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エロいスキルで異世界無双

まさなん

序章 それでも勇者ですので (1)

序章 それでも勇者ですので



プロローグ 『ネットの闇』で見つけたRPG


 明かりを消した薄暗い部屋で、パソコンのモニタだけが浮かぶように煌々と光っている。カチカチとマウスをクリックする音が光陰ときに響く。

「なんか、面白い事ねーかなー」

 ネットを適当に漁っていくが、面白そうな漫画は全部読んだし、ほぼすべてのアニメも視聴済みだ。

 動画は他人の養分アフィになりたくないし、広告が邪魔ウザい

 ゲームもどれだけやったか分からないほどだが、どうも最近のは面白くない。

 某掲示板で釣りをやるのも飽きた。


 だからヒマだ。


 無職DT引きこもりにとって、暇は敵である。

 残業続きの正社員様から見れば贅沢な悩みかもしれないが、退屈は退屈。

 もちろん、働いたら負けだと思っているから、求職活動はしない。

 昔は真面目に働いていた事もあったが、ブラック企業のデスマーチに嫌気が差して俺は会社を辞めた。

 外に出ないから、トラックにねられる事も無い。

「お? ふーん、懐かしいキャラメイキングだな」

 RPGっぽいサイトを見つけたが、ボーナスポイントを筋力や魔力に割り振るタイプ。

 スタートもしてないのに、いきなりキャラメイキング画面になっているが、最近のブラウザゲームも課金をしてもらおうとあの手この手をやってくるな。

 暇だし、ちょっとだけ遊んでやろう。

 絶対に課金しないけど。

 適当に数字の横のプラスマイナスをクリックして18ポイントを割り振ってみた。


 種族 ヒューマン 男


 筋力 15 +

 俊敏 11 +

 体力 14 +

 魔力 6 +

 器用 8 +

 運  9 +

 ボーナス 0


 筋力STR体力VITを多めに振った戦士タイプ。俊敏AGI器用DEXもおろそかにしないバランス重視。

 器用さって命中率に影響したりするもんな。

 魔力はデフォルトの数値のままだ。

 ついでに、他の種族も選べるのかと思って、種族やヒューマンの文字の辺りをクリックしたが、何も起きない。固定のようだ。

 下にある【次へ】のボタンは押さずに右上の【やり直す】をクリック。


 種族 ヒューマン 男


 筋力 7 +

 俊敏 7 +

 体力 8 +

 魔力 6 +

 器用 7 +

 運  6 +

 ボーナス 27


「お、ランダムボーナスか……」

 数値がリセットされ、ボーナスポイントが今度は27まで増えた。基本の能力値も若干変わっているが、7が平均かな。

 ボーナスポイントの上限が知りたくなったので、【やり直す】を連続でクリック。


 12、8、3、1021、7、9、151115


「ちぇっ、さっきのが一番良かったってオチか?」

 20超えはなかなか出てこないようだ。

 11から15ポイントが出やすい感じ。

 ま、こっちはいくらでも時間はある。

「おりゃあああ!」

 指三本で左クリック連打。某ネトゲで自称チーターを張っていた俺が会得している高度なテクだ。連射付きコントローラーには負けるが、それよりも凄い事ができる。

「ここっ!」

 ボーナスポイントの十の位に全神経を集中し、数字の9が見えたところで、手をさっと放した。


 ボーナスポイント 99


 来たよ、コレ!

 狙ったところで連射を止められる俺ってひょっとして世界ランカークラスじゃね?

 さすがにこのスキルはごく一部のゲームでしか役立たないんだけども。

 これ以上の数値は出ないと判断して、ポイントを割り振る。


 筋力 24 +

 俊敏 23 +

 体力 24 +

 魔力 23 +

 器用 23 +

 運  23 +

 ボーナス 0


 ……うーん、ボーナスポイントは多かったが、割り振るとイマイチだな。だが、極振りをやって失敗したら悲しいし。

 一応、割り振りを調整して確かめてみたが、50が最大のようだ。

【次へ】のボタンを押す。

 ピッと、シンプルすぎる電子音が鳴ったが、おいおい、そんなんじゃ課金者は集まんねーぞ。俺もまだプレイすると決めたわけじゃない。

 画面がすぐに切り替わり、ローディング時間が無かったのは好感が持てる。ま、このキャラ絵も無いショボ画面でローディング時間が長かったら炎上するわな。

「ほー。スキルもランダムボーナス制か」

 このゲームでは、あらかじめランダムでいくつかの初期スキルが与えられ、さらにボーナスポイントを消費して自分で好きなボーナススキルも選べる様子。


【二段斬り】【フェイント レベル1】


 これが現在、右側のスキル欄に表示されている初期スキル。ボーナスポイントは14だ。

 左のリストには戦士系、魔術士系などと項目が並んでおり、ボーナススキルは系統別に整理されている様子。

 まずは戦士系から中のスキルを覗いてみる。


【体当たり】【ぶちかまし】【タックル】【大外刈り】【張り倒し】【突っ張り】【跳びヒザ蹴り】【回し蹴り】【ローキック】【ミドルキック】【ハイキック】【後ろ回し蹴り】【かかと落とし】【横薙ぎ】【縦斬り】【袈裟懸け】【バリツ】【突き】【小手】【燕返し】【斬鉄剣】【分身剣】【次元斬】……


 ずらーっとたくさん並んでいるのでスクロールさせて見ていくが、何ともごちゃ混ぜで統一感が無いなあ。柔道や剣道、相撲あたりの技も入っているし。RPGに突っ張りって。

 でもこれ、本当に全部、攻撃モーションが入ってるのか? テキストオンリーのゲームじゃないだろうな?

 つーか、誰かの自作ゲーに思えてきた。

 まあいい、もうちょっとだけ付き合ってやるか。暇だし。

 一番強そうな感じがしたので【次元斬】にカーソルを合わせるが、文字はグレーのまま。どうやらポイントが足らないようだ。む、右上にちっちゃく、必要スキルポイント5000って出たな。そりゃ無理だ。

 持ちポイントは14だし。

 これはどうやっても初期からは選べない感じのスキルだ。じゃあ、メイキングで出すなよ……と思うのだが、課金すれば取れるのかね。

 課金チャージのボタンは見当たらないのだが、まあいい、俺は課金なんてやらないし。


 別のスキルにカーソルを合わせていくが、最低の必要ポイントは1。【縦斬り】や【突き】が1ポイントで取れるようだ。ま、こんなの、わざわざスキルにしなくても、技と呼べるような難易度でもないよな。

 多彩なスキルの数を売りにしているのだろうし、そこはなまあたたかく見守ってやろう。

【戻る】のボタンを押して、次は魔術士系のスキルを見ていく。


【ファイアボール】【アイスニードル】【ウインドカッター】【サンダーボルト】【ロックフォール】【ファイアウォール】【アイスランサー】【ウインドストーム】【アースクエイク】【ブリザード】【スリープ】【テンプテーション】【スタンクラウド】【デス】【ウィードトラップ】【ディテクト】……


 まあ、割とオーソドックスな呪文が並んでいる。名詞じゃなくて動詞がそのまま使ってあったりもするが、カタカナ和製英語に細かいツッコミを入れても野暮ってもんよ。

「む、解説が出ないのか。これはちょっとポイントの高いスキルは冒険だな……」

 普通なら、ポップアップか別ウインドウにスキルの解説が出ると思うが、このゲームはそこまでの親切設計ではないようだ。そこはマイナス評価。

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