どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

98

「……ん」

何か身体に違和感を感じた……だからぐねっと身体を動かした、何か背中と尻に柔らかいのが当たってる……あぁ俺は寝てるんだな、この柔らかいのはベットだな……何故だ? あっ……そうだ、俺は突然倒れて多分誰かにベットへ運ばれて今に至るんだろう。
くっ……何だか身体がダルく感じる、また風邪でも引いたか? だったらあの痛みはなんなんだ、くそっ考えても分からない……と言うか物凄く身体を揺らされてるんだが……これは気のせいじゃないよな? 確実に誰かを身体を揺らされている!

「おーい起きてー」

この声……アヤネか、物凄く揺らされまくるので俺は目が覚めてしまう、心配なのは分かるがもう少し優しく揺らしてくれ……あっ、撤回する、揺らさないでくれ。

「やめろアヤネ……ってうわっ!」

沢山揺らされたので目が覚めた俺は起きた、そしたら目の前にはアヤネがいた、ビックリした。

「起きた、良かった……」

俺の顔を見て安堵するアヤネ……また心配をかけてしまったな。

「シルクー!」
「うおっロアっ!」

と思った時だ、ロアが飛び付いて来た……がばぁっと抱き付いて来たので俺は「ぐえっ」と言う声が出てしまった。

「わらわが寝てる間にまさかこんな事になるとはのぅ」
「ん……あぁ俺、身体が痛くなって倒れたんだったな」

心配そうに見つめるロア、そろそろ離れても良いんじゃないか? と思ったらアヤネが強引に引き剥がしてくる、それに対してロアは手で振り払い喧嘩になりそうになる……がその時だ、いるのに全く気が付かなかったがヴァームが現れて「こほんっ」と咳払い、そしたら2人は静かになってしまった。

「シルクさん、お加減はどうですか?」

優しく聞いてくるヴァームに今の状態を正直に伝える。

「ん、今は身体は痛くないから問題ないぞ」

俺は身体をぺたぺた触ってみる、するととある変化に気付いた、何か、人形に着せる様な服を着せられてる……こんな服着た覚えがない、と言うか。

「身体が元に戻ってる……」

まじまじと身体を見つめたらそんな言葉が出てしまった、うん……戻ってるな……下の方も付いてる感じがする、つまりあれだ……男に戻ったと言う事か。

「えらく唐突だな!?」

確かにメェは3日経つと元に戻るって言っていた、それにしたって急に戻りすぎだ! まぁ元に戻ったから文句は言わないでおこう、あぁ戻って良かった……。

「もっと見たかったな……」
「何か言ったか?」
「何も言ってない」

まぁそう言う事にしておこう。

「いやぁ、わらわは寝ておったのじゃがあまりに騒がしかった故に目が覚めてしまったのじゃ」

ロアがアヤネを押し退けて俺に身を乗り出してくる、アヤネも負けじとロアを押し退ける。

「そっそうか……騒がしくしてごめんな」
「いえ、そのお陰でロア様は目が覚めましたので感謝します」

ヴァームはぺこりと頭を下げる、あの騒ぎがなかったらロアは目覚めなかったと言う訳か……本当に朝の弱い魔王だな。

「いやしかしあれは見物じゃったぞ……ぐぎぎぎぃ」
「見物だった……うぐぐぐぅ」

まだまだ続く押し退け合い……仕舞いには睨みあってお互いの胸を掴みあっている、よし目を向けないでおこう。

「で、何が見物だったんだ?」

その上で気になった事を聞いてみる、俺の寝てる間に何が起きたのか……するとアヤネとロアは俺を見て同時に口を開いた。

「全裸になったのじゃ」
「はだかになった」

……裸、えーと何故裸?

「えと、つまりどう言う事だ?」

良くわからなかったので詳しく聞こう。

「シルクが倒れて、このでか胸魔王が起きたらむくむくって大きくなった」
「……は?」

詳しく聞いても良く分からん……だが、あの身体の痛みは元に戻った反動と考えても良いだろうな。

「えと……つまり俺の身体が大きくなったんだな?」

自分なりに解釈して聞いてみる、するとアヤネとロアは頷く、どうやらあっているみたいだ。

「うむ、そりゃもう大きくなって服がビリビリぃとやぶけたのじゃ!」
「そのお陰でシルクのあれが見えた……結構大きいんだね」

成る程、大きくなって俺のあれを見られたと言う訳か……そんな事実を知ったら恥ずかしくなって余計目も合わせられないぞくそったれ!

「まっまぁ……取り合えず元に戻ったからいいさ」

俺は2人を手で退かせ立ち上がる、そして伸びをする……うっ身体がまだ痛むな、とそんな事を考えた時だった。

「シルク……」

するとアヤネが抱き付いて来た、上目使いで見つめてくる、先程までの雰囲気を塗り替えるかの様な寂しげな空気が辺りを包む。

「さっき言ったの嘘だよね……」

さっきと言うのは俺が此処に残ると言う言葉の事だろう……相変わらず急に話を変えてきたがこれは仕方無いだろう、アヤネは俺が心配なんだ……。

「んなっこの無い胸!何を抱き付いているのじゃ!」
「ロア様……今だけは堪えて下さい」

だがロアはそれが気にくわないのかアヤネを引き剥がそうと向かってくるがヴァームに止められるそして耳元で「次無い胸と喋ったら……」と言う様な事を囁かれる、その瞬間びくんっと身体が跳ねたロアは顔が真っ青になり怯えて静かになってしまった、最後の方……何て言ったんだ?

「ねぇ、答えて……」

そうだ、今はアヤネの方が先決だ。

「アヤネ、あの言葉は嘘じゃない、俺は此処に残る
これは俺の過去の問題だ」

アヤネにははっきりと言わなければならない……だから此処で全てを話す!

「俺には好きな人がいる」
「……え」

アヤネの表情が曇った、それを見て動揺したが続けて喋る。

「色々と一致しない点があるが……そこにいるロアは昔会った娘と重なる、そこの所を俺ははっきりさせたい……だから俺は此処に残りたい」

真剣な目でアヤネに語る、俺の意志が伝わる様に……どくんどくん、と心臓の鼓動がやけに大きく聞こえる、俺の言葉を聞いているアヤネはどんどん表情が暗くなっていく。
伝われ……頼むからアヤネに伝わってくれ、そう願う俺……アヤネは俺の言葉を聞いて下を向いてしまう……そして1度ロアの方を向いてから俺を見つめた、その目は心なしか何かを決意したかの様な目だった。

「わかった……」

そのアヤネの言葉を聞いてほっとする俺、アヤネはロアの方を向いて指を指しある言葉を口にする、分かってくれたのなら有り難い、だがアヤネには深く謝らなければならない……と思ったのだがアヤネが話した事は予想だにしない事だった。

「そこの魔王、私とーーして」
「なっ……!」

俺は驚きのあまり声が出てしまった、その言葉は衝撃の言葉だった、アヤネ……お前何を考えているんだ!

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