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レベル1の最強賢者~呪いで最下級魔法しか使えないけど、神の勘違いで無限の魔力を手に入れ最強に~ (ブレイブ文庫)

木塚麻弥

00 邪神の暗躍 / 01 転生 (1)

 とある世界の神々が暮らす神界。

 そのさいての神殿で邪神が頭を抱えていた。

「創造神が異世界人を勇者として連れてきて、俺が育てた魔王を倒すのがウザい」

 そう呟く邪神から、重苦しい負のオーラが溢れ出す。

「転移や転生でこちらの世界にきた異世界人たちは皆、勇者や賢者、聖騎士といった特殊な職になって、邪神様が用意した悪魔や魔王をいとも簡単に倒してしまいますからね」

 邪神のそばに控える少女が応えた。彼女は神々に仕える式神のうちの一体だ。

 邪神は、創造神が治める世界に恐怖や絶望といった負のエネルギーが溜まるとそれを回収し、自らのかてとしていた。

「もう俺が勇者をろうと、何度考えたことか」

「神々が直接ヒトに手を出すのは創造神様がキツく禁じていますから、邪神様でもそれをやったらさすがにヤバいと思いますよ」

「そうなんだよな……しかし今回は、魔王が倒されるまでの期間がさすがに短すぎないか?」

「ええ、過去最短です。そのせいで得られた負のエネルギーが少なすぎて、魔王を準備するのにかかったエネルギーと差し引くと、マイナスになっています」

「……マジで?」

「マジです」

 式神の回答で、邪神は再び頭を抱えた。

「それなら、邪神様が創造神様より先に勇者を転生させてしまうのはどうでしょうか?」

「……そんなことできるのか?」

「無条件で勇者を転生や転移させられるのは創造神様だけですが、一定の条件下であれば邪神様も異世界の者をこちらに勇者として連れてくることができるはずです」

「ほう、しかし俺が勇者を転生させるメリットは?」

「こちらの世界に転生させる時に、その者の魂に呪いをかければ良いのですよ。勇者として活躍できなくなるような呪いを」

「なるほど。使えない勇者をわざと作るわけだな」

「えぇ、その通りです。勇者を転移や転生で連れてくるには、この神界からかなりの神性エネルギーを使います。無駄な転生でそのエネルギーを使ってしまえば、創造神様への妨害になります」

「それはいい! あの創造神ジジイにやられてばかりでは腹が立つからな。やってしまおう。準備を頼めるか?」

「畏まりました」

 その後、邪神は異世界の青年の運命に干渉して彼の命を奪い、この世界に彼を転生させることとなる。

 重苦しい、気分が悪くなるような黒いオーラが蔓延する神殿に、西さいじょうはるはいた。

 彼の前には邪神を名乗る男と、その男に付き従う少女が立っている。

「つまり、俺は貴方に殺されて、貴方たちが治める世界に転生させられる──そういうことですか?」

「そうだ」

 いつの間にかこの神殿にいた遥人は、初めは取り乱したものの、邪神から話を聞くうちに自分の置かれた状況をなんとか把握しつつあった。

 邪神が遥人の運命に干渉し、彼の命を奪ったのだという。

 自分を殺した相手とは言え、この空間における邪神の存在感が強すぎて、遥人は自然と敬語になっていた。

「俺を殺す意味あったんですか? 神様なら殺さずに連れてくるとかできなかったんですか?」

 遥人は学校からの帰り道、居眠り運転の車に轢かれて死んだ。死んだ瞬間にこちらの世界に転送されたらしく、痛みはほとんど感じなかった。しかし、車が高速で自分に向かってくる恐怖は今でも鮮明に覚えている。

「貴様をこちらの世界に連れてくるのに、死に際の恐怖や絶望という負のエネルギーを利用する必要があったのだ」

 本来、異世界から人間を転移、転生させられる力を持つのは創造神だけだ。しかし邪神は、神界のエネルギーと、こちらの世界に連れてくる人間が発する負のエネルギーをきっかけにすることで、異世界人を転生させることができた。

「ほんとに俺、死んだのか……」

 現在、遥人の身体は透けていた。霊体のようなものになっているらしい。

 転移の場合、肉体ごとこちらの世界に連れてこられるが、転生の場合は肉体が元の世界に置き去りにされ、魂のみがこちらの世界に連れてこられる。その後、神がこちらの世界に用意した肉体に転生者の魂が入ることで転生が完了する。

 半透明の身体を見て、遥人は死を実感していた。

 ただ、絶望はしていなかった。

 邪神は遥人を転生させると言っており、これから第二の人生を送ることができるのだ。元の世界での人生に不満があったわけでも、夢が無かったわけでもないが転生というものには憧れていた。

「あの……転生させていただけるなら、何かスキルとかを貰えるんですよね?」

 遥人は元の世界で、異世界転生もののネット小説を読んでいた。だから、この後の展開に期待していた。

 そう、神から貰えるチート級の能力だ。

 ──魔物を圧倒できる腕力。

 ──極大魔法を使用しても尽きない魔力。

 ──いくら攻撃されてもビクともしない防御力。

 ──一撃必殺の剣を作れる鍛冶スキル。

 どれも心躍る能力だ。遥人にはそれらの能力を使って、やりたいこともあった。

 ──ひとりで大軍に立ち向かい、絶望的な戦況をひっくり返したり。

 ──普段は力を隠しておいて、いざと言う時『やれやれ』と言いながら強敵を圧倒したり。

 ──美少女のピンチを救ってその子と、いい感じになったりしたい!

 そんな遥人の望みに応えるように、邪神が口を開いた。

「あぁ、貴様には俺から渡すものがある」

「きたぁ! スキルですか!? 特殊能力ですか!? それともチート的なステータス? まぁ、どんな能力でも活かしてみせますけどね」

 どんなに使えないと思われたクソスキルでも、使いようによってはその世界で無双できるはずだ。なぜなら生前読んでいたネット小説では、異世界に転生した主人公は必ず、転生先の世界において色んな方法で無双していたのだから。

 そして遥人は異世界に転生させられた。

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