どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
20
今日も太陽がさんさんと照りつけている、その空の下、今日も騒がしい1日が始まる。
「今日も良い天気だ…」
俺がロアに貰った店の前、いつも賑わう場所に俺はいた、今の気分を消し飛ばす様に大きくため息をつく。
「シルクさんっ、手が止まってますわよ!」
「あぁ……そうだな」
隣に立つラムに怒られてしまった、あれから何だかんだで店が直った、あぁ言う事はもう無しにして欲しい……で今俺は今ある事をしている、それは至極簡単な事だ。
「近日オープンの雑貨屋シルクをよろしく頼む」
一度一度深い礼をしながら手に持ったチラシを配る、今やっているのは店の宣伝だ。
あぁ因みにラムはチラシを持っていない、あいつは液体だから紙のチラシを持てば当然濡れて見えなくなる、だから声で皆に宣伝している。
今の時点ではこの店の知名度は無いからな……と言うかいつの間にか店の経営を本格的にやる様になってきたよな? とそんな事を思っているとチラシを受け取った蜥蜴人間……確かリダードマンだったか? そいつがチラシを受け取り俺をまじまじ見てくる、何か顔についてるのか?
「その服はこの店の趣向かい?」
「黙れ蜥蜴人間!」
はい、来ましたこの質問……今日も今日とてコスプレさせられた、朝起きた瞬間ヴァームが「お着替えしましょう!」と言って問答無用で押し倒され純白のドレスを着せられたと言う訳だ、あぁひらひらしてて動きづらい、そのせいで何度か転けそうになる。
この状況が物凄く悲しい……深く落胆する俺は目の前にいるリザードマンを睨め付ける、そいつは何故か鼻をふんふんーーと鳴らしている、これはあれだな物凄く興奮している、俺の言葉は通用しないと言う訳か、これが初めてでは無いから少し慣れてしまった。
今思ったが……俺ってこの環境に少しずつ毒されつつあるよな? とそんなやり取りをしていたらラムが俺にタックルしてきた。
「いった! 何をするっ!」
くっ……服が少し濡れてしまった、ラムを睨み付け言う俺、すると興奮気味に身を乗り出して行ってくる。
「お客様にそんな事を言ってはいけませんわシルク様っ! 良く言いますでしょ? お客様は! 絶対なる忠誠を誓うべきご主人様と!」
「それ、お客様は神様な! あと俺はこの言葉はあまり好きじゃない」
軽く突っ込んだ俺、その直後……ラムが俺に向かって悲愴感溢れる目を向けてくる、なっなんだ? 目に涙を浮かべているぞ? って……ラムは液体だよな? 涙と言う表現は間違っているのか?
「何ですかその突っ込みは! もっとがっと来て下さいがっと!」
「あぁごめんなって、お前は何時までそこにいる気だ?」
俺は目の前に立っているリザードマンに良い放つ、そいつは目を、きらんっと輝かせにかっと白いギザギザした歯を見せ笑って去って行った。
え? 何だ今の!? 全く訳が分からないんだが…取り敢えず気にしないでおこう。
「ちょっとシルクさん! 聞いてますの?」
「ん? ごめん聞いてなかった」
「あたし、放置プレイは好きではありませんの!」
何故か知らんが怒ってしまった。
「シルクさんにはSの心得を知るべきですの! あたしが説明致しますわ!」
あっ、これあれだ……話が永くなる奴だ。
「良いですか? Sと言うのは……」
案の定始始まってしまった長話し……ヴァーム程の迫力は無いものの面倒くささは此方の方が上かもしれないな、延々とSとMについてを話続けるラムを見てどっと疲れが増してくる、もう勘弁してくれ……街中で堂々と意味不明の言葉を聞かされ続ける俺の身にもなってくれ。
「と言う訳ですの! って……シルクさんどうか致しましたか? お顔の色が優れませんわ」
「はは……やっと気付いたか……って何するんだよ」
あれから30分……青空の元馬鹿みたいな話を聞かされ続け俺は疲労困憊になっていた、ぺたっーーとラムが手を俺の額に当ててくる、少し冷たい。
「お店に入って休みましょう」
「おっおい!」
ラムに手を掴まれ引っ張られていく……ここの奴等は強引過ぎやしないか? ラムに連れられ店の奥の休憩室へ行く、そこは小さな部屋にテーブルとソファー、そして冷蔵庫が置かれた部屋だった。
「さぁそこに座って下さいまし」
「まっまぁ座るが……いきなりどうした?」
言われるがままに座る俺……ラムはいきなり心配してくるから少し焦るじゃないか、するとラムが俺の隣に座ってくる。 
「体調はキチンと管理しなくては駄目ですの!」
「いや、それはラムの話が長かったから……」
「うっ……まっまぁ、それは置いておきますの」
……自分の性だって気づいた瞬間、目がおよいできたな。
「まぁ折角此処に来たんだ、少し休憩も良いかもしれないな」
「そっそうです! 長時間の立ち仕事は疲れますの! あら? 立ち仕事って何かやらしく聞こえません?」
「それはお前だけだから気にするな」
頬を手に当て、うっとりするラムを軽く小突く、今の1件で分かった事がある、ラムはもしかして心配性なのではないか? 先程から心配そうに俺を見てくる……会って何日か立っているとしてもそんなに関わりがあった訳ではない。
「そんなにくっつかれると服が濡れるんだが……」
うっ……ちょっと透けて来たな、だがラムはそんな事にはお構い無し
でぴったりと身体をくっつけてくる、なんか恥ずかしくなってきた、そんな雰囲気からなのか黙ってしまう俺。
「あの……少しよろしいですか?」
そんな中ラムが口を開いた、いつになく真剣な雰囲気を漂わせている……。
「あぁ、なんだ?」
「ロア様は素晴らしき魔王です……」
なんだロアの事を話すのか……と思った時だ、ラムが続けて口を開く。
「弱いあたしをご自身の配下に加えて下さりましたの、仲間思いで感情豊かで少し恥ずかしがり屋、そんなロア様があたしは大好きです」
「そうか……」
いつもラムが言うロアへの愛とは少し違った語りだ、俺を見る目が何処か厳しい。
「ですがロア様はシルクさんが好き……あの方は貴方に愛される為に色々したのです」
「そう……だな」
本当に色々してくれたな、自分の事しか考えてなくて正直迷惑だ、だが最近ほんの少しだがロアが俺にしてくるスキンシップを受けるに連れ少し心が揺れてくる、とても変な感じだ……でも嫌悪感とかではない、もっと別の暖かな感じだ、自分でも良く分からないが俺の心が変わりつつあるのか?
「あたしはシルクさんを嫉妬しているのですわ……ですけどロア様が愛した人ですの、あたしが介入してロア様に悲しい顔をされるのは耐えられませんの……ですからシルクさんに譲りますの」
「譲るとか譲らないとかそう言う問題じゃない! 俺には!」
「好きな人がいるのでしょう? でしたらお早く気付いてあげなさいですの」
まただ……またその言葉が出てきた、気付くってなんなんだよ……何に気付けば良いんだ? 一体ラムは何を行っているんだ? 俺には全く分からない、沈黙しているとラムが立ち上がり、頭を下げてくる。
「すみません……言い過ぎましたわ 少し外の風に当たって来ますの」
そう言ってラムは部屋を出ていった……残された俺は妙な感覚に襲われた、「良く見てあげて」とか「気付きなさい」とかここに来てからよく言われる言葉だ、1度真剣に考えた方が良いんじゃないのか? 俺はそう思いつつソファーに深く腰掛けた。
「さて、どうしようか…」
暫くその事について考えよう、何か大切な事かも知れないからな……だがこの場では何も考え付かないまま時間だけが虚しく過ぎていくだけであった、俺は何時か気付く事が出来るのであろうか? くそっ……もやもやするな、そんな思いを抱きながら1日が過ぎていくのであった。
「今日も良い天気だ…」
俺がロアに貰った店の前、いつも賑わう場所に俺はいた、今の気分を消し飛ばす様に大きくため息をつく。
「シルクさんっ、手が止まってますわよ!」
「あぁ……そうだな」
隣に立つラムに怒られてしまった、あれから何だかんだで店が直った、あぁ言う事はもう無しにして欲しい……で今俺は今ある事をしている、それは至極簡単な事だ。
「近日オープンの雑貨屋シルクをよろしく頼む」
一度一度深い礼をしながら手に持ったチラシを配る、今やっているのは店の宣伝だ。
あぁ因みにラムはチラシを持っていない、あいつは液体だから紙のチラシを持てば当然濡れて見えなくなる、だから声で皆に宣伝している。
今の時点ではこの店の知名度は無いからな……と言うかいつの間にか店の経営を本格的にやる様になってきたよな? とそんな事を思っているとチラシを受け取った蜥蜴人間……確かリダードマンだったか? そいつがチラシを受け取り俺をまじまじ見てくる、何か顔についてるのか?
「その服はこの店の趣向かい?」
「黙れ蜥蜴人間!」
はい、来ましたこの質問……今日も今日とてコスプレさせられた、朝起きた瞬間ヴァームが「お着替えしましょう!」と言って問答無用で押し倒され純白のドレスを着せられたと言う訳だ、あぁひらひらしてて動きづらい、そのせいで何度か転けそうになる。
この状況が物凄く悲しい……深く落胆する俺は目の前にいるリザードマンを睨め付ける、そいつは何故か鼻をふんふんーーと鳴らしている、これはあれだな物凄く興奮している、俺の言葉は通用しないと言う訳か、これが初めてでは無いから少し慣れてしまった。
今思ったが……俺ってこの環境に少しずつ毒されつつあるよな? とそんなやり取りをしていたらラムが俺にタックルしてきた。
「いった! 何をするっ!」
くっ……服が少し濡れてしまった、ラムを睨み付け言う俺、すると興奮気味に身を乗り出して行ってくる。
「お客様にそんな事を言ってはいけませんわシルク様っ! 良く言いますでしょ? お客様は! 絶対なる忠誠を誓うべきご主人様と!」
「それ、お客様は神様な! あと俺はこの言葉はあまり好きじゃない」
軽く突っ込んだ俺、その直後……ラムが俺に向かって悲愴感溢れる目を向けてくる、なっなんだ? 目に涙を浮かべているぞ? って……ラムは液体だよな? 涙と言う表現は間違っているのか?
「何ですかその突っ込みは! もっとがっと来て下さいがっと!」
「あぁごめんなって、お前は何時までそこにいる気だ?」
俺は目の前に立っているリザードマンに良い放つ、そいつは目を、きらんっと輝かせにかっと白いギザギザした歯を見せ笑って去って行った。
え? 何だ今の!? 全く訳が分からないんだが…取り敢えず気にしないでおこう。
「ちょっとシルクさん! 聞いてますの?」
「ん? ごめん聞いてなかった」
「あたし、放置プレイは好きではありませんの!」
何故か知らんが怒ってしまった。
「シルクさんにはSの心得を知るべきですの! あたしが説明致しますわ!」
あっ、これあれだ……話が永くなる奴だ。
「良いですか? Sと言うのは……」
案の定始始まってしまった長話し……ヴァーム程の迫力は無いものの面倒くささは此方の方が上かもしれないな、延々とSとMについてを話続けるラムを見てどっと疲れが増してくる、もう勘弁してくれ……街中で堂々と意味不明の言葉を聞かされ続ける俺の身にもなってくれ。
「と言う訳ですの! って……シルクさんどうか致しましたか? お顔の色が優れませんわ」
「はは……やっと気付いたか……って何するんだよ」
あれから30分……青空の元馬鹿みたいな話を聞かされ続け俺は疲労困憊になっていた、ぺたっーーとラムが手を俺の額に当ててくる、少し冷たい。
「お店に入って休みましょう」
「おっおい!」
ラムに手を掴まれ引っ張られていく……ここの奴等は強引過ぎやしないか? ラムに連れられ店の奥の休憩室へ行く、そこは小さな部屋にテーブルとソファー、そして冷蔵庫が置かれた部屋だった。
「さぁそこに座って下さいまし」
「まっまぁ座るが……いきなりどうした?」
言われるがままに座る俺……ラムはいきなり心配してくるから少し焦るじゃないか、するとラムが俺の隣に座ってくる。 
「体調はキチンと管理しなくては駄目ですの!」
「いや、それはラムの話が長かったから……」
「うっ……まっまぁ、それは置いておきますの」
……自分の性だって気づいた瞬間、目がおよいできたな。
「まぁ折角此処に来たんだ、少し休憩も良いかもしれないな」
「そっそうです! 長時間の立ち仕事は疲れますの! あら? 立ち仕事って何かやらしく聞こえません?」
「それはお前だけだから気にするな」
頬を手に当て、うっとりするラムを軽く小突く、今の1件で分かった事がある、ラムはもしかして心配性なのではないか? 先程から心配そうに俺を見てくる……会って何日か立っているとしてもそんなに関わりがあった訳ではない。
「そんなにくっつかれると服が濡れるんだが……」
うっ……ちょっと透けて来たな、だがラムはそんな事にはお構い無し
でぴったりと身体をくっつけてくる、なんか恥ずかしくなってきた、そんな雰囲気からなのか黙ってしまう俺。
「あの……少しよろしいですか?」
そんな中ラムが口を開いた、いつになく真剣な雰囲気を漂わせている……。
「あぁ、なんだ?」
「ロア様は素晴らしき魔王です……」
なんだロアの事を話すのか……と思った時だ、ラムが続けて口を開く。
「弱いあたしをご自身の配下に加えて下さりましたの、仲間思いで感情豊かで少し恥ずかしがり屋、そんなロア様があたしは大好きです」
「そうか……」
いつもラムが言うロアへの愛とは少し違った語りだ、俺を見る目が何処か厳しい。
「ですがロア様はシルクさんが好き……あの方は貴方に愛される為に色々したのです」
「そう……だな」
本当に色々してくれたな、自分の事しか考えてなくて正直迷惑だ、だが最近ほんの少しだがロアが俺にしてくるスキンシップを受けるに連れ少し心が揺れてくる、とても変な感じだ……でも嫌悪感とかではない、もっと別の暖かな感じだ、自分でも良く分からないが俺の心が変わりつつあるのか?
「あたしはシルクさんを嫉妬しているのですわ……ですけどロア様が愛した人ですの、あたしが介入してロア様に悲しい顔をされるのは耐えられませんの……ですからシルクさんに譲りますの」
「譲るとか譲らないとかそう言う問題じゃない! 俺には!」
「好きな人がいるのでしょう? でしたらお早く気付いてあげなさいですの」
まただ……またその言葉が出てきた、気付くってなんなんだよ……何に気付けば良いんだ? 一体ラムは何を行っているんだ? 俺には全く分からない、沈黙しているとラムが立ち上がり、頭を下げてくる。
「すみません……言い過ぎましたわ 少し外の風に当たって来ますの」
そう言ってラムは部屋を出ていった……残された俺は妙な感覚に襲われた、「良く見てあげて」とか「気付きなさい」とかここに来てからよく言われる言葉だ、1度真剣に考えた方が良いんじゃないのか? 俺はそう思いつつソファーに深く腰掛けた。
「さて、どうしようか…」
暫くその事について考えよう、何か大切な事かも知れないからな……だがこの場では何も考え付かないまま時間だけが虚しく過ぎていくだけであった、俺は何時か気付く事が出来るのであろうか? くそっ……もやもやするな、そんな思いを抱きながら1日が過ぎていくのであった。
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