追放された付与術師、自分自身を『神』へと強化する。~捨てられた俺、実は万能チート。美少女と無双する間に、元仲間は全滅しているようですが?~

sika3

第38話 ハーレムメンバー全員懐妊!? 『子宝』も付与済みでした。

「おぎゃあぁぁぁ! おぎゃあぁぁぁ!」

レント城の奥深く、特別に設えられた育児室から、元気な産声が響き渡った。
それは一人分ではない。五重奏だ。
俺、レント・シルバーは、汗だくになりながら哺乳瓶を振っていた。

「よーしよし、泣くな泣くな。ミルクだぞー」
「レント様、あちらの子がオムツを変えてほしいそうです!」
「パパ! こっちの子が空を飛ぼうとしてる!」

シルヴィアやリナがてんてこ舞いだ。
先日、無事に生まれた五人の子供たち。
長男(シルヴィアの子)は『レオン』。銀髪に碧眼、生まれながらにして聖剣を握りしめそうな風格がある。
次男(イグニスの子)は『ドラゴ』。赤い髪に小さな角が生え、くしゃみをするたびに火花を散らす。
長女(セレスティアの子)は『アンジェ』。背中に純白の翼を持ち、泣き声に浄化魔法の効果が乗っているため、泣くたびに部屋がピカピカになる。
次女(リリアーナの子)は『マリー』。金髪の巻き毛が可愛らしいが、すでに周囲の大人を魅了するカリスマ性を発揮している。
そして三女(リル=マオの子?)は『タマ』。卵から孵ったばかりの彼女は、なぜかスライムのようなプルプルした体で、自在に形を変えては俺の顔にへばりついてくる。

「……カオスだ」

俺はため息をついたが、顔はニヤけていた。
自分の血を引く子供たち。
可愛くないはずがない。
世界最強の遺伝子を受け継いだ彼らは、間違いなく将来有望(というより脅威)な存在になるだろう。

「レント様、少し休憩なさいませんか?」

エリスがお茶を持ってきてくれた。
彼女はオートマタなので疲れないが、その表情には慈愛の色が浮かんでいる。
彼女もまた、この城の母親代わりの一人だ。

「ありがとう。……しかし、子育てってのは魔王討伐よりハードだな」
「ハイ。予測不能ナ事態ガ多スギマス。先程モ、ドラゴ様ガ離乳食ヲ焼却処分シヨウトシマシタ」
「あいつ、好き嫌い激しいな……」

俺はお茶を飲み、窓の外を見た。
庭では、ゼクスやガルド、タイタンたちが、子供用の遊具(という名の巨大アスレチック)を作っていた。
元四天王が子供の遊び場を作る。平和の極みだ。

その時、城門の方から騒がしい音が聞こえた。

「たのもう! レント殿に急ぎの報告がある!」

やってきたのは、王国騎士団長ヴァンガードだった。
彼はなぜか、全身泥だらけで、背中には大きな麻袋を担いでいた。

「どうした、総長。また筋トレのしすぎで崖から落ちたか?」
「いや、違う! これは……その、何と言えばいいか……」

ヴァンガードは言い淀み、背中の袋を下ろした。
袋がモゾモゾと動く。

「実は、鉱山の視察に行ってきたのだが……そこで、これを見つけてな」

彼が袋を開けると、中から四人の人物が転がり出てきた。
ボロボロの服を着た、薄汚れた老人と老婆たち。
ヴァルス、エリナ、ジャミル、アリアだ。

「……あいつらか」

俺は眉をひそめた。
彼らは犯罪奴隷として鉱山に送られ、その後脱走騒ぎを起こして行方不明になっていたはずだ。
(※前回の時間軸で捕まった後、再び脱走しようとして失敗したか、あるいは捕まる前の潜伏期間に何かあったのか、とにかく彼らはしぶとく生き延びていたようだ)

「鉱山の奥深く、立ち入り禁止の廃坑で倒れていたのを保護したのだ。どうやら、魔物の残飯を漁って生き延びていたらしいが……」

ヴァンガードは憐れむような目で彼らを見た。

「衰弱が激しい。それに、精神も崩壊しているようだ。ただうわ言のように『レント……ごめんなさい……』と繰り返すばかりでな」

彼らは俺の顔を見ても、反応しなかった。
目は虚ろで、焦点が合っていない。
かつての傲慢さも、復讐心も、完全に消え失せていた。
残っているのは、ただの抜け殻だけ。

「……そうか」

俺は彼らを見下ろした。
怒りは湧かなかった。
ただ、哀れみだけがあった。
かつては共に夢を追いかけた仲間たちが、こんな姿になってしまうとは。

「レント殿、どうする? 法に従えば、彼らは処刑される運命だが……」
「処刑か」

俺は少し考えた。
彼らの罪は重い。俺を殺そうとし、国を危険に晒した。
死刑になっても文句は言えない。
だが、今の彼らに死を与えることに、何の意味があるだろうか。

「……いや、処刑はなしだ」
「では、どうする?」
「彼らを『忘却の島』へ送れ」

忘却の島。
それは、俺の領海にある小さな孤島だ。
そこには魔物はおらず、豊かな自然だけがある。
ただし、一度入れば二度と出られない結界が張られている。

「そこで余生を過ごさせろ。誰にも知られず、誰とも関わらず、ただ静かに土に還るまで」
「……温情か?」
「いいや。ただの『廃棄処分』さ。俺の視界に入らない場所へ片付けるだけだ」

俺は冷たく言った。
だが、ヴァンガードはニヤリと笑った。

「承知した。……やはり貴殿は、強くて優しい男だ」

ヴァンガードは四人を担ぎ直し、去っていった。
ヴァルスたちが最後に何かを呟いたような気がしたが、俺は振り返らなかった。
これで本当に、彼らとの物語は終わったのだ。

「レント様」

シルヴィアが後ろから抱きついてきた。

「貴方は本当に、お優しいのですね」
「甘いだけさ。……さあ、湿っぽい話は終わりだ。子供たちが待ってるぞ」

俺たちは育児室へと戻った。
そこには、未来への希望が溢れている。
過去に囚われる暇などない。
俺たちの物語は、これからが本番なのだから。

「あ、パパ! アンジェが立った!」
「おおっ! クララが立った……じゃなくてアンジェが!」

俺はカメラ(魔導写真機)を構えて走った。
最強の付与術師は、今はただの親バカだ。
だが、それでいい。
この幸せを守るためなら、俺はいつだって世界を敵に回せる。

そして数年後。
子供たちはすくすくと成長し、それぞれが規格外の才能を発揮し始めていた。
レオンは五歳にして騎士団長と互角に打ち合い、ドラゴはクシャミで森を焼き払い、アンジェは祈るだけで怪我人を治し、マリーは笑顔で隣国の王子を虜にし、タマは……分裂して増えていた。

「レント帝国、未来は明るいな(主に物理的な意味で)」

俺は城のテラスで、成長した子供たちが庭で暴れ回る(模擬戦をする)姿を眺めながら、ワインを傾けた。
隣には、変わらぬ美しさのシルヴィアたちがいる。

「レント様、幸せですね」
「ああ。最高の人生だ」

俺は心からそう思った。
追放されたあの日、絶望の淵で手に入れた力。
それが俺をここまで導いてくれた。
運命に感謝しよう。
そして、これからもこの手で、大切なものを守り続けていく。

『追放された付与術師は、自分自身に【神レベル】のバフをかける』。
その物語は、ここで一旦の幕を閉じる。
だが、俺たちの冒険は、まだまだ続いていくのだ。

          

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