追放された付与術師、自分自身を『神』へと強化する。~捨てられた俺、実は万能チート。美少女と無双する間に、元仲間は全滅しているようですが?~

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第26話 魔王軍の幹部襲来。王国軍が敗走する中、レントが出陣。

元『栄光の剣』との因縁に終止符を打ったあの日から、数週間が経過した。
俺の城、通称『レント城』は、ますます賑やかになっていた。
シルヴィア、イグニス、セレスティア、リナ、エリス、ゼクスといったレギュラーメンバーに加え、新たに『テツジン(リナの巨大ゴーレム)』や、畑仕事を手伝う『農耕用スケルトン部隊』、さらには先日助けた『旧王国の捕虜たち』も城下町に住み着き始め、ちょっとした独立国家の様相を呈していた。

「旦那様、本日のスケジュールデス」

朝の執務室で、エリスが予定表を読み上げる。

「午前、畑ノ収穫祭ニ参加。午後、リナ様ト魔法ノ実験。夜、シルヴィア様トイグニス様トノ……混浴デス」
「夜の予定だけやけに具体的だな」
「旦那様ノ精神安定ノタメ、必須事項ト判断シマシタ」

エリスは無表情だが、どこか楽しげだ。
こんな平和な毎日が続けばいいと思っていた。
だが、世界はそれを許さないらしい。

ウゥゥゥゥゥン!!

城内に設置された緊急警報(サイレン)が鳴り響いた。
これは、国家レベルの危機を知らせる音だ。

「なんだ? また魔王軍か?」
「解析中……。通信入リマス。王都騎士団司令部カラデス」

エリスが空中にホログラムウィンドウを展開する。
映し出されたのは、ヴァンガード総長の焦った顔だった。

『師匠! 大変です! 東の国境が破られました!』
「東? 帝国とは逆方向じゃないか」
『はい! 魔王軍の本隊です! 四天王の一人『暴風将軍』ガルドが、空飛ぶ要塞と共に侵攻を開始しました! その数、十万!』

十万。
桁が違う。
先日のゼクスのアンデッド軍団は数万だったが、今回は正規軍だ。
しかも空飛ぶ要塞ときたか。

『現在、国軍の精鋭部隊が迎撃に向かいましたが……壊滅状態です! 魔法障壁も、対空砲火も通用しません! このままでは半日で王都上空に到達します!』

ヴァンガードの声には絶望が滲んでいた。
王国最強の騎士団長がここまで弱音を吐くとは、よほどの事態なのだろう。

「わかった。すぐに行く」

俺は通信を切った。
執務室に、仲間たちが集まってくる。

「レント様、また出番ですね」
「うむ、平和な日常も飽きてきたところじゃ。運動不足解消にはちょうど良い」

シルヴィアとイグニスはやる気満々だ。
リナもテツジンの整備を終えて駆けつけてきた。

「お兄ちゃん! 私も行くよ! 新しい魔法、試したいし!」
「ああ。だが今回は数が多そうだ。全員で行くぞ」

俺たちは転移の準備をした。
目指すは東の空。
そこには、空を黒く染めるほどの絶望が迫っていた。



王国の東部国境地帯。
そこは地獄と化していた。

「退け! 退却だぁぁぁッ!」
「ダメだ、空から攻撃が来る! 逃げ場がない!」

王国軍の兵士たちが逃げ惑う。
上空には、全長数キロにも及ぶ巨大な岩塊――『浮遊要塞ガルド』が浮かんでいる。
そこから無数のワイバーンやガーゴイルが飛び出し、地上を爆撃していた。
さらに、要塞の下部からは極太の竜巻が発生し、地上の砦や森を根こそぎ吸い上げている。

「ひゃはははは! 弱い! 弱すぎるぞ人間ども!」

要塞のテラスで、一人の男が高笑いしていた。
緑色の肌を持つ巨漢、四天王『暴風将軍』ガルドだ。
彼は風を操る魔人であり、この要塞そのものを自身の魔力で動かしている。

「ゼクスや他の四天王がやられたと聞いて警戒していたが、なんだこのザマは! 勇者レントとかいう奴も、所詮は口だけか?」

ガルドは鼻で笑った。
彼の自信の源は、この『絶対制空権』にある。
地上からの攻撃は風の結界で弾き返し、こちらからは一方的に空爆できる。
まさに無敵の要塞だ。

「将軍! 前方に高魔力反応! 何かが転移してきます!」

部下の報告に、ガルドは眉をひそめた。
空間が歪み、上空に数人の人影が現れた。
俺たちだ。

「あー、テステス。聞こえるか、緑色のデカブツ」

俺は【拡声魔法】で呼びかけた。
ガルドが目を丸くする。
飛行魔法で空中に浮いているとはいえ、生身の人間が要塞の真正面に現れるなど自殺行為だ。

「貴様がレントか? フン、豆粒のような奴だな」
「よく言われるよ。で、用件だけど。ここから先は俺の庭(領空)なんで、Uターンして帰ってくれないか? 今なら通行料はサービスしてやる」
「ハッ! 戯れ言を! この『暴風要塞』の前では、貴様など塵芥に等しい! 消え失せろ!」

ガルドが手を振ると、要塞から無数の風の刃が放たれた。
『真空刃(エア・スラッシャー)』。
鋼鉄をも切り裂く見えない凶器の嵐。

「レント様、来ます!」

シルヴィアが警告するが、俺は動じない。

「イグニス、燃やせ」
「承知!」

イグニスが息を吸い込み、咆哮と共に炎を吐いた。
『紅蓮の竜息(ドラゴン・ブレス)』。
それは風の刃を飲み込み、さらに勢いを増して要塞へと迫る。

「なっ、炎だと!? 風属性には相性が悪いはず……!」
「相性? そんなもん、火力(パワー)でねじ伏せれば関係ないのじゃ!」

イグニスの炎は、通常の物理法則を無視した『概念焼却』の属性を持つ。
風だろうが水だろうが、彼女が「燃える」と定義すれば燃えるのだ。

ズドォォォォォン!!

炎が要塞の結界に直撃した。
結界が悲鳴を上げてきしむ。
ガルドは慌てて魔力を注ぎ込み、防御を固めた。

「おのれぇぇッ! 生意気な! 全砲門開け! 撃ち落とせ!」

要塞の側面から数百門の魔導砲がせり出し、一斉射撃を開始した。
弾幕の雨。

「リナ、出番だぞ」
「はーい! テツジン、イージスモード!」

リナが指示すると、背後の空間から巨大な鉄の盾が現れた。
テツジンが変形し、広範囲防御フィールドを展開する。
砲弾は全て盾に弾かれ、空中で花火のように爆発した。

「な、なんだあのゴーレムは!? 魔導砲が効かないだと!?」
「セレスティア、雑魚掃除を頼む」
「はい、レント様。……穢れを祓います」

セレスティアが翼を広げ、無数の光の矢を放つ。
『ホーミング・レーザー』。
周囲を飛び回っていたワイバーンやガーゴイルが、次々と撃ち落とされていく。
百発百中。
数分もしないうちに、要塞の護衛部隊は全滅した。

「ば、馬鹿な……! 我が軍の精鋭たちが……!」

ガルドが戦慄する。
たった数人のパーティに、十万の軍勢が圧倒されている。

「さて、本丸を落とすか。シルヴィア、行けるか?」
「はい! いつでも!」

俺はシルヴィアの手を取り、思い切り投げた。

「いっけえぇぇぇッ!」
「きゃあぁぁぁッ!(でも嬉しい!)」

シルヴィアは人間砲弾となって要塞へと飛んでいった。
彼女は空中で聖剣を構え、流星のごとく結界に突っ込む。

「【聖剣技・流星一閃(スターダスト・ブレイク)】!」

カァァァァン!!

最強の硬度を誇るはずの風の結界が、ガラスのように砕け散った。
シルヴィアはそのまま要塞のテラスに着地し、ガルドの目の前に立った。

「チェックメイトです、将軍」
「き、貴様ぁぁッ!」

ガルドが剣を抜こうとするが、遅い。
シルヴィアの剣が彼の喉元に突きつけられる。

勝負あり。
暴風将軍ガルド、陥落。

「……信じられん。これが勇者の力か……」

地上で見守っていた王国軍の兵士たちが、呆然と空を見上げていた。
絶望的な戦況を、たった数分でひっくり返した俺たちの姿は、まさに神話の英雄そのものだった。

「さて、と。これで一件落着……と言いたいところだが」

俺は要塞に着地し、ガルドを見下ろした。
彼は悔しそうに歯ぎしりをしているが、その目にはまだ諦めの色はなかった。

「フフ……フハハハ! 勝ったつもりか? 甘い、甘いぞレント!」
「何がおかしい?」
「この要塞には『自爆機能』がついているのだ! 魔導炉を暴走させれば、半径数百キロが消し飛ぶ! 王都も道連れだ!」

また自爆か。
悪役ってのはどうしてこう、すぐに自爆したがるんだ。

「スイッチはこれだ!」

ガルドが懐からリモコンを取り出し、ボタンを押そうとした。

シュッ。

俺の指先から放たれた『空気弾』が、リモコンを粉砕した。

「あ……」
「学習しないな。俺の前でそんなおもちゃが通用すると思うか?」

俺は呆れてため息をついた。
ガルドは絶望の表情で崩れ落ちる。

「終わりだ。ゼクス、こいつも回収しろ。庭の草むしり要員が増えたな」
「御意。賑やかになりますな」

ゼクスが現れ、ガルドを縛り上げる。
こうして、魔王軍による大規模侵攻も、俺たちの前ではただのイベント消化に終わった。

だが、俺は気づいていなかった。
この騒動の裏で、本当に危険な『種』が芽吹いていたことを。
公爵令嬢ミリアが手に入れた『魔王復活の鍵』。
それが今、王都の地下で怪しい光を放ち始めていたのだ。

          

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