追放された付与術師、自分自身を『神』へと強化する。~捨てられた俺、実は万能チート。美少女と無双する間に、元仲間は全滅しているようですが?~

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第35話 独立国家『レント帝国』の建国。世界中から移民が殺到。

海賊『世界蛇』を配下に加え、陸海ともに盤石な体制を築いた俺の国は、日増しにその影響力を拡大していた。
もはや一領主の治める城下町というレベルではない。
周辺の荒野を開拓し、海運ルートを確保し、古代遺跡の技術を解析して実用化した結果、経済力、軍事力、技術力のすべてにおいて世界最高水準に達していたのだ。

「レント様、本日の移民申請者数は千人を超えました。周辺諸国だけでなく、遠方の帝国や島国からも人々が集まってきています」

執務室で、宰相役(兼・正妻候補筆頭)のシルヴィアが嬉しそうに報告する。
彼女の手元には、分厚い書類の束がある。

「すごいな。何がそんなに魅力なんだ?」
「やはり、『安全』と『豊かさ』でしょう。レント様の結界がある限り、魔物の脅威はありませんし、食料も豊富です。それに、税金も安いですから」

俺の国では、魔物素材やダンジョン産出物を主な財源としているため、民衆からの徴税は最低限で済んでいる。
むしろ、公共事業(という名のリナの魔法実験)に参加すれば給料が出るくらいだ。
ブラック企業のような他国からすれば、ここはまさに地上の楽園だろう。

「それに、最近では『レント様を一目見たい』という観光客も増えています。特に女性客が」
「(アイドルか俺は……)」

俺は苦笑した。
まあ、人が増えるのは良いことだ。
活気があれば、それだけ国も強くなる。

その時、エリスが緊急通信を持ってきた。

「旦那様、アラルド国王陛下カラノ親書デス。『至急、建国宣言ヲ行ッテホシイ』トノコト」
「建国宣言?」
「ハイ。現状、コノ地ハ形式上ハ王国ノ一部デスカ、実質的ニハ独立シテオリマス。コノママデハ外交上ノ混乱ヲ招クため、正式ニ『帝国』トシテ独立シ、王国トハ対等ナ同盟関係ヲ結ブコトヲ提案サレテイマス」

なるほど。
王国の庇護下にあるという体裁をとっていたが、もはや王国の枠に収まりきらなくなっているわけだ。
国王としても、俺を部下として扱うより、友邦の皇帝として遇する方が気楽なのだろう。
リリアーナ王女を嫁がせている手前、親戚関係であることに変わりはないしな。

「わかった。やろうか、建国宣言」

俺は立ち上がった。
ついに、俺自身の国を持つ時が来た。
かつてパーティを追放された荷物持ちが、一国の皇帝になる。
これぞ正真正銘の成り上がりだ。

数日後。
城のバルコニーには、数万人の民衆が集まっていた。
広場を埋め尽くす人々。
彼らの視線が、一点に集中する。

俺は正装(エリス特製の皇帝服)に身を包み、バルコニーに立った。
両脇には、皇后となるシルヴィア、イグニス、セレスティア、リリアーナが並び、背後にはリナ、エリス、ゼクス、四天王たちが控えている。
最強の布陣だ。

「民よ、聞け!」

俺の声が、【拡声魔法】に乗って国中に響き渡る。

「今日、ここに新たな国が生まれる! その名は『レント帝国』! ここは、誰もが自由に、安全に、そして腹一杯飯が食える場所だ! 俺がこの命と力にかけて、お前たちを守ることを約束する!」

「おおおおおおおっ!!」
「レント皇帝陛下、万歳!」
「レント帝国、万歳!」

割れんばかりの歓声。
空には祝砲代わりの魔法花火が打ち上がり、イグニスが空を舞って炎の演舞を披露する。
シルヴィアが感極まって涙を拭い、リリアーナが「レント様、素敵!」と飛びついてくる。

こうして、『レント帝国』は正式に建国された。
世界地図に、新たな大国が刻まれた瞬間だった。

だが、その祝賀ムードを切り裂くように、空が割れた。

「……来たか」

俺は空を見上げた。
以前、魔王城の時と同じような亀裂。
だが、そこから溢れ出るのは瘴気ではない。
眩いばかりの『神聖な光』だ。

光の中から、純白の翼を持つ存在たちが舞い降りてくる。
天使ではない。
もっと無機質で、冷徹な『管理者』の尖兵たち。
『神の使徒』だ。

「な、なんだあれは……?」
「綺麗だけど……怖い……」

民衆がざわめく。
使徒の一人、黄金の鎧を着たリーダー格が、空中に停止して俺を見下ろした。

『レント・シルバー。貴様の行動は、世界の許容範囲を超えた』

使徒の声は、直接脳内に響いてくるような重圧感を持っていた。

『貴様は、人間でありながら神の領域である「創造」と「改変」を行いすぎた。生態系の破壊、因果律の歪曲、そして国家の樹立による歴史の改変……これらはすべて、世界の均衡を崩す「バグ」である』

バグ扱いか。
まあ、自覚はある。
ステータス無限とか、自分自身を強化しすぎたとか、やりたい放題やってきたからな。

『故に、管理者(システム)は決定した。貴様を排除し、世界をあるべき姿に「リセット」する』

リセット。
それはつまり、俺だけでなく、俺が作ったこの国も、仲間たちも、すべて無かったことにするということだ。

「ふざけるな」

俺はバルコニーから飛び出し、空中で使徒と対峙した。

「俺の国だ。俺の仲間だ。誰にも指一本触れさせない」
『抵抗は無意味だ。我々は神の代行者。貴様の付与術など、世界の理の前では無力』

使徒が剣を掲げた。
その切っ先に、太陽のようなエネルギーが集束する。

『消え去れ。【神罰・創世の光(ジェネシス・レイ)】』

極太の光線が放たれる。
それは物理攻撃でも魔法攻撃でもない。
存在そのものを初期化する、データ消去の光だ。

「レント様!」
「逃げろ!」

仲間たちが叫ぶ。
だが、俺は逃げない。
逃げる必要がない。

「付与術・【理(ことわり)の上書き】」

俺は右手を突き出した。
俺の『無限』の魔力が、世界そのものに干渉する。
神が作ったルールが気に入らないなら、俺が新しいルールを作ればいい。
俺の付与術は、もはや「強化」の域を超え、「現実改変」の領域に達していた。

「俺の国では、俺がルールだ。消去ビーム? そんなもん、ただの『花火』だろ」

カッ!!!!

光線が俺の手に触れた瞬間、それは無害な光の粒となって四散した。
キラキラと輝く光の雨が、城下町に降り注ぐ。
民衆たちは「わあ、綺麗!」と歓声を上げる。
神罰が、ただのエンターテイメントに変わった瞬間だ。

『な……に……?』

使徒が動揺する。

『神の光を……変換しただと……? ありえない……貴様はただの人間のはず……』
「人間だよ。ちょっとだけ『最強』なだけのな」

俺は瞬歩で使徒の目の前に移動した。

「神様に伝えておけ。『俺の世界(庭)に勝手に入ってくるな。次はデコピンじゃ済まさないぞ』ってな」

俺は使徒の額を、軽く小突いた。
パチン。
それだけで、使徒の鎧にヒビが入り、彼は遥か彼方へと吹き飛ばされた。
他の使徒たちも、恐れをなして光の亀裂へと逃げ帰っていく。

空が閉じる。
再び青空が戻ってきた。

「……勝った……?」
「レント様が、神の使いを追い返したぞ!」

今度こそ、割れんばかりの大歓声が巻き起こった。
神すらも退ける最強の皇帝。
その伝説は、未来永劫語り継がれることになるだろう。

「まったく、騒がしい建国記念日になったな」

俺はバルコニーに戻り、やれやれと肩をすくめた。
シルヴィアたちが涙目で飛びついてくる。

「レント様ぁぁ! 心配しましたぁ!」
「無茶しすぎです! でも、かっこよかったです!」

俺は彼女たちを抱きしめ、民衆に手を振った。
これで本当に、敵はいなくなった。
地上の敵も、天上の敵も。
あとは、この国を豊かにし、家族と幸せに暮らすだけだ。

……と思っていたら。

「レント様、大変です!」

エリスがまたしても慌てた様子でやってきた。
珍しい。彼女がこれほど取り乱すなんて。

「どうした? また神様か?」
「イイエ、違イマス。……『魔王』デス」
「魔王なら倒しただろ?」
「ソウデハナク……先程ノ騒ギデ次元ノ裂け目ガ開イタ際、別ノ世界線ノ『魔王』ガ迷イ込んデキタヨウデス。シカモ……」

エリスが指差した先。
城の中庭に、一人の少女が立っていた。
黒いゴスロリ服に身を包み、頭には立派な角が生えている。
そして、その顔は――泣いていた。

「うわぁぁぁん! ここどこぉ!? お家に帰りたいよぉ!」

「……子供?」

俺たちは顔を見合わせた。
どうやら、異世界の魔王(幼女)が迷子になってやってきたらしい。
しかも彼女、俺の顔を見るなり、

「パパ! パパだよね!? 迎えに来てくれたの!?」

と抱きついてきた。
マオに続いて、二人目の隠し子(?)疑惑。
シルヴィアたちの視線が痛い。

「レ、レント様……? 説明をお願いします……?」
「いや、知らない! 俺の娘じゃない! ……たぶん」

新たなトラブルの予感。
だが、悪い気はしない。
賑やかなのが一番だ。

こうして、『レント帝国』の歴史は、波乱万丈の幕開けを迎えたのだった。

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