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異世界征服記~不遇種族たちの最強国家~ (ブレイブ文庫)

未来人A

序章 異世界転移 (3)

 ガスとノーボ、ポチにエリーにファナシア。

 この五人にエルフのララを含めた六人は、初期から部下にしていたメンバーで、特別育成に力をそそいだ六人である。

 ララ以外の部下が全ていなくなっているわけではなさそうだが、この六人以外はどうなったのだろうか?

「ちょっと外を見てくる」

 小屋の中にいては、得られる情報も少ない。外に行って調べることに決める。

「あ、まだ寝ていたほうが……」

「大丈夫だ」

「では、私もお供いたします」

 ペペロンは立ち上がり、小屋の扉を開けて外に出る。ララもそれに続いた。

「これは……」

 外には一面に緑の草原が広がっていた。

 心地の良い温度の風が吹き、鳥の鳴く声が響き渡る。

「タレスヘム草原……」

 その草原には見覚えがあった。

 なぜならペペロンが作った国グロリアセプテム中心地、王都フォルハスは、このタレスヘム草原に作ったからだ。このタレスヘム草原に最初の拠点を作り、それを都市にまで成長させ、そこからほかの土地にも領地を広げて、また町や都市を作り、それを何度も繰り返してグロリアセプテムが誕生したのだ。

 今までやっていたゲームの世界に転移したというのなら、この土地には王都フォルハスがなければおかしい。

 しかし、タレスヘム草原に都市がない。それが意味することは最初に感じた嫌な予感どおり、

(やっぱり、グロリアセプテムなくなっちゃってんのかよ!)

 国が消えた。

 グロリアセプテムが消えたという事実に、ペペロンはショックを受ける。

 それほど長い時間をかけて作った国だったのだ。苦労に苦労を重ねて、やっと強大な国にした。

 その時間が全て無駄になったと思うと、さすがにへこんでくる。

「ペペロン様……グロリアセプテムは無くなってしまったのでしょうか……」

 ララが少し俯きながら尋ねた。その表情は暗い。

「その可能性が高いだろう」

 ペペロンは動揺しているところを見せないように、毅然とした態度で返答した。その様子を見てララの表情が少し安心したものへと変わったが、ペペロンは見ていなかった。

 ──国が消えたということは、ステータスは? ステータスも初期化されたのなら、確実に死ぬよな? 装備は見る限り、元々装備していた超高級な服と、それから武器として使っていた中で最強クラスの片手剣がちゃんと腰にかかっているけど。

 ステータス画面を開こうと、ぺペロンは「ステータス」と言ってみるが、残念ながら出てこない。

 どうやって、調べるか? ペペロンは考え、とりあえずその場で、垂直飛びをしてみた。軽く飛んだだけなのだが、かなり高く飛んだ。木を飛び越えられるくらいの高さに到達している。

 ──ステータスはそのままか……ジャンプ力だけが元のままとも考えづらいし、全部のステータスが元のままだと思っていいだろうな。

「ララ、お主もステータスは元のままか?」

「はい。私以外のみんなも弱くなっていたりはしていないみたいですわ」

「そうか」

 ステータスが元のままなのはペペロンもさすがに安心した。マジック&ソードはとにかく難易度の高いゲームだった。初期ステータス、最弱の小人族という条件下では、いくらやりこんでいるペペロンとはいえ、あっさりと死んでしまう可能性が高い。実際に最初の頃は何度も死んでいた。

 ゲームでは死んでもセーブしたところから再開できるが、現実になるとそうはいかないだろう。

(ステータスが元のままなのは良かったが、一つ懸念があるな。今の状態だと魔法はどうなっているのだろうか)

 マジック&ソードでは、魔法がかなり強いのだが、拠点が発展していないうちは使える魔法が限られている。

 魔法の習得方法は少し特殊だ。まず拠点に研究所と呼ばれる建物を作る。そして、魔法書と呼ばれる本を研究所に持ってくる。魔法書には読むために必要なだけの知力がある者に、一定期間研究所内で魔法書を読ませ研究させると、拠点に所属しているすべての者が魔法書に書いてある魔法が使えるようになるのだ。

 ちなみに研究所では、魔法書以外にも、農業の書、建築の書などを読んで研究する事で、それらの技術やスキルを習得することもできた。そうやって研究で色々習得していくと、弱小種族でも強力な種族たちと対等に渡り合えるようになっていく。

 強い魔法を使えなければ結構弱体化する。

 それ以前に、そもそも魔法は使えるのかと疑問に思い、念のため試し撃ちしてみることにした。ペペロンは右手を開いて、前に突き出し、

「フレイム」

 そう唱えた。すると、手のひらから炎の塊が発射された。

 ──使えるみたいだな。

 次にペペロンは初期では使用不可の強い魔法を使おうとする。

 もしかしたら、拠点は初期に戻ってしまったが、魔法はそのまま使えるかもしれないと考えたからだ。

「ギガ・フレイム」

 そう唱えるが発動しない。現在使える魔法は初期に使える弱い魔法三種類だけのようだ。


 ペペロンは現状分かっていることをまとめてみる。

 ここはマジック&ソードの世界で、自分は部下六人と共にこの世界に転移した。

 苦労して作った国、グロリアセプテムは無い。ステータスはそのまま、魔法は使えるが初期のものしか使えない。こんなところだろう。

 あとは部下たちが偵察に行っているらしいので、小屋の中で待つことにした。

 ペペロンは小屋に入りイスに座る。その傍らにララが立つ。

 そのララを見て、彼女はNPCではもうないのだな、とペペロンは思った。

 ララがそうであるなら、ほかの部下もNPCではない。心を持っているだろう。

 マジック&ソードでは、部下の好感度が下がると裏切ることもある。だが所詮ゲームなので、こつさえ掴めば部下の好感度をMAXまで上げ、維持することは容易かった。

 ララの様子を見る限り、自分への忠誠度はMAXのままであるとペペロンは分析する。恐らくほかの部下達も同じだろう。

 ただ、今はMAXでもこれからはどうだ? 現実世界になった今では、マジック&ソードのやり方は通用しない。ペペロン自身にリアルでの対人スキルがあればいいのだが、悲しいかな、彼は友達が決して多いほうではない。むしろ少ないタイプの男だった。

 果たしてこのまま忠誠度を保ったままいけるのか? ペペロンは疑問に思う。

 何せ国を失ったのだ。国を失ったことを部下たちはどう思っているのか。こんな小さな小屋一つが拠点だということをどう思っているのか。それで悪感情を抱かれ反乱を起こされたらかなりまずい。

 一対一の戦闘では、どの部下と戦っても負けはしないだろうが、複数で来られるとまずい。高確率で敗北するだろう。

 ペペロンは悩む。ゲームならこんなに悩まなくてもいいのにと、少し現実逃避したい気分になっていた。

 ペペロンが悩んでいた時、いきなり小屋の扉が開かれ、

「あーペペロン様ー! 起きてるー!」

 女の子の大声が聞こえてきた。

「心配したんだよ~! ペペロン様~!」

 女の子が大声で叫びながらペペロンに向かって走り、そして飛びついた。

 ペペロンは床に倒れる。防御力が高いので痛みはない。女の子はスリスリとペペロンの頬に自らの頬をすりつける。

「ファナシア! 何をしているのです! ペペロン様から離れなさい!」

 ララが強引に少女を引き剥がす。少女は「あ~!」と叫び声を上げた。

「……ファナシアか」

 いきなり頬ずりをされて内心かなり動揺しながらも、何とか威厳を保ちながら言った。

 この少女はハーピィーのファナシアだ。年齢は十四歳くらいの小さな少女だ。ショートロングの水色の髪、愛嬌のある顔。背中から大きな白い翼が生えており、まるで天使のようにも見えるが彼女はハーピィーである。

 こんな立派な翼を持っているが、残念ながらファナシアは飛べない。ハーピィーの翼は見せかけに過ぎないものだった。

「何すんだよ~ララ~」

「ペペロン様への無礼な振る舞いは、この私が許しません」

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