あらあら、イメージチェンジの事ですよ。他に何かありますか?」
「いや、それは分かってるです……」

話が噛み合わない……。
それがちょっとした恐怖になってきたです、理由は分からないです。
何と言うか、今すぐ逃げないと恥ずかしい事をさせられそう……そんな感じがしてきたです。

メェの野生がそう言ってるです。

「それにしてもアヤネさん……気付かせて頂き有難うございます。お陰でチャンスを潰す所でした」
「お礼なら可愛い服で良いよ」
「うふふ、畏まりました」

……え? なんです? 2人共、妙に仲良さそうですね。
前まではそんな感じじゃ無かったですよね? この短期間で一体何があったですか?

そう思ってると、ヴァームがメェを見てきたです。

「さて、お喋りはここまでにして……行きますか」
「え? 何処にです?」

また何処かへ連れてく気ですか? 犯人探しは良いですか?
って、喋ろうとしたら……先にヴァームが口を開いたです。

「私の衣装部屋にです。私が告白に相応しい服を選んで差し上げますよ……うふふふふ」
「良かったねメェちゃん、綺麗な服が着れるよ」

メェはこの時思ったです。
……あれ? メェは一言も告白するって言ってないのに、なんで2人はこんなにもやる気なんです?

突っ込むのを忘れて、そんな疑問を抱くなか、メェはヴァームの衣装部屋へと連れていかれたです。

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