追放された付与術師、自分自身を『神』へと強化する。~捨てられた俺、実は万能チート。美少女と無双する間に、元仲間は全滅しているようですが?~

sika3

第31話 今さら泣きつかれても知りません。絶縁宣言。

アリアとの決別から数日。
俺の城の周辺は、かつてないほどの活気に満ち溢れていた。
帝国の要塞から解放された捕虜たちや、魔王軍の脅威から逃れてきた難民たち、さらには俺の噂を聞きつけて集まってきた職人や商人たちが、城下町を形成し始めていたからだ。

「旦那様、本日の入植希望者は五百人を超えました」

エリスが報告書を読み上げる。

「食料自給率はリナ様とゼクスのおかげで安定していますガ、住居が不足し始めています。簡易テント村では冬を越せません」
「そうか。なら、今日は建築ラッシュといこうか」

俺は立ち上がった。
国作り編、本格始動だ。
ただ魔物を倒すだけの英雄ではなく、民を導く領主としての手腕が問われる時だ。

「タイタン、出番だぞ。お前の土魔法と俺の付与術のコラボだ」
「おう! 任せてくれ、レント様!」

元四天王の『剛力王』タイタンが、作業服姿で駆けつけてきた。
彼は今やすっかり現場監督として板についている。

俺たちは建設予定地へ向かった。
そこには、家を求める人々が不安そうに集まっていた。

「心配するな。今から最高の家をプレゼントしてやる」

俺は人々に宣言し、タイタンに指示を出した。

「タイタン、基礎工事だ。地面を隆起させて土台を作れ」
「【大地操作(アース・コントロール)】!」

タイタンが地面を叩くと、ズズズズ……と大地が盛り上がり、碁盤の目のように整然とした区画が出来上がった。

「次は俺だ。付与術・【建材生成】!」

俺は周囲の木材や石材に魔力を流し込む。
ただの丸太が加工済みの柱になり、岩がレンガに変形する。
さらに、【自動組み立て】の概念を付与する。

ガシャン! ガシャン!

資材がひとりでに動き出し、パズルのように組み合わさっていく。
釘一本使わない、魔法による接合技術だ。
数十分後には、数百軒の頑丈な石造りの家が完成していた。
しかも全戸に【冷暖房完備】【防音】【耐震】の付与付きだ。

「お、おおおっ! 家だ! 魔法の家だ!」
「レント様、万歳! 一生ついていきます!」

人々が歓声を上げ、涙を流して喜んでいる。
彼らにとって、安心して眠れる場所があるというのは、何よりも得難い幸福なのだ。

「レント様、素晴らしいです。これなら立派な城下町になりますね」

シルヴィアが感心したように見回している。
彼女もまた、警備隊長として町の治安維持に奔走してくれている。
治安がいいからこそ、人々も安心して暮らせるのだ。

そんな平和な光景に、水を差すような来訪者が現れたのは、その日の夕方だった。

「たのもう! レント殿にお目通り願いたい!」

城門に現れたのは、煌びやかな馬車と、数十名の護衛を引き連れた一団だった。
馬車の紋章を見て、俺は顔をしかめた。
『バルバロス公爵家』。
先日、魔王城騒動でヤンデレ化して暴走したミリアの父親だ。

「何の用だ? ミリアなら王家預かりになってるはずだが」

俺が門前に出ると、公爵が馬車から転げ落ちるように降りてきた。
以前の傲慢な態度はなく、顔色は土気色で、脂汗をかいている。

「レ、レント殿! どうかお慈悲を! 助けてくだされ!」

公爵はいきなり土下座した。
周囲の民衆がざわめく。
大貴族が冒険者に平伏する姿など、前代未聞だ。

「どうしたんだ、急に」
「娘が……ミリアが、王家の監視下で憔悴しきっているのです! 食事も喉を通らず、ただレント殿の名前を呼んで泣くばかり……。このままでは死んでしまいます!」
「それは自業自得だろ。魔王の力を借りて王都を滅ぼしかけたんだ。処刑されなかっただけマシだと思え」

俺は冷たく突き放した。
同情の余地はない。

「そ、そこを何とか! レント殿が一度だけでも面会してくだされば、娘も気を取り直すはずです! それに、我が家には莫大な資産があります。レント殿の国作りに資金援助を……!」
「金ならある。人手も足りてる。お前の助けなんていらない」

俺はきっぱりと言った。

「それに、俺は忙しいんだ。お前の娘のカウンセリングをしてる暇はない」
「そ、そんな……! 見捨てるのですか!? かつては娘を嫁にと誘ってくれた仲ではありませんか!」
「誘ってない。お前が勝手に送り込んできただけだ」

公爵は絶望的な顔をした。
そこへ、別の馬車が到着した。
今度は『大商人ギルバート』だ。

「レント様! どうか私とも商談を! 我が商会の全権をお渡ししても構いません!」

さらにその後ろから、『王立魔術アカデミー』の学長も現れた。

「レント殿! 名誉教授の件、再考を! 年俸は言い値で結構です!」

どうやら、俺が独立国家を作り始めたと聞きつけて、利権に群がるハイエナたちが一斉に押し寄せてきたらしい。
俺が成功すれば、その恩恵にあずかろうという魂胆が見え見えだ。

「……うっとうしいな」

俺はため息をついた。
こいつらは、俺が「役立たず」だった頃は見向きもしなかったくせに、利用価値が出たとたん掌を返す。
元パーティの連中と同じ穴のムジナだ。

「お前ら、まとめて帰れ」

俺は【威圧】のスキルを少しだけ解放した。

ズンッ!

空気が重くなり、公爵や商人たちの膝がガクガクと震え出す。

「お、お助け……!」
「ひぃぃぃっ!」

「俺の国に必要なのは、汗を流して働く者と、共に夢を見る仲間だけだ。権力や金で俺を動かせると思うな」

俺は指をパチンと鳴らした。
エリスが城壁の上に現れ、対神兵器の照準を合わせる。

「排除シマスカ? 旦那様」
「いや、威嚇射撃で十分だ」

ズドォォォォン!!

城壁から放たれた光線が、彼らの馬車の数メートル手前に着弾した。
地面がえぐれ、土煙が舞い上がる。

「ぎゃああああ!」
「殺されるぅぅぅ!」

公爵たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
馬車を乗り捨て、這々の体で去っていく。
民衆たちから「ざまぁみろ!」と歓声が上がる。
彼らもまた、貴族たちの横暴に苦しめられてきたのだ。
俺が彼らを追い払ったことで、民衆の支持率はさらに爆上がりした。

「レント様、かっこいいです!」
「うむ、主の覇気、心地よいぞ」

シルヴィアとイグニスも満足そうだ。
こうして、外部からの干渉を一掃し、俺たちは本当の意味での「独立」を勝ち取った。

しかし、平和な国作りが進む一方で、世界の裏側では不穏な動きが加速していた。
逃げ帰った公爵たちが、俺への逆恨みを募らせ、ある「禁断の組織」に接触を図っていたのだ。
それは、魔王軍でも帝国でもない、歴史の影に潜む『世界蛇(ウロボロス)』と呼ばれる暗殺教団。
彼らのターゲットに、俺と、そして俺の大切な仲間たちが指定された。

平穏な日常の裏で、忍び寄る毒牙。
だが、最強の付与術師とその仲間たちにとって、それは新たなる「掃除」の対象でしかなかった。

          

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