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向日葵

2 王宮に行くことになりました。 (1)

2 王宮に行くことになりました。

 

 お母さんがお仕事で王宮に行かなければならないそうです。でも、お父さんは仕事でお家にいないし、お兄ちゃんとお姉ちゃんも学校でいない。

 ちゃんとお留守番できるよーって訴えたけど、受け入れてもらえなかったよ。

 この前、ディーの目を盗んで池に行って、落っこちたのがいけなかったか。

 一人にしたら何仕出かすかわからん、みたいな扱いになっているな。

 ということで、お母さんと王宮におでかけすることになりました。

 今回ディーはお留守番。王宮にペットはダメなんだって。

 あ、当たり前か。

「ネマ、お母さんがお仕事している間、いい子にできる?」

「あい!」

 もちろん。お母さんの邪魔はしないよ!

 馬車で向かった王宮はでかかった。んで、すっごくキラキラしていますよ!

 王様とか住んでいるし、内政機関とかもあるから、国の象徴として派手なんだろうね。

 お母さんが仕事の間、私は王宮の一角にある宮廷魔術師の塔の部屋に放置プレイです。

 お母さんは子守り役をつけようとしたが、私から断った。だって、お家の人以外と長時間一緒にいるのはまだ耐えられない。

 人見知りする方ではないが、気を使うのですっごく疲れる。

 私が珍しく駄々をこねるものだから、お母さんが折れて、私に守りの魔法をかけた。

 効果はよくわからないが、魔法は地味だった。何のエフェクトもなく、魔法がかかったという実感もない。

 魔法をかけ終わると、お母さんは後ろ髪を引かれるように、何度もいい子でねと言って出て行った。

 ちぇっ、すっごい魔法をこの目で見られると思ったのにな。

 あまりにも暇すぎるので、窓開けて鳥さんを呼びました。

 この羽毛の感触タマラン。

 鳥さんたちも気持ち良さそうに目を細めている。カワユス!!

 そういやここ、一階なんだよね。お外出たいなー。この庭だけでも散策したいな。

 …………ごめんよ、ママン。

 この部屋の周辺だけだから、許しておくれ。

 部屋にある椅子を足台にして、窓枠を跳び越える。

 ボテッ――。

 着地失敗。

 いーたーいー!!

 でも我慢。ここで泣いたらバレてしまう。

 鳥さんたちの案内で散策開始。

 リスに似ているけれど耳が垂れているポテ(動物図鑑で名前が判明)や、小さい山猫みたいなリアとかいっぱい動物がいた。

 私のことに気づいた子たちが、警戒もせず近寄ってきて、なでなでさせてくれる。

 動物たちの毛並みを堪能していると、みんなが一斉に逃げてしまった。

 どうしたんだろう? 人でも来たのか??

 周りを見渡すと、あっちの世界ではかなりレアな動物がいた。

 キタコレーーー!!

 白虎だよ! 白虎!!

 なんかあっちのサイズよりでかすぎるけど、レア猛獣キターーー!

 もうすでにターゲットロックオン! 触りたくて、もふもふしたくて、ジッとなんかしてられない。

 異様な気配を察知したのか、白虎が私を認識した。

 そしたらのっそのっそとこちらに向かってくるではないかっ!

 触ってもいいんですね?

 いいともー!!

 手が届く範囲まで来てくれた白虎は、フンフンと私の匂いを嗅ぐと、ベロンと顔を舐めた。

 私は遠慮なく、白虎の首にしがみついてギューッとね。

 うっは~。ナニコレ!!

 固いかと思いきや、さっらさらのフワフワ。ちょー気持ちいいんですけどー!!

 上質の毛並みをたんまりと堪能して、白虎さんも私のことを嫌がらず、ちゃんと相手してくれた。

 白虎さんと仲良くなり、お庭を案内してくれるというので、背中に乗って一緒にお散歩しました。まる。

 …………あっれー?

 ココドコ??

 なんかよくわかんないとこに来ちゃったゾ。

 うー、お母さんに見つかったら、確実に説教コースだな。見つかる前にかーえろっ。

「ラース、何を乗せている?」

 うおっと、ビックリしたー。人がいたよ。

 声がした方を見ると、お兄ちゃんに負けず劣らずの美少年がイター!

「ラースは大人しいが猛獣だ。危ないから降りろ」

 えー、やだー。()()っていたら、強行されました。

 美少年に抱っこ……。

 お兄ちゃんで耐性はついているが、はずかしー!

 この美少年、まず目がいくのが瞳だ。光を湛えたような瞳は紫水晶(アメジスト)の如く、目の輪郭は綺麗なアーモンド形。

 目力ハンパねぇです!

 少し癖っ毛の髪をいい感じの無造作ヘアーに決めている。(あい)色の色合いといい、柔らかそうな髪質といい、触ってみたくなる。

 そして、各顔のパーツが左右対称なこと! シンメトリーであればあるほど美しいって本当だったんだね。

 つか、なおさら恥ずかしいわ!!

「だっこやっ」

 おーろーせー!

 ジタバタと()()いていると、美少年は面白そうに笑ってやがりますよ。

 この鬼畜がっ!!

「やーっ!」

 なおも拒否してやると、ラースと呼ばれた白虎が助けてくれた。

 助かったぁぁ。

 白虎に咥えられ、地面に降りると、癒しを求めて白虎にくっつく。白虎もさりげなく美少年との間に立ってくれた。

「俺以外に懐くなんて珍しいな」

 あー、白虎のご主人様でしたか。

「で、ガキがどうしてここにいる? 親はどうした?」

 ここってどこよ。王宮なんてわかんないよ。

「おかーしゃんはしゅごとなのー」

 くそぅ……()(れつ)が!

 おのれ鬼め! 悪魔め! 顔は笑顔でも、目が馬鹿にしてるー!!

「名前は?」

「ネふぇルてぃま・オしゅふぇでしゅ」

 うわーん、噛んだー! 自分の名前噛んだー!! あんだけ練習したのにぃぃ。

「オスフェ公爵家の者か……来い」

 って、戻らないとお母さんに怒られるぅー。

 おい、こっちの意見はシカトかいっ!

 白虎のラース君が再び背中に乗せてくれたけど、行きたくなーい!

 美少年、どんどん王宮の奥に向かっているようだがいいのだろうか?

 そして、なんか無駄に豪華そうな部屋の扉の前で止まったけど……。

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