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俺様専務と崖っぷち令嬢~俺を満足させられたら~

ごとう深恵

一章 (3)

 コーヒーが飲めない大人がいるのだろうか? 不思議そうに首を傾げた瑠璃であったが、突如男が隣に腰を降ろしてきたので、一瞬にして心音が高鳴り始めた。ただ隣に座られただけで手を出されてもいないのに、心臓が破裂しそうになっている。

 ココアを半分まで飲んで、カップをテーブルに置く。なんとなく、指が震えてたままになってしまい緊張を隠しきれない。

 赤の他人、今日出会ったばかりの男性が瑠璃の隣に座っている。その事実だけで瑠璃の脈拍が上昇し続ける。

 大丈夫、今からたった数時間を男に捧げるだけ。人生八十年と考えても、たったの数時間だ。なんの支障も出ない。家を救う為には、自分の身だって。

「おい」

「はいいいいいいっ!」

 我に返った瑠璃は肩を大きくびくりとさせて男を見つめる。話を聞きこぼしてしまったかと、目を見開いてただただ見上げる。三十センチ以上の差がある男は、アーモンド色の瞳をしていて、そんなに綺麗な瞳を瑠璃は今まで一度も目にしたことがなかった。何気なくこの目でとらえているだけで吸い込まれてしまいそうになる。髪の毛は漆黒であるため、純日本人というよりもハーフかクオーターか。どちらにしろ、今まで出会った人間の中にこんなに目を惹かれる程綺麗な人はいない。

「どうした、そんなに見入って」

「なんか、綺麗な瞳だなぁ、って思って」

 男は瞬きを三度すると瑠璃を軽々と持ち上げ、リビング向かい側の部屋へと運ぶ。その部屋は本棚にデスク、それとベッドが配置されている。ベッドの上へと優しく横たえられたが、男は瑠璃の上に馬乗りをする。

「え、えっと、あの」

「お前ってずっと変わらないな」

 なにが変わらないのか?

「私、あなたと会った覚えがないのですが。えっと、いつお会いしましたか?」

 ただ、純粋な疑問であった。

 瑠璃にとっての疑問に、男は大きく溜息を吐いて、瑠璃の唇を塞いだ。

 初めての接吻に、瑠璃はかっと熱くなり視界がぼやけてくる。

 鼓動の高鳴りで脳までが沸騰してしまう。

 男の背中を平手で叩くが、叩くほどに舌が瑠璃の唇をこじ開け、滑り込んでは抜かれていく。全体重をかけられ、逃げ道も失う。

 小学生と間違えられる瑠璃と並ぶと、巨人と呼んでも間違いではないのではないだろうかと思ってしまう程に長身の男との体格差は、瑠璃の抵抗力を根こそぎ奪う。背中を叩き暴れるのを停止した瑠璃は男との接吻を進んで行うが、キスの経験もないためどうすればいいのかも分からない。舌を絡めて、口の中に分泌された唾液を飲み、繰り返し、繰り返し男の舌を舌で撫で回す。

 男が顔が離すと、ふふっと鼻で笑った。

「もしかして、男性経験皆無か?」

 図星を突かれ、瑠璃は涙目になる。息が苦しかっただけではなく、キスもしたことがないことを気付かれた。

「し、仕方がないじゃないですか。男性とお付き合いしたことないですし。あなたみたいに一人暮らしの経験もないですし。そ、それに、あなたみたいに性に奔放じゃないですよ」

「性に奔放って、瑠璃は俺のどこをどう見てそう判断したのか聞きたいぐらいなんだが。あれか、一人暮らし=女を連れ込んでいると?」

 そこまでは言っていないが、一人暮らしをしているのなら、女性を一人や二人家に招くことは容易いのではないか。性的な提案をしたのも、男が瑠璃を手軽に性欲を満たせる道具として考えたからだろう。

「私を抱けば気分が晴れたりします?」

「最初に言っておくが、ストレス解消のためにお前を抱くわけじゃないからな。瑠璃はずっと俺のもの、それだけだ」

 いきなりの宣告に驚き、瑠璃は瞬きを繰り返した。出会っていきなり自分の所有物だと言い切るその傲慢さに呆れを通り越して感心すら覚えてしまう。

 男は、瑠璃が身に着けているワイシャツのボタンを一つずつ丁寧に外していく。スカートも脱がされ、ストッキングにも手をかけられ一気に引き下ろされた。

「へぇ……白」

 瑠璃が身に着けている下着は白色だ。いつもは薄い水色や桃色の下着を選ぶが、今日に限って白を選択した理由は特にない。それでも、白だから男はいたくお気に召したようで、素材を楽しむように触れている。

 男のごつごつとした指は、キャミソールドレスをめくり腹部や腰のラインをなぞる。ただ指でなぞっているだけだが、繊細とも言えるその指の動きが、非常にくすぐったかった。

 緊張をほどくためか、指や手のひらが身体のあちこちへ触れてくる。耳たぶを吐息で刺激して、指は胸元へと伸びてきた。

 キャミソールドレスの上から、ブラのフォックを外してドレスと共に取り去られる。思わず腕で胸元を隠すが、男の指が腰全体にかけて擽りはじめた。あまりにもこそばゆくてついつい笑ってしまう。

「ほらほら、力を抜いてしまえよ」

「い、いやだぁ……あはははっ、そ、そこ、弱いからっ、そ、そこまで、ふふふふっ、ははははっ、いやだはあはははははっ」

 胸を隠していた腕は容易く放され、二つの膨らみが晒されてしまう。Cカップの胸は、身長の割には大きい方に入ると自負はしている。だが、アンダーバストが細いせいで大きく見えない。体格のせいで、ということがあるが、腰回りが細いことも合わせれば実年齢より幼いと勘違いされてしまっても仕方ない。

 男はまじまじと瑠璃の胸を眺めると、首筋に唇を落としてきた。

 胸ではなく首筋、これでは隠していた意味がない。

 女は聴覚から快楽を得て、男性は視覚から快楽情報を受け取るとのこと。つまり、胸を隠したままでは、情動を擽られない、と。

 舌をなめずり落とした場所は瑠璃の胸元であった。双丘を掌から漏れぬように掴み上げられ、指と指の間で頂を挟んでくる。上下に第二関節を動かされ、なんとも言い難い感覚が瑠璃の中へと芽生える。

「ん、んんっ……な、なに、これ」

「経験、ないか。最初はなるべく無理をさせないようにするが……」

「そ、そんなっ、こ、こんなの、おかしい、よ。身体、変になる」

 文字通り、身体が発熱したように体温が上昇する。息も途切れ途切れになるほど、意識がぼやけてしまう。

 もどかしく腰を振ると、尖端への刺激は鋭さを帯び始めた。円を描くように全体を揉み上げては、二本の指でしこる。

 男が何度もなぞり上げてくると、段々と胸の先が尖っていく。と、同時に痛みに近い感覚が、瑠璃の全身を駆け巡る。

 過敏になった右胸を男の唇が捉え、吸い付かれた。

 ざらついた舌先はただひたすら瑠璃の敏感になった乳首を弾いては、突き、アイスキャンディのように舐める。月経前には胸が張り、乳房も膨らんでしまうが、この刺激はそれとは違う。快感へ導くための前戯となっている。

 ぷちゃんと右の頂が解放されるが、今度は左胸へと顔を埋めた。口で上体の敏感な場所を弄られているが、片方の腕が瑠璃の大腿を指でなぞってきた。

 すべすべの肌を気に入ったようで、指だけでなく掌全体で弄ぶ。汗をかいたように肌がしっとりと濡れ、滑りが悪くなる。腹部から汗がふつふつと湧いた経験が皆無のため、戸惑いを隠せない。毛穴までも敏感になっている、そう勘違いしてしまう。

「暑いな……脱ぐか」

 男は呟くとネクタイを外し、乱雑に衣服を脱ぎすてる。腹筋はくっきりと割れており、腕の筋肉は逞しく、格闘技を嗜んでいるかのようだ。指もごつごつしているのは、同様の理由だろう。

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