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エリート弁護士は不機嫌に溺愛する~解約不可の服従契約~

御堂志生

プロローグ

プロローグ



「零時か。いい時間だな。そろそろ切り上げよう」

 さとしの言葉になつのキーボードを叩く指が止まった。

 彼女はホッと息をつくと同時に、違う種類の緊張を感じる。だがそれを表に出さないようにして、スッと立ち上がった。

「お茶でよろしいですか? それとも、すぐに帰られますか?」

 明日は土曜日だ。意味もなく、聡がこんな時間まで会社に残ってはいないだろう。もちろん、仕事が溜まっているのは事実だが。

「いや……こっちに来いよ、夏海」

 ビジネスライクな口調が、一転して砕けたものに変わった。

 部屋から出て行こうとしていた夏海は、ドキッとして足を止めた。呼吸を整えながら振り返ると、大きな窓を背にして聡はじっとこちらを見ている。

 欲情をはらんだ熱い瞳──それは、契約の時間が始まる合図だった。

 都心の高層ビル内にある深夜のオフィス。煌々と灯りが点くのは、このフロアでひと部屋だけだろう。

 ほんの数分前まで、室内はパソコンや周辺機器の出す機械音で占められていた。

 だが今は、わずかな熱を帯びた静寂がふたりの間を漂う。聡は黒い革張りの椅子を軋ませながらクルリと回し、デスクの下から両足を移動させた。

「下着は、この間の物だろうな?」

 それはオフィスに似つかわしくない、わいな質問だ。

 夏海はうっすらと頰を染めながら、キャビネットの横を通り抜け、ゆっくりと聡に近づいた。

「……はい」

「いいだろう。来るんだ」

 満足そうにうなずく彼の前に立ち、夏海はわずかに脚を開く。すると、すぐさま聡の手がスカートの裾から中に滑り込んだ。

 今日はベーシックな膝丈のタイトスカートだ。それをスルスルと腰の上までたくし上げられ、見る間に象牙色の艶やかな太ももと臀部が露わになった。

 白いガーターベルトで留めたシルクのストッキングが、官能的なラインを描き出す。そんな夏海の姿が、室内の灯りで窓に映し出された。

「あの……灯りを消して来ていいですか?」

 夏海は自分の姿を横目で見て、聡に懇願する。

「ダメだ。どうせ誰も見やしない。それに、じきに気にならなくなる」

 あっさり却下され、聡は下着の上から夏海の身体に触れた。

「……あっ」

 羞恥は一瞬で快感に変わった。

 聡の掌が何度もヒップから太ももまで往復し……しだいに、夏海の理性を狂わせていく。ここがオフィスであることも、忘れさせてしまうくらいに。

 ガーターストッキングは聡の趣味だ。Tバックよりほんの少しだけ生地の多い総レースのショーツもそうだった。彼は左右を紐で結ぶようなセクシーなデザインの物を好む割に、白やピンクなど清楚な色ばかりを選ぶ。

 彼の趣味が反映されるのは下着だけではない。ふたりの関係が親密になって以降、夏海のものはすべて聡が決めて、買い与えてくれた。

 ビジネススーツから私服、バッグや靴にアクセサリー、それにメイクの仕方まで、すべて彼の好みだ。

「あ、待って……はぁうっ」

 いきなりショーツの隙間から指を押し込まれ、夏海は唇を嚙みしめる。

「股を閉じるな」

 短く命令し、彼の指は開いた脚の間をゆっくりと行き来する。

 花芯を強くでられ、夏海は躰の中からこぼれ落ちるものを感じた。たちまち息遣いが荒くなり、我慢したいのに太ももが震え……あっと言う間に軽く達してしまう。

 総レースのショーツは、甘い芳香を放つ液体にしっとりと濡れていた。

「もう、こんなグッショリだ。随分、いやらしい身体になったものだな」

「あ……それは……あなたが」

「ひとりで気持ちよくなるなよ。俺にもしてくれ」

 夏海の耳元に息を吹きかけながらささやき、聡はショーツから指を抜いた。

 そして、濡れた指を一本ずつ丁寧に舐めていく。その扇情的な仕草に、夏海も湧き上がる欲情を抑えることができなくなる。

 そのまま倒れ込むように聡の前に屈むと、ベルトを外し、ファスナーを下ろした。紺色のボクサーパンツの前が少しだけ膨らんでいる。

 いつもそうだ──いつも、夏海の口であいを受けるまで、完全に屹立させず我慢しているらしい。

 そんな彼の分身をそっと手で摑み、夏海は口に含んだ。

 初めは何も知らなかった行為……歯を立てて、聡から叱られたこともある。でも今は、彼の望む愛撫の方法で、男の欲望をあおっていく。

 案の定、聡の息はすぐに上がり始め、夏海の口腔内をいっぱいにした。

「ああ……もういい。夏海……上に乗るんだ」

 聡が左右の紐をほどくと、ショーツは床にふわりと舞い落ちた。スカートを腰にたくし上げたまま、無防備になった下半身で夏海は彼にまたがる。

 両腕を聡の首に回し、抱きつくようにして、彼の昂りを躰の奥深くに沈み込ませた。

 ふたりは完全にひとつになる。

 すぐにも突き上げて欲しいのに……聡は焦らすように、ブラウスのボタンを一個ずつ外していく。すると、ショーツとお揃いの総レースのブラジャーに包まれた形のよいバストが露わになった。

 彼はホックを外さず、肩紐をずらして乳房を取り出した。

 おもむろに吸いつくと同時に、聡はやっと腰を動かし始める。

 ようやく望みのものを与えられ、夏海は漏れ出す声を我慢することができない。

「あっあっ、さと……し、聡さ……ん、あっ、ダメ、あーっ!」

 これだけ静かなら部屋の外に人がいたら、丸聞こえだろう。

 わかっていても、堪えきれるものではない。

「夏海……声を抑えろ」

「あっ……ん、ごめん、なさ……い、でも、わたし、あっ、やっ、んんっ!」

「しようのない奴だな」

 聡は夏海の長い黒髪の中に指を入れ、後頭部を支えるように引き寄せた。

 夏海は目を見開き……熱情に潤んだ聡のそうぼうが近づくのを感じて、慌てて目を閉じる。そのまま、ふたりは今夜初めての口づけを交わした。

 桜色の唇を割り、聡の舌が潜り込んでくる。艶めかしい動きで歯列をなぞり、口腔内に溶けてしまいそうな熱を感じた。

 身体を繫げたままの濃厚なキスは、ふたりの興奮を一層高めてくれる。その証拠に、夏海の中はキュッキュッと収縮を繰り返し、奥に感じる聡の雄身をきつく締め上げた。

 その瞬間、聡は繫がったまま立ち上がった。

「きゃっ、あ、やだ……聡さん……わたし、わたし……もう」

 ほんの一瞬だけ唇が離れ、夏海は降参を告げようとするが、それを阻むようにふたたび口を塞ぎ、デスクに押し倒された。そのまま、荒々しい動作で夏海に抽送を始める。

 重厚なオーク材の机は、聡の激しい突き上げに文句ひとつ言わない。

 重なった唇が離れ、夏海は聡にしがみついた。

 次の瞬間、彼を包み込んだ部分が急激に狭まり、夏海の躰は聡を陶酔の海に引きずり込む。ふたりはほぼ同時に、歓喜のときを迎えたのだった。

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