追放された付与術師、自分自身を『神』へと強化する。~捨てられた俺、実は万能チート。美少女と無双する間に、元仲間は全滅しているようですが?~

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第20話 国王からの呼び出し。勇者として認定される。

「レント様、どうか……どうか我が同胞たちをお救いください!」

城の応接室。
ボロボロの衣服を纏い、全身に包帯を巻かれた伝令の女性兵士が、涙ながらに床に額を擦り付けていた。
彼女はシルヴィアの故郷、滅びた王国で近衛騎士を務めていた部下の一人だという。
帝国軍の捕虜収容所から、命からがら脱走してきたのだ。

「顔を上げてくれ。話は分かった」

俺は彼女に最高級のポーション(俺の付与済み)を与えながら、重い口調で言った。
彼女が語った内容は凄惨なものだった。
隣国『ガレリア帝国』は、捕虜とした騎士や民たちを、単なる労働力としてではなく、『生体兵器』の実験台として扱っているというのだ。
魔物の因子を埋め込み、理性なき兵士へと改造する禁断の実験。
そこには、かつてシルヴィアが信頼を置いていた女騎士団長の姿もあったという。

「団長は……まだ自我を保っておられましたが、時間の問題です。帝国の魔導師たちは、彼女を『魔将』へと改造し、レント様の城へ差し向ける計画を立てていると……」
「なんて酷いことを……っ!」

シルヴィアが拳を震わせる。
彼女の瞳には、怒りの炎が燃え上がっていた。
故郷を奪い、父を殺し、そして今は大切な仲間たちの魂までも冒涜しようとしている帝国。
許せるはずがない。

「レント様、お願いします。私に力を貸してください。いえ、貴方様の力を借りるなどおこがましい……。私一人でも行きます。この命に代えても、団長たちを楽にしてあげたいのです」

シルヴィアは悲壮な決意を秘めて立ち上がろうとした。
だが、俺はその肩を優しく押さえて座らせた。

「一人で行かせるわけないだろ」
「レント様……」
「お前の故郷の問題は、俺の問題だ。それに、俺の城を狙ってるってんなら、それはもう俺への宣戦布告と同じだ」

俺はニヤリと笑ってみせた。

「安心しろ。改造された騎士団長だろうが、帝国の魔導師だろうが、俺の付与術で全部ひっくり返してやる。呪いを解いて、元の姿に戻してやればいいんだろ?」
「……っ! そんなことが、可能ですか?」
「セレスティアを見ろよ。あんなにドス黒かったのが、今はピカピカの天使だぞ」

隣で紅茶を飲んでいたセレスティアが、「えへへ」と照れくさそうに翼をパタつかせた。
彼女の実例がある以上、説得力は抜群だ。

「ありがとうございます……! 一生、ついていきます!」

シルヴィアが俺の胸に飛び込んでくる。
よし、方針は決まった。
帝国へ乗り込み、捕虜を救出し、ついでにそのふざけた実験施設を粉砕する。

その時、懐の黒いギルドカードが微かに震え、通信機能が作動した。
発信元は王城だ。

『レント殿、聞こえるか? アラルドだ』

国王からの直通通信だ。

「聞こえてるよ、陛下。タイミングが良いな」
『うむ。実は緊急の用件がある。すぐに城へ来てくれんか? 貴殿に正式に頼みたいことがある』

声のトーンから、ただ事ではない雰囲気が伝わってくる。
おそらく、帝国の動きを掴んだのだろう。

「わかった。すぐに行く」

俺は通信を切ると、皆を見回した。

「王様からの呼び出しだ。たぶん、帝国関連の話だろう。全員で行くぞ」
「はいっ!」

俺たちはエリスに城の留守を任せ、転移魔法の準備をした。
座標は今度こそ慎重に合わせて。



王城、大会議室。
そこには国王アラルド三世だけでなく、宰相、騎士団長、そして先日舞踏会で会った宮廷魔導師団のクライス副団長など、国の重鎮たちが勢揃いしていた。
張り詰めた空気の中、俺たちが転移してくると、全員の視線が一斉に集まった。

「よく来てくれた、特級英雄レント殿」

国王が席を立ち、俺を迎えた。
形式ばった挨拶もそこそこに、彼は一枚の巨大な地図をテーブルに広げた。
北の大陸地図だ。

「単刀直入に言おう。我が国の諜報部隊が、ガレリア帝国の不穏な動きを察知した。彼らは国境付近に軍を集結させつつある。しかも、その軍の中には『異形の兵士』が多数確認されている」

異形の兵士。
伝令の話と合致する。

「帝国は、禁忌とされる『魔人化技術』を実用化しようとしているようだ。捕虜や自国の民を使ってな。……これはもはや、人道に対する罪であり、大陸全土への脅威だ」

国王は悔しげに拳を握りしめた。
我が国としても看過できないが、正面から軍をぶつければ甚大な被害が出る。
相手は強化された魔人兵団だ。普通の騎士では歯が立たない可能性が高い。

「そこでだ、レント殿。貴殿に頼みたい」

国王は真剣な眼差しで俺を見据えた。

「貴殿を、我が国の『勇者』として正式に認定したい」
「勇者?」
「うむ。特級英雄という称号は冒険者としての枠組みだが、勇者は違う。国の象徴であり、正義の執行者だ。軍を率いる権限を持ち、王族に準ずる発言権を持つ。……つまり、貴殿に帝国の野望を砕く『剣』となってほしいのだ」

会議室がどよめいた。
勇者の称号。
それは歴史上、数人しか与えられていない伝説の地位だ。
それを、ぽっと出の冒険者に与えるという決断。
反対意見が出るかと思ったが、宰相たちも静かに頷いている。
俺の実力を見せつけられた今、誰も文句を言えないのだろう。

「……勇者、か」

俺は腕を組んだ。
正直、肩書きには興味がない。
だが、公的なお墨付きがあれば、帝国に介入する際の大義名分が立つ。
「勝手に他国に攻め込んだ無法者」ではなく、「世界の危機を救うために動いた勇者」として振る舞えるなら、後々の面倒ごとも減るだろう。

「条件がある」
「なんだ? 金か? 領地か? 望むままに用意しよう」
「いや、そういうのはもう十分持ってる。俺が欲しいのは『不干渉』の約束だ」

俺は国王を見据えた。

「俺は勇者として動くが、あくまで俺のやり方でやる。軍の指揮下には入らないし、作戦も俺が決める。政治的な駆け引きや、戦後の処理を俺に押し付けないこと。……あと、俺の仲間(ハーレム)に変な手出しをしないことだ」

国王は目を丸くし、それから苦笑した。

「……ハハ、やはり貴殿らしい。よかろう、全権を委任する。好きに暴れてくれ。責任は余が取る」
「交渉成立だな」

俺たちは握手を交わした。
その瞬間、俺のギルドカードが輝き、ステータス欄に新たな称号が刻まれた。

【称号:王国の勇者】

「これより、レント殿を筆頭とする特別遊撃部隊を結成する! 目的は帝国の魔導実験施設の破壊、および捕虜の解放だ!」

国王の宣言に、騎士たちが剣を掲げて応える。
こうして俺は、名実ともに国の最高戦力として、帝国との戦争(という名の俺の無双劇)に足を踏み入れることになった。

「ふふ、レント様が勇者様……。なんだか遠い存在になってしまいそうです」

シルヴィアが少し寂しげに言う。

「何言ってるんだ。俺はただのレントだよ。お前の相棒だ」
「……はいっ!」
「うむ、勇者の嫁というのも悪くない響きじゃな」

イグニスも満更ではなさそうだ。

「では、早速出発の準備を……と言いたいところだが、一つ気がかりがある」

宮廷魔導師団のクライスが、冷ややかな声で口を挟んだ。
彼は俺を睨みつけているわけではないが、その目にはどこか探るような色が浮かんでいる。

「帝国の技術……特に『魔人化』の術式は、非常に高度な古代魔法をベースにしているという情報があります。彼らの背後に、何者かが知恵を貸している可能性がある」
「何者か?」
「例えば……かつて封印された『魔神』の眷属、とかね」

魔神。
魔王よりもさらに上位の、神話時代の存在。
クライスの言葉に、会議室の空気が冷えた。

「まあ、誰がバックにいようが関係ない。出てくるなら叩き潰すだけだ」

俺は軽く言い放ち、会議室を後にした。
クライスの視線が背中に突き刺さるのを感じながら。
あいつ、やっぱり何か知っていそうだな。
まあいい、泳がせておけば尻尾を出すだろう。



一方その頃。
王都から遠く離れた、北西の山岳地帯。
そこにある『魔の山』と呼ばれる鉱山で、元『栄光の剣』の四人は地獄のような日々を送っていた。

「ぐっ……お、重い……」

ヴァルスは泥にまみれながら、重い鉱石を積んだトロッコを押していた。
かつて剣聖と呼ばれた腕は痩せ細り、筋肉痛と疲労で悲鳴を上げている。
手足には魔力封じの枷が嵌められており、身体強化も使えない。ただの非力な人間として、過酷な肉体労働を強いられていた。

「なんで……なんで私がこんなことを……」

エリナがつるはしを振るいながら泣き言を漏らす。
彼女の自慢の指先はひび割れ、爪は剥がれ、見るも無残な状態だ。
魔法使いとしての繊細な魔力操作など、もう二度とできないかもしれない。

「お腹すいた……水……」
「誰か……助けて……」

アリアとジャミルも、生ける屍のように虚ろな目で作業を続けている。
監視役のオークたちが、鞭を振るって彼らを急かす。

「休むんじゃねえ! ノルマが終わるまで飯抜きだぞ!」

ビシッ!

鞭がヴァルスの背中を打ち据える。
激痛。
だが、彼はもう叫ぶ気力もなかった。

「……くそッ……レント……レントぉぉ……」

彼の心に残っているのは、ただ一つ。
自分たちをこんな目に遭わせた(と彼らが思い込んでいる)レントへの憎悪だけだった。
その憎しみだけが、彼を動かす燃料となっていた。

作業の合間。
ヴァルスは崩れかけた坑道の奥で、奇妙な光を目にした。

「……なんだ、あれ?」

監視の目を盗み、彼は奥へと進んだ。
そこは、本来なら立ち入り禁止の封鎖エリアだった。
崩落した岩の隙間に、何かが埋もれている。

紫色の光を放つ、拳大の結晶体。
禍々しく、それでいて魅力的な輝き。

「綺麗な石……魔石か?」

ヴァルスが震える手でそれに触れようとした時。
脳内に直接、声が響いた。

『……力が、欲しいか?』

「え?」

ヴァルスは周囲を見回した。誰もいない。
声は、目の前の石から聞こえてくるようだった。

『復讐したいのだろう? お前を貶めた者たちに。お前を見下した世界に』

甘美な誘惑。
ヴァルスの心の隙間に、その声はねっとりと入り込んでくる。

「復讐……そうだ、俺は復讐したい! レントを殺したい! あいつから全てを奪い返したい!」
『ならば、我を受け入れろ。我は『魔神の欠片』。お前に、理不尽を覆す力を与えよう』

魔神の欠片。
それは、かつて世界を恐怖に陥れた存在の一部。
触れれば精神を乗っ取られ、異形の怪物と化す禁断のアーティファクト。

だが、今のヴァルスに正常な判断力はなかった。
彼は魅入られたように、その結晶を掴んだ。

「力を……俺に力をよこせぇぇッ!」

ドクンッ!!

結晶がヴァルスの手のひらに食い込み、融合を始めた。
紫色の血管が腕を這い上がり、全身へと広がっていく。

「ギャアアアアアアアッ!!」

ヴァルスの絶叫が坑道に響き渡った。
駆けつけたエリナたちが見たのは、異形へと変貌していくリーダーの姿だった。

筋肉が膨張し、皮膚が裂け、その下から黒い甲殻が現れる。
背中からは触手のような突起が生え、瞳は紫色に染まり、白目がなくなる。
魔力封じの枷が、紙屑のように弾け飛んだ。

「ヴァ、ヴァルス……? あなた、どうなっちゃったの!?」

エリナが腰を抜かす。
ヴァルスだったモノは、ゆっくりと振り返った。
その顔には、凶悪な笑みが張り付いていた。

「……素晴らしい。力が溢れてくるぞ」

声は二重に響いていた。ヴァルスの声と、何者かの声が重なっている。

「エリナ、ジャミル、アリア。……お前たちも欲しいか? この力が」
「ひっ……!?」
「一緒に来い。俺たちは生まれ変わるんだ。そして、レントを……勇者気取りのあのクソ野郎を、地獄の底へ叩き落としてやる!」

ヴァルスは触手を伸ばし、仲間たちを捕らえた。
彼らは悲鳴を上げたが、すぐにその声は歓喜とも苦悶ともつかない叫びへと変わっていった。
魔神の力が、彼らをも侵食していく。

鉱山の監視役のオークたちが異変に気づいて駆けつけた時、そこにはもう、人間の冒険者はいなかった。
いたのは、四体の『魔人』。
オークたちは一瞬で肉片へと変えられた。

「グオオオオオオッ!!」

魔人ヴァルスが咆哮を上げる。
鉱山が揺れ、崩落が始まる。
彼らは瓦礫を突き破り、地上へと飛び出した。

目指すは北。
帝国の軍勢と合流し、レントへの復讐を果たすために。

「待ってろよ、レント……。最高のパーティーの始まりだ……」

闇に染まったかつての英雄たち。
彼らはもはや引き返せない修羅の道を歩み始めた。
勇者となったレントと、魔人となったヴァルス。
光と闇の激突は、避けられない運命となっていた。



王城での会議を終えた俺たちは、城門を出てリムジンに乗り込んだ。

「なんか、嫌な予感がするのう」

イグニスが空を見上げて呟いた。
西の空に、不気味な紫色の雲がかかっている。

「嵐が来るかもな」
「嵐ですか?」
「ああ。でもまあ、どんな嵐でも俺たちの絆があれば吹き飛ばせるさ」

俺はイグニスの肩を抱いた。
シルヴィアもセレスティアも、力強く頷いてくれる。

「行きましょう、レント様。帝国の野望を打ち砕きに!」
「はい。そして、捕らわれた人たちを救い出しましょう」

俺たちは新たな決意を胸に、拠点である城へと戻った。
そこでエリスに留守を任せ、物資を補給し、いざ帝国の最前線へ。

次なる舞台は、機械と魔法が融合した帝国の要塞。
そこで俺たちを待ち受けるのは、魔改造された女騎士団長と、そして予想外の形(魔人)で再会することになる元仲間たち。

物語はクライマックスへ向けて加速する。
最強の「ざまぁ」と「救済」が交差する、激動の章が幕を開ける。

(続く)

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