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勇者パーティーにかわいい子がいたので、告白してみた。

水星

第1話 告白してみた (2)

 それより、冴えないは()(けい)だ、ビッチ魔法使い、と心の中でツッコミを入れる。

 そして視線を剣士に移すと、いつの間にか(さや)から剣を抜き、俺に向けていた。

 クールで()(もく)キャラはいいから、なんか言ってから剣を抜けよ。

 戦場ではそういうのがマナーだろうに。

「皆さん、最善を尽くしましょう」

 俺の天使こと(そう)(りよ)さんは、杖を俺に向けて(けい)(かい)のご様子だ。

 彼女に見られてから、()(だしな)みを確認したのがまずかったのだろうか。

 だらけた姿を見せたくなかっただけなのにさ。

 確認も終わったところで、俺はこの一ヶ月ずっと言い続けた台詞(せりふ)を告げる。

「フハハハハ! (しよう)()りもなくまた来たな、勇者よ。魔王様の幹部の一人、ザエキル様率いる(あん)(こく)()()部隊五番隊隊長であるこのヨウキが、また貴様らを()(ごく)に送ってやろう」

 いつもどおり(ちゆう)()全開な自己紹介。

 最近決めポーズも考えたので、それはもうノリノリで試してみた。

 人の目なんて気にしないさ。

 勇者パーティーが勝負を挑んできた。

 

 その後、まあ、当たり前だがチートを持っている俺に勝てるわけがなく、徐々に(れつ)(せい)になっていく勇者パーティー。状況的に見てそろそろいいだろうと思い、勇者にある取引をもちかける。

「勇者よ。貴様は気づいているのではないか? 私には勝てないと」

 ここ一ヶ月ほど魔王城に来ては戦い、負けることを繰り返しているのだ。(うす)(うす)感づいているだろう。

「……っ、だからどうした! 僕は苦しんでいる人々のため、僕を信じてくれている仲間のため、勝たなきゃいけないんだ」

 分かっているけど引き下がれない。そういったところだろうか。

 だが、もう勇者パーティーはボロボロだ。このまま戦いを続ければ、いつもどおり全滅するだろう。

「ならば、取引をしようじゃないか。もし、取引に応じればこの先に行かせてやろう」

 勇者パーティーの動きが止まり、俺を見つめる。彼女も俺をじっと見てくれているので、照れてしまうが顔には出さない。

「……なにが望みだ」

「その少女を置いていけ。そうすれば他の三人は通してやろう」

 俺は(そう)(りよ)の彼女を指差した。

 言い終えたあとの反応は様々だった。

 勇者はふざけるなと怒り、剣士は目を見開き、魔法使いはライバルが減るとでも考えたのだろうか、笑いをおさえられないようだ。

 そして、(かん)(じん)の彼女は何か(あきら)めたような表情をしていた。

「ふざけるな! そんなことできるわけないだろ。セシリアは大事な仲間なんだぞ」

「いいのか? なら取引はなしだ。また近くの村から再出発するといい。その間に何人の人間が魔族に襲われて死のうが、俺は知らんがな」

 これは本当に知らない。なぜなら、俺は村を襲ったりという、人を殺すような任務を一回も受けたことがないからだ。

「ユウガ、取引に応じましょう」

 ライバルを()()とすチャンスだと思ったのだろう。ビッチ魔法使いが俺の誘いに乗るように提案した。

「ミカナ!? 何を言って……」

「ユウガ、落ち着いて考えてみなさい。あの魔族、()えない顔をしているけど、化け物じみた実力を持っているわ。悔しいけど私たちじゃ何度戦っても勝てないぐらいのね。そんな相手が条件さえ()めば、ここを通してくれるって言っているのよ」

「だけど……セシリアを一人ここに置いていくなんて!」

「セシリアだってすぐにはやられないでしょう。その前に私たちが魔王たちを倒して戻ってくれば、何も問題ないわ」

 その後も仲間を信頼しましょうなどと言い、俺との取引に応じさせようとする。立場が(そう)(りよ)と逆なら騒ぐのだろうに。

 剣士は無言で事の成り行きをみている。こんな時でもクールキャラはぶれないようだ。

 そして数分の間、ビッチ魔法使いに(さと)された結果。

「…………分かった。セシリアを……置いてく」

 どうやら取引に応じることにしたらしい。()(じゆう)の決断だったのだろう。よほど悔しいのか、硬く握りしめた(こぶし)からは血が出ている。

「フッ、では行くがいい」

 俺が開けた扉に進んでいく、三人になった勇者パーティー。勇者は何度も(そう)(りよ)を見て、絶対に戻ってくるからと言い残し、去っていった。

 中に進んだのを確認した俺は、扉を閉める。これで彼女と二人きりである。やばい、緊張してきた。

「……たとえ勝ち目がないと分かっていても私は(あきら)めません。私の力ではあなたに傷の一つも付けられないでしょう。でも、最期まであがいてみせます!」

 彼女は武器である杖を(かか)げ、光の中級魔法《ホーリーレーザー》を放つ。

「……って、ちょっと待ってください。タンマ、タンマ!」

 俺は別に彼女と戦いがしたいわけじゃない。

 彼女の魔法を()き消し、手をあげてアピールする。

「……なんですか。私を油断させる罠ですか? そんなことしなくても貴方(あなた)は私を殺せるでしょう」

「いや、違うんですよ。本当に」

 俺は――

「ならなんですか? もしかして、ヒーラーである私に残れということは、この先に罠でも仕掛けていて、ジワジワとみんなを痛め付けて殺すつもりなんじゃ!」

 そんなまどろっこしいことはしない。

「殺すつもりなら最初にそうしてる。俺は君に用があったんだ」

 俺はただ――

「では私だけ殺すと――」

(ひと)()()れしました。俺と付き合ってください」

 告白したかったんだ。

「は!?

 状況についてこられず、彼女はただ(ぼう)(ぜん)とするのだった。

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