どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

125

クータンに謝ってから、昼食を頂いたり、色々と時間を潰して時刻は午後4時……そろそろ地上に戻ろうと考え、変える準備をしていた。

「こんなに長く居て悪いな」
「いっいえ……大丈夫です、きっ……気にしないで……下さい」

そんな会話をクータンの家の前でする。

「じゃ、また来るねよ」

ラキュのその言葉を最後に俺とラキュは地上へと戻っていく……いやぁここに来てもハプニングが起きてしまったな、はははっ、もう笑いしかでないな。


「時間の感覚が可笑しくなりそうだな」
「くふふふ……そうだね」

地上に出た、雨は強さは変わらず弱く降っていた……外は薄暗い、普段なら夕日が射していて綺麗なんだけどな……曇ってるから薄暗くなってるんだろう、だから少し困ってしまう、地下にいて暗かったのに地上に出て暗かったら変な感じになってしまうんだ、隣にいるラキュは笑っているが……本当に分かってるのか? お前はここに長く住んでるからそう言う事になれたんじゃないのか? と心の中で疑ってみる……そしたらラキュが指を鳴らし傘を2つ出現させる。

「さっ、行こっか……姉上とアヤネが待ってるよ」
「あっあぁ……そうだな、ロアが待ってるな、あとアヤネには言いたい事が山程あるから早く帰らないとな」
「くふふふ……程々にしといてあげなよ?」

ラキュの傘を受け取り俺は苦笑いする。

「まぁ……善処するよ」

そう言って俺とラキュは城へと戻っていった。


「シルクぅ」

城に着いた、玄関にはアヤネが待ち構えていて俺に飛び付いて来る、なので俺はそれを片手で制止する。

「むっ……何で止めるの?」

不満げなアヤネ、俺はそんなアヤネを強く睨み付ける、これからお前に説教しなくちゃいけないからな……。

「アヤネ、お前に言いたい事がある」
「ん、なに?」

出来れば玄関じゃなくて部屋でするべきなんだろうが構わない……こいつにガツンと言ってやる、そんな様子を静かに見守るラキュ……その表情は少し戸惑っている、だが黙って腕を組んでこっちを見てくる、何か言いたげな顔だが黙っている……そのまま黙ってくれると有り難いから、黙ってくれよ?

「お前、俺の店を出た後……知らない奴を追いかけ回したらしいな?」
「……何で知ってるの?」

不思議そうなアヤネ、俺は続けて話す。

「偶然だがその娘に話を聞いたんだ」
「ほぉ……で?」

で? と来たか……流石はアヤネ、まだ自分がした事を理解してないらしい、俺は眉をピクピクさせる。

「シルク怒ってる?」
「怒ってるが?」
「え……なっなんで?」

ここで慌てる様子を見せるアヤネ、ここで俺は怒っている理由を話す、自分が「勝負だ」だの何だの訳の分からん事を言って追いかけ回してその娘に恐怖を与えてしまった事を話した。

「……だって、迷ってたから」

声のトーンを落として肩をがっくり落とす、なるほどな……迷ってたのか。

「だったら普通に満ち迷ったって言えば良かったんじゃないのか?」
「だって……」
「だってじゃないだろ?」

ぽこっ……アヤネの頭をチョップする、少しだけ身体をびくつかせたアヤネは俺を見てくる、若干目が潤んでいるが……容赦はせずにもう少しだけ言おう。

「その娘は怖い思いをしたんだ、反省しないといけないんじゃないのか?」
「うん、反省する……その娘にも謝る」

まっすぐ見つめ言うと、アヤネはぺこりと頭を下げる。

「そうかそれが良いだろうな……でも今からは止めとけ、もう暗くなるからな」
「うん、明日謝りにいく」

そうだな、明日にした方が良いだろう。

「だったら僕が案内しても良いかな?」
「うぉ……ビックリした」

いきなり喋ったな、驚いてしまった、ラキュはゆっくりとアヤネへと近付いて行く。

「僕なら迷わずに案内出来ると思うんだ」
「……ん、お願いします」

ラキュが手を差し出すとアヤネがそれに応じる。

「あっ……聞いても良いかな?」

すると手を離したラキュが続けて話し出す。

「クーから聞いたんだけどさ……攻撃されて気絶したんだよね?」
「ん、そうだよ?」

詳しく聞いた話だと被ってたカボチャをアヤネの鳩尾にぶつけたらしいな……それは気絶するだろうな、クータンの被ってるカボチャ重そうだし……ん? と言う事はクータンの素顔を見たんだよな? 少し羨ましいと思ってしまった、俺は見た事ないからな。

「あの後どうやって城に戻ったの?」

おっと……俺も気になっていた事をラキュが言ってくれた。

「えとね……あの後直ぐに起きたの」
「おぉ、直ぐに起きたのか」

まぁ、雨も降ってたからな……雨が身体に掛かって直ぐに起きたんだろう。

「でね、あの後……適当に歩いてたら表通りに出れたの」

……てっ適当、だったら初めからそうすれば良かったんじゃないか? わざわざ知らない娘を追い掛け回すよりかは随分ましな方法だ、呆れた顔をアヤネに向ける俺、でもアヤネはその視線に気付かずに続けて話す。

「でも戻ったのは夕方……」

なるほど……と言う事はアヤネが帰って来て直ぐに俺とラキュが帰って来たと言う事になるな。

「お昼はたまたまでくわしたシルクハットを被った蜥蜴とかげさんに貰った、微笑んでお肉をくれたんだよ?」

シルクハットを被った蜥蜴さん……あぁあいつか、なんと言うか神出鬼没な奴だな。

「お陰で満腹……でも」

しゅん……となったアヤネ、何故か俺に抱き付いてくる。

「雨で身体はぐっしょり、このままじゃ風邪をひいちゃう」

あぁ……そうだろうな、濡れたままだと風邪を引くだろうな、風邪は引かない事にこした事は無いからな……早く身体を暖めた方が良いんじゃないか?

「と言う事でシルク、一緒にお風呂いこ」

うん、訳が分からない……何がどうして と言う訳でだ!

「いや、いかないからな?」

きっぱり断った後、抱き付くアヤネを引き剥がしながら言う俺……まぁこの後の展開は言わずもがな……ロアも出て来て抵抗虚しくお風呂に入った、城に帰ったら休もうと思ったが……駄目だ、これじゃぁ安めそうにないな、はぁ……。

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