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異世界転生の冒険者 【電子版限定書き下ろしSS付】

ケンイチ

プロローグ (3)

「ごほんっ! 初めまして天馬君、僕が君を連れてきた創世神だ! よろしく」

 一五歳くらいの少年が声をかけてきた。頭には漫画で見るようなたんこぶが八個ほどできている……タコ殴りにされて、怪我があれだけというのもある意味すごいな。

「みんなよろしく、俺は鳳天馬だ。取りあえずは、これから俺がどうなるのか、どうすればいいのか誰か説明してくれ」

「そうだね、じゃあ僕から説明するよ。まずはそれに座ってくれ」

 創世神を名乗る少年が指を鳴らすと、俺のそばに椅子が一脚、俺を囲むような形で半円形に椅子が一〇脚現れた。少年は居住まいを正すと、

「改めて初めまして天馬君、そしてようこそ僕たちの世界『ファンタズマ』へ! といっても、僕たちくらいしかこの世界の名前を知らないんだけどね」

「その前に質問していいか?」

「どうぞ」

 創世神が答えるのを待ってこれまでで一番気になっていたことを訊くことにした。

「何々の神というのは聞いたが、まだ名前を教えてもらってないんだが」

 創世神はキョトンとした顔で、

「名前? そんなのないよ。強いて言えば何々神というのが名前だよ」

 その言葉に、訊いた俺の方が驚いてしまった。

「不便じゃないか?」

 と訊き返すと、創世神は何か納得したような顔をした。

「ああ天馬君からすると、個別の名前がないのは不便に感じるかもしれないけれど、神の名前なんて時代と統治者が変わればちょくちょく変わっていくし、人間が勝手につけた名前を名乗るのは何か嫌だからね。めんどくさいし」

 絶対に最後のが本音だろうな、とは口に出さずにおく。

「まあそれはさておき……まず君に言っておきたいのは、この世界に転生したからといって君にやってもらいたいことがあるわけではないということ。君が生まれ変わった時点で、僕たちが君を呼んだ理由がなくなるからね。自由に生きていいよ。まあさすがに世界を滅ぼすとか、さつりくの限りを尽くすとかになったら僕たちが介入すると思うけどね」

 と、冗談めかしてはいるけど冗談を言っている雰囲気ではない。

「わかった、肝に銘じておく」

「そうしてくれると助かるよ。いざ介入するとなったら、本当にめんどくさいからね」

 そればっかりだな、創世神。

「何かチート能力がもらえると言っていたけど、どういうのがもらえるんだ」

「うん、まずはね定番中の定番『鑑定』だね! 便利だよ、これは。あと『成長力増強』! これはあらゆる成長力、経験値なんかが他の人たちのもらえる量に比べて一〇倍近くに増えるよ。あとは君を気に入った神たちがそれぞれの加護かチート能力を君にあげる感じかな。ここにいる神たちはあげることに決めているよ」

「どんなのをくれるんだ?」

 生きている時は、漫画やアニメ、ラノベといった日本文化に触れて育った現代っ子だ。超人的な能力にはそれなりに興味がある。

「それは内緒だよ、生まれ変わってからのお楽しみさ。でも、この数の神から能力をもらえるのは君が初めてだよ。よかったね」

「初めてってことは過去にもこの世界に来た奴がいるのか?」

「いるよ。全部で四~五〇くらいかなぁ。まあ、中には人ではなく犬だったり猫だったり、変わったのでは魚だったこともあるよ」

「魚……(犬や猫、果ては魚と俺の魂は同格なのか……)」

 そんな俺の複雑な思いに気がつかない創世神は、懐かしむような顔で話を続けた。

「ちなみに日本産のこいだった。確か、ナミタロウとかいう巨鯉で二メートルを超えてたよ。転生してすぐに釣り上げられていたけど」

「かわいそうに」

「人間が一番多かったけど性格の悪い奴もいてさ、誰からも加護やチートをもらえない奴もいたよ、でも大体一つか二つはチートをあげていたよ」

「それを考えると多いな、ありがとう」

「どういたしまして、じゃあそろそろ始めようか、あっ、前世の記憶とかはどうする?」

「残してくれ」

「わかったよ、君が寝ている間に終わるからね、目が覚めたら生まれ変わっているよ。それと生まれ変わるといっても僕たちが体を創るから君には親がいない、その代わりに君を育ててくれそうな人の近くに連れていくよ。最悪の場合でも加護があるから何とかなるはずだよ」

「かなり無責任だな、まあいい、そろそろやってくれ」

「いいんかい! まあ、なるべく優しそうな人を探してみるよ。じゃあ始めるよ。天馬君、君の第二の人生が幸せであることを祈っているよ。おやすみ」

「ああ、おやすみ」


 天馬が眠りについたあと。

「さて、これから天馬君に加護やチートを授けていこうか。僕は『鑑定』と『成長力増強』の他に、『創世魔法』と『付与魔法』、ついでに『隠蔽』をあげるよ、もちろん加護もね」

「私は、加護に全力をつぎ込むわよ。というよりそれしかないけど」

「愛の女神の加護なら、いい人たちと巡り合えるからいいじゃないですか~。私は加護と『探知能力』をあげましょうかしら~」

「あたしは『生命力増強』と『回復力増強』と加護をあげるよ」

「僕は『即死耐性』と『異常効果耐性』かな、加護はなしで」

「別にあいつなら、死神だろうが何だろうが、気にしないとわしは思うぞ。まあ、それは死神が決めることだから、別にいいが……わしからは『技能習得力増強』と加護だな」

「僕は『全魔法属性』と『魔力増強』と加護をあげるとしよう」

「……我は『感覚強化』と『けんぞく強化』と加護……」

「ということは、天馬はテイマーになれるな。俺は『破壊耐性』と『破壊力増強』と加護だな」

「あたしは~…『あたし自身』きゃっ!」

「「「まじめにやれ!・しなさい!・しろ!」」」

「何よ~みんなして、わかったわよ、じゃあ『あたしの愛』!」

「「「全然わかってない」」」

「仕方ないわね~。なら、武術の習得を早める『武芸百般』と『身体能力増強』と加護よ! これならいいでしょ!」

「決まったね。それじゃあ天馬君に付与するよ…………よしっ、できた。取りあえず今現在の能力を見てみよう」

「……これはやりすぎたかな?」

 創世神の呟きに他の神たちは苦笑いをするしかなかった。

「約束された能力値が、あの世界の人類最強クラスを超えていますからねぇ……しかも加護や能力を詰め込みすぎたせいで、どこまで強くなるのか読めませんし……」

 大地の女神の声には、珍しく焦りが感じられた。それもそのはずである。普通に成長するだけで人類最強クラスが約束されているのに、経験次第ではそれを大きく上回る可能性が高いのだ。それこそ人の身でありながら神になったり、もしくは人の身でありながら神を殺せる存在になりかねない。

 もっとも、大地の女神は後者を心配しているのではなく、天馬の肉体や精神が成長についていくことができるのかを心配しているのである。人の身でありながら人以上の力を手にした者の多くは、その力によって身を滅ぼしてしまうからだ。

「俺の破壊耐性もあるから、そうそうのことでは肉体・精神共に壊れることはないと思う。これから天馬のことを見守りながら、危険な兆候が現れ始めたら、その都度対処することにしよう。あくまでも、『我々にできる範囲で、尚且つ天馬の意思を尊重する形で』だがな」

 破壊神の言葉に全員がうなずき、それぞれ自分ができることを考えながら横たわる天馬を見つめていた。

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