猶予村異聞録

黄泉坂登

前説

 はいどうも、打ち切り木っ端作家の黄泉坂登です。

 デビュー作の三馬鹿が行く! でお会いした方はお久しぶりです。

 今回が初めてだよって方はどうぞよろしく。

 さてそんな訳でしてね、前作で売れなくて打ち切りという不甲斐ない結果を出しちゃった私ですが、何やらホラーが今熱い! てな話を聞いて、んならばいっちょやってみるかと手を出したわけですよ。今流行りのモキュメンタリーってどうなんやろって。

 ところーがですね、困ったことにこの黄泉坂、ホラーとか書いたこと無いんですよ。

 ──デビュー作で打ち切りとかいう特大のホラーを経験しましたが。

 ああ、石を投げないで! ホラー舐めてんのかとか罵倒しないで!

 まぁね、得意とか得意じゃないとかですらなく、全くの未知です未知。プロットから何からぜーんぶ手探り。一ヶ月ぐらいウンウン唸って、結果として諦めました。

 いやね、私の本来の作風って基本的にシリアス系少年漫画テイストなんですよ。何故かコメディ枠でデビューしてますが。

 なので、安易にバケモンとか出しても某井戸から出てくる悪霊と家に取り憑いてる悪霊が勝手に戦え! 的なエンタメとホラーの隙間を反復横飛びするような半端なものしか作れないことに気づいたわけです。それってホラーなの? 的な。いえ、アレはアレで面白かったですが。ちょっと元のコンテンツが強すぎる感じですかね。手前でやろうにも文字媒体だけだと難しい感じ。どなたかメディアミックス求む!

 冗談はさておいて、じゃぁ諦めるかぁ、としたは良いんですが、実はそこに至るまで結構な数の資料が集まってしまったんですよね。

 旧知まで巻き込んで(巻き込まれて?)しまったものですから、諦めるにしたって何か言い訳になるようなもんはねーかと考え、今回、こうして異聞録として編纂したわけです。浅はかにも一応形にしたからこれで勘弁して! と。

 あの馬鹿、自分がその手の仕事してるからって呆れた量の資料寄越しやがって。つーか中に公文書みたいな報告書混じってるけど大丈夫かコレ、とドン引きしましたよ当時。

 まぁ売れない木っ端作家なんでなんでも使うけどさ。

 なので申し訳ないですが、今回のお話はヤマ無しオチなしという普段三幕構成を気にかける私にしては有りえない作風となっております。まぁ、作品としてお出しできないお話達のお焚き上げのようなものですから、お気軽にどうぞ。

 収録できなかったお話はnoteに細々上げていきます。下記URLに飛んでいただければ、こりゃ乗せきれないわってご理解いただけるかも?

https://note.com/apt_zephyr4690/m/m7c8ef8ee278d

 さて、とは言いましても、一応、主軸となるキーワードがありましてね。十六夜村ってんですけど。

 今は町村統廃合で十六夜町となってますが、昔はあの一帯、十六夜村という名前でした。

 折に触れて言ってますが、私、本業が運送業なのでその関係で通ったことあるんですよ。十六夜町には。今回だって一昨年の盆休みに取材を兼ねて行ってきましたし、十月後半から暇になったので追加取材もしました。いや、あれは強制的にさせられたか。

 いやね、良い所でしたよ。牧歌的と言うか、日本人が忘れがちな田舎の原風景がそのまんま残っているような、そんな場所でした。道とかもね、ろくに車も通りかからないもんですから、口をほけーっと開けてぼーっと平和だなーとトコトコ走れて心穏やかになれるんですよ。都内で頭の悪いドライバーとか周り見れないド下手サンドラとかキ◯ガイ相手にしてると尚更心が癒やされますわ。

 まぁ、虫が多いのと利便性の問題で住むのは遠慮したいんですが。後、山間なのでキョン? 夜通るとうっさいんです。

 さて、しかし何でそんな村がホラーの話になるのさ? とお思いでしょう? いや、私も最初はそんな曰く付きの場所だなんて知らなかったんですよ。大体、十六夜いざよいなんてカッコいい名前、某弾幕系シューティングのキャラクターでしか知らないぐらいですし。あ、後、昔やったエロゲの舞台がそんな名前の場所でしたっけ。

 ただね、地名ってその土地に因んだ名前がつけられる事が多いんですよ。

 例えば、地名に龍や蛇が含まれていると水害が多い土地だとか、梅がついていると元は湿地帯だとか、塚だと墓場関係だったりとか。後は首だとか手だとか、身体の一部が入っている地名はそれにまつわる悲惨な事件が起こった土地だとか。

 昔はそんな因縁があるから気をつけろよって、注意喚起も含めた名称だったわけですね。

 最近だとその辺りのイメージを気にしてか、あるいは土地が売れないからか地名を変えていますが、光だとか妙に小綺麗でお洒落な名前になっていたりしたら、引っ越す際、注意した方が良いですよ。ハザードマップ見たら真っ赤っ赤かもしれません。

 私の旧知なんかは梅関係の場所に家建てて、地震が来て液状化現象で基礎から歪んで立て直しする羽目になりましたからね。幾ら掛かったか、こそっと聞いたら貧乏人には卒倒しそうな金額でした。いくら保険で賄えるとは言え、そんな見積もり下手なホラーより怖えーよ。

 んで、そんな話をしたからにはお察しされたとは思いますが、十六夜村もそんな感じで改名してるんですよね。

 元の名前は──猶予村。

 おや? ちょっと興味が出てきましたか? 何か因習村とか火サスの現場になりそう! とか思いましたか?

 私もですよ。いやー、だから題材にしようとしたんです。腕がなくて諦めましたけど。

 とは言え書けたとしても、因習村は昨今だと差別的だ何だで出版社は避ける傾向にあるんですって。面倒くさい世の中ですよね。

 まぁ、それはともかく、調べてみれば面白い地名と由来ですし、地域密着型都市伝説もあるしコレで一本書ければな、と思っていたんですが、これがまぁなかなか難しくてですね。前述しましたが、私が書くとどうしても少年漫画風になってしまうので。

 なので、残念ながら今回はネタにしようと集めた猶予村の情報と、聞き込みした内容をちょっと補完脚色しつつ徒然と書いていくだけの作品になります。

 背筋が凍える恐怖をお望みの方にはちょっと合わないと思います。対象としてはオカルトが好きな方ですかね。ちょっとこんな都市伝説のようなお話がありますよと。

 さて、長々と前置きをしましたがそんな感じで猶予村異聞録、始めたいと思います。

 ああ、そうだ。念の為、一応これだけは言っておかないと。



 この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。



 よし、注釈したからもう俺の責任じゃないもんね。後の判断は読み手の皆様に任せます。

 では、次回から本編へどうぞ。

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