追放された付与術師、自分自身を『神』へと強化する。~捨てられた俺、実は万能チート。美少女と無双する間に、元仲間は全滅しているようですが?~

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第36話 魔王が謝罪に来た。「世界の半分やるから許して」

俺の城の中庭。
そこに、迷い込んだ異世界の魔王(幼女)が、俺に抱きついて泣きじゃくっていた。

「うわぁぁぁん! パパ! 私、怖かったよぉ!」
「だからパパじゃない。レント様だ」

俺は困惑しつつも、彼女の頭を優しく撫でた。
俺の魔力に触れると、彼女は少し落ち着いたようだが、依然として俺から離れようとしない。
周囲の仲間たちの視線が痛い。

「レント様……これは一体……?」
「異世界の魔王、ですね。魔力波長が、我々の世界の魔王とは微妙に異なります」

シルヴィアとセレスティアが冷静に分析している。
イグニスは「ふむ、妾の娘にしても良いぞ?」と興味津々だ。
リナは「お兄ちゃん、隠し子!?」と目を丸くしている。

「(まあ、見捨てられもしないしな……)」

俺はため息をついた。
彼女の鑑定結果はこうだ。

【名前:リル=マオ(異世界魔王)】
【種族:魔王(幼体)】
【状態:異世界転移ショック(軽度)】
【解説:別の次元の魔王。この世界の魔王を消滅させた際に生じた次元の裂け目から迷い込んだ。純粋無垢だが、潜在魔力はSランク級】

魔王の名前までマオか。ややこしい。
(俺の城にいるマオは、前の魔王の魂の生まれ変わりなので、厳密には別人だが)

「あの……パパ、じゃなくてレント様。お腹すいたの……」
「わかった。エリス、何か軽食を頼む」
「カシコマリマシタ。マオ様(異世界)ノ為ニ、特製『悪魔ノシッポ』ステーキヲ用意シマス」

エリスは流れるような動作で幼女魔王を抱き上げ、城の中へと消えていった。
新たな問題児(可愛らしいが)が加わったわけだが、まあ、賑やかでいいだろう。

と、その日の午後。
今度は城の門前に、奇妙な一団が現れた。

「レント様、お客様デス」

エリスからの報告に、俺は首を傾げた。

「誰だ? また神の使徒か?」
「イイエ。魔族デス。……しかし、殺気ハアリマセン。むしろ……『怯エテイル』ヨウデス」

怯えている魔族?
一体何事だ。

俺がバルコニーに出ると、門前には数人の魔族が平伏していた。
彼らの背後には、巨大な『黒い水晶』が据えられている。
その水晶の中心には、魔王軍の象徴である禍々しい紋章が刻まれていた。

「お初にお目にかかります、レント皇帝陛下」

魔族の代表らしき男が、震える声で言った。
彼は明らかに怯えている。
俺が魔王を倒し、四天王を手懐けたという噂は、魔族社会にも広まっているらしい。

「何の用だ?」
「は、はい。我々は魔王軍の残党でございます。陛下が魔王様を打ち破られたと聞き、恐れ多くもご挨拶に参りました」
「挨拶?」
「は、ははっ! まさかご挨拶などと……。我々は、この世界の『魔族』を統べる者として、陛下に深き謝罪を申し上げたく……」

男は深々と頭を下げた。
その後ろに続く魔族たちも、地面に額を擦り付けている。

「陛下は、我々魔族の絶対的な支配者でいらっしゃいます。魔王様を倒された貴方様こそが、新たな『魔王』に相応しいお方と存じ上げます」
「俺は人間だ。魔王になる気はない」
「は、ははっ! 冗談がお上手で……! と、とにかく! 我々は陛下に絶対の忠誠を誓います! つきましては、どうか我ら魔族の命をお助けください!」

そして、彼らは必死に懇願した。

「つきましては、この世界の半分を陛下に献上いたします! 魔族が支配していた土地、資源、そして魔物たち。全て陛下のものに!」

「……世界の半分?」

俺は眉をひそめた。
スケールがでかいな。
魔王を倒したら世界の半分をくれるとか、RPGの魔王イベントみたいだな。

「冗談はよせ。そんな面倒なもの、俺はいらない」
「えっ?」

魔族たちが呆然とする。
世界の半分を拒否する人間など、見たことがないのだろう。

「俺はただ、この国と、俺の仲間たちが平和に暮らせればそれでいい。他国の支配なんて、面倒なだけだ」
「で、ですが……それでは我々は……」

魔族たちは困惑している。
戦う気力もない。降伏したのに受け入れてもらえない。
完全に途方に暮れているようだ。

「……まあ、仕方ない。条件がある」
「な、なんでしょうか!?」

魔族たちが一斉に顔を上げた。
藁にもすがる思いだろう。

「この世界の魔族全てに命令する。今すぐ人間への攻撃を停止しろ。今後、人間と共存し、俺の国の発展に貢献するなら、お前たちを奴隷にするつもりはない」

俺は言い放った。
魔族を奴隷にするのではなく、共存させる。
それは、今まで誰も成し得なかった偉業だ。

「そして、お前たちもこの国に住めばいい。ただし、騒ぎを起こしたら即刻追放(物理)だ。分かったな?」
「は、はいっ! かしこまりました! ありがとうございます、陛下!」

魔族たちは感激のあまり、涙を流して平伏した。
彼らは長年、魔王という絶対的な支配者に抑圧され、人間社会からも迫害されてきた。
そんな彼らに、「平和な居場所」と「共存」という選択肢を与えられたのだから、喜びもひとしおだろう。

「それと、その黒い水晶は何だ?」

俺は魔族たちの背後にあった巨大な水晶を指差した。

「は、はい! これは『魔王の通信水晶』でございます。これを使えば、魔族の全軍に命令を伝達できます」
「便利だな。……よし、それももらうぞ。今度、みんなでカラオケでもするか」
「か、カラオケ……?」

魔族たちは首を傾げているが、まあそのうち慣れるだろう。
こうして、魔族社会全体を俺の配下(協力者)として取り込むことに成功した。
彼らの知識や魔力は、帝国の発展に大いに貢献するはずだ。

「レント様、これで世界の半分を手に入れたようなものですね」

シルヴィアが微笑む。

「世界の半分は面倒だからいらないって言ったろ。俺はあくまで『レント帝国』だけを繁栄させたいんだ」
「うむ、さすがじゃな。主は欲がない」
「いや、ただ面倒なだけだよ」

俺は笑いながら、魔族たちに「じゃあな」と手を振った。
彼らは感激の表情で去っていった。
これで、俺の国は名実ともに大陸最強、いや世界最強の国家となったわけだ。
もはや、敵対する勢力は存在しない。
文字通りの「天下統一」だ。



その日の夜。
城の中庭で、盛大な宴会が開かれた。
建国を祝うと共に、魔王軍との和解を祝う祝宴だ。
王国からの使者、元世界蛇の海賊たち、そして新たに加わった魔族たち。
人間、エルフ、ドワーフ、獣人、そして魔族が、一つのテーブルを囲んで酒を酌み交わしている。
種族の壁を越えた、まさに理想郷のような光景だ。

「お兄ちゃん、これ美味しいよ!」

リナが巨大な魔物の肉にかぶりついている。
その隣では、異世界の魔王リル=マオが、目を輝かせながら初めて見る人間界の料理に舌鼓を打っていた。

「うむ! この魔酒、妾のブレスより強いのう!」

イグニスが酒樽を抱えて飲んでいる。
セレスティアは穏やかな笑顔で人々の歌声に耳を傾け、リリアーナは目をキラキラさせながら俺の隣で幸せそうに微笑んでいた。

「レント様、こんなに素晴らしい国を……本当にありがとうございます」

シルヴィアが俺の手を握り、感謝の言葉を伝える。
彼女の故郷は帝国によって滅ぼされたが、今は俺の国で新たな希望を見出している。

「みんなの力がなければ、こんな国は作れなかったさ」
「いいえ。レント様がいたからこそ、私たちはここにいられるのです」

俺は彼女の言葉に、少し照れた。
俺はただ、自分の平穏な生活を守るために力を振るい、仲間たちを助けていただけだ。
それが結果的に、こんな大規模な国を築き、世界を変えることになるとは、正直予想外だった。

だが、この賑やかで、温かくて、愛に満ちた場所こそが、俺が本当に求めていた『安住の地』なのだろう。

「これで本当に、何もかも解決したな」

俺は酒を飲み干した。
しかし、その時、俺の【全知覚】が、微かな、しかし奇妙な魔力反応を捉えた。
それは、世界の『外側』からくる、異質な波動。

「……ん?」

俺は夜空を見上げた。
星空が、一瞬だけ歪んだような錯覚。
そして、その歪みの中から、どこか見覚えのある、そして同時に嫌悪感を抱かせる『何か』が、ゆっくりとこちらを覗き込んでいる気がした。

俺がかつて、次元の狭間へと追放した、あの男の怨念か。
それとも、世界の理を司る『管理者』の再度の干渉か。
あるいは、新たな世界からの、未知の侵略者か。

いずれにせよ、俺の平穏な日々は、まだ続きそうだ。
もっとも、どんな敵が現れようと、今の俺と仲間たちにとっては、最高の経験値であり、新たな家族(?)との出会いの機会になるだけだが。

「さあ、みんな! まだまだ夜は長いぞ!」

俺は高らかに叫んだ。
宴は最高潮に達し、人々の笑顔と歌声が夜空に響き渡る。
俺の最強のハーレムパーティと、俺が築き上げた独立国家『レント帝国』。
その物語は、これからも続いていく。

最終章『結』へ向けて、俺の冒険はまだまだ終わらない。

第37話へ続く。

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