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異世界転移したのでチートを生かして魔法剣士やることにする

進行諸島

最初の町 エイン (2)

 決して安全そうな生物とは言えないので、気付かれないように静かにその場を去る。

 匂いなどで見つからないかとも思ったが、幸いここは風下のようで、気付かれずに緑犬が見えなくなるまで離れる事ができた。

 それでも油断せず、まずは周囲を確認し、危険そうな物がない事を確認してからさっきの生物について考える。

 アレは明らかに日本の生物ではない。いや地球の生物ですらないだろう。

 ゲーマーの俺の事だ、現実にいる生き物を適当につなぎ合わせて、ゲームっぽい生物を夢に作り出したのかもしれない。

 そうなると、他の部分もゲーム的になっているのではないだろうか。

 しかし、ここにはグラフィックユーザーインターフェースはもちろん、キーボードもマウスもない。

 どう操作すればいいかはわからないが、俺の夢である以上は俺の発想を大幅に超えるような物ではないだろう。

「メニュー、ステータス、アイテムショッ……おっ!」

 まず手始めに、という事で思いつくシステムコマンドっぽい物を唱えてみたが、アタリだったようだ。

 軽快なサウンドと共に目の前に半透明のウィンドウが表示され、俺は思わず声を上げる。

 その際にびっくりして上を向いてしまったが、ウィンドウは視界についてくるようだ。

「夢にまでゲームを持ち込むようなゲーム脳か、俺は……」

 独り言を言いながらステータスを確認する。

 画面には、俺の年齢、性別、種族、レベル、HP、MP、またINT、STR、AGI、DEXといった、ゲームで見慣れたステータス群が書かれている。

 レベルは一で、他の数値はHPが五〇ほど、MPが一〇〇〇ほど、INTとDEXが四〇ほど、他が二〇程度となっていた。

 MPだけ桁が違う。

 また、スキルもその後に文字列として列挙されている。メイザードとは違い、スキルツリーやアイコンは存在しないようだ。

【情報操作解析】、【異世界言語完全習得】、【魔法の素質】、【武芸の素質】、【異界者】、【全属性親和】。

 これが今俺が持っているスキルの全てである。

 この能力は高いのだろうか。

 平均値はわからないが、MPが他に比べて随分と高い気がする。INTやDEXも比較的高いようだ。

 だが、MPの桁外れ具合に比べると差は大分小さいと言えるだろう。

 これが基本だとしたら、このゲーム世界のステータスはかなりアンバランスにできている。

 MPを眺めつつ、平均的にはどんなバランスなのか知りたいと思った時、視界にステータス画面に比べると大分小さいウィンドウが表示された。


  MP:最大値一〇一二、現在値一〇一二

  説明:魔力量、魔法などを使用する際に消費される。

  この世界の人族の平均魔力量を一〇として定められる相対的な数値。

  現在値が最大値を下回った時点から一分ごとに最大魔力量の一〇〇〇分の一を回復する。

  小数点以下を切り捨てて表示。


 これを見る限り、どうやらMPに関しておかしいのはバランスではなく俺の方らしい。

 HPの方も調べてみたが、こちらは健康状態や丈夫さを数値化した物であり、自然回復量などは決まっていないようだ。

 ゲームシステムとしては、随分と大雑把である。

 他も調べてみようと思い、再度ステータス画面に目を移すが、そこになんだか見逃してはならない物が見えた気がして二度見する。

 ──【異界者】、【異世界言語完全習得】。

 おそるおそる、それを調べてみる。


  【異界者】:ユニーク/ランク10

  説明:違う世界から来た事により、ステータス、スキル習得率、魔素親和性などに幅広く影響が出る。

  元々いた世界の位の高さにより効果が変動する。

  ランクはこの世界を五とした相対的な数値。

  数値が高いほど、大きく能力を向上させる方向に働く。


 魔素親和性がどうとか書いてあるが、魔素とはなんだろう。

 そう考えた時、俺は魔素を見ている訳ではないにもかかわらず、魔素の説明が表示された。


  魔素

  説明:世界に遍在する、魔力との高い親和性を持つ元素。

  人間が保有可能な量は限られており、その許容量と魔力の精製能力により最大魔力量が決定される。


 ……異常な魔力の原因は、魔素親和性で間違いないな。

 見ていないのに説明が表示されたのは、目に映らないというだけで目の前に魔素があったからだろう。

 魔素親和性というのは、その保有可能量が多いという事に違いない。

 精製能力というのはよくわからないが、書き方からすると、魔素と魔力が混じった中から魔力だけを抜き出す力に見える。

【異界者】は魔素親和性以外にもステータスなどに影響をおよぼすらしいので、やたらと高く飛べたり速く歩けたりしたのも【異界者】のせいだろう。

 しかし、最大の問題はそこではない。異世界がどうとか書いてある事だ。

 もちろん、これが夢の中のゲーム設定だとしたら全く問題はない。

 だが、頬をつねった時の痛みやら、この辺りの地形やらに妙な現実味があるのだ。

 まさか、これは夢ではなく異世界……?

 いや、まだそう考えるのは早い。

 第一、俺が異世界に行くような理由はないし、植生もほとんど日本と同じなのだ。

 夢の可能性が一番高いだろう。

 ……だが、あの犬は明らかに日本の生き物ではないし、見た事もない。

 全く知らない物が、夢の中に出てくるだろうか。

 俺は脳科学やら夢やらの専門家ではないので詳しい事はわからないが、知らない物はほとんど出てこない気がする。

 考えていてもらちが明かない。もしこれが夢であればそう長くない時間で目が覚めるだろう。

 一日も覚めなければ、ここは異世界だと判断できる。

 夢であればどんな行動を取ったところで問題はないが、とりあえずはここが異世界であると仮定して行動する事にしようか。

 ……根拠はないが、なぜかここは異世界のような気がするのだ。

 ともかく、調査を継続する。


  【情報操作解析】:ユニーク

  説明:情報を解析し、操作する能力。

  視界に入っている物、生物を【鑑定】する事ができる。

  対象に触れる必要はなく、魔力は消費しない。

  また、本人の了解を得る事により、鑑定された際に表示されるステータス等を隠す事ができる。

  さらに、隠蔽が施された情報も解析が可能。


 さっきから情報が調べられるのは、このスキルのせいだと思われる。

 恐らく、【鑑定】と呼ばれるスキルがあるのだろう。説明の書かれ方からして、【情報操作解析】は、【鑑定】の上位スキルだと考えた。

 情報操作もできるようだし、ユニークなどと書かれているので、珍しいスキルかもしれない。

 その場合、ここが異世界であれば見られると面倒な事になりそうなので、このスキルで自分のステータスを隠す事ができるのならそれはありがたい。

 隠す以外の、たとえば偽装が行えるかどうかはわからない。試せばいいか……。

 さっきは特に【鑑定】だの【情報操作解析】だのと唱えずともスキルが使用可能だった事から、恐らく詠唱などはいらないんじゃないかと推測し、【異界者】を隠蔽したいと念じる。

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