男性化

荒城吾朗

アプリ

 中野家のある夏休みシーズンの日に慶子と美咲の姉妹は顔写真を何やら加工できるアプリのダウンロードをしてそれを開くと早速5、6枚の顔写真を並べて各々のスマホの操作をしだしていた。
 「お姉ちゃんあたしの写真何か知らない子の顔になっちゃったよ」
 「えっ何、見せて」
 美咲からスマホ画面を見せられると慶子はすぐに
 「あぁこれ、なんか寛太おじいちゃんか春休みに遊びに来た新吾ちゃんに似てるね」
 「お姉ちゃんのはどんな感じ?」
 慶子から答えが返ってくると美咲はすかさず慶子のスマホ画面を覗き始めた。
 「これパパ?」
 「えっやめて。でもお父さんも私と同じ中一の時はこんなんだったのかな?」
 どうやら2人は顔写真を加工できるアプリをダウンロードしていたようである。他にまず母好美の写真を手掛けてみた。するとさっき美咲の写真を男性化したときと同じ感じになり更に父浩介の写真の女性化に取り組み始めた。
 「えっひょっとしてこれ20年後の私!?」
 一通り操作を終えて画像が仕上がると慶子はちょっとびっくりしたようだ。それから2人はまるでメインディッシュに手を伸ばし始めるかのように曾祖母みよこの写真を手にスマホと向き合い始めた。主に慶子がスマホの操作をし、そしてみよこの写真の変化過程を美咲が見つめてといった中で実に熱心に取り組んでいた。日中だったので家には慶子美咲の2人に奥座敷のような部屋にみよこが年中籠もってるかのようにいるのだがもし好美がいたらおそらく2人に向かって『勉強もこのくらい熱心にすればいいのに・・・』等とグチっていたことであろう。
 さてみよこの写真の仕上がり?であるが男性化の後に若年化をし更にイケメン化に取り組んでみたようでさながら現代のアイドルブロマイド顔負けのものにできたようである。それをプリントアウトして加工写真があがると一目散に美咲がそれを手にみよこがいる奥座敷へかけていった。
 「みよこおばあちゃん男の人にした写真できたよ」
 他所の家の人のようにどれどれ見せてごらんでもなく目の前にその写真をだされてすぐに右手で口を塞いでハッとなったかと思ったら目が潤みだし涙があふれんばかりの様子になった。

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