追放された付与術師、自分自身を『神』へと強化する。~捨てられた俺、実は万能チート。美少女と無双する間に、元仲間は全滅しているようですが?~

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第17話 呪いを『祝福』に書き換えました。聖女様が夜這いに来る件。

――と、魔王軍襲来の報せを受ける少し前。
時間を昨夜まで巻き戻そう。

闇オークションから連れ帰った元『呪われた聖女』、セレスティアを俺の私室に招き入れた後のことだ。

「……あ、あの、レント様。本当に、このままでよろしいのですか?」

広大な天蓋付きベッドの上で、セレスティアは緊張に震える声を出した。
彼女は俺のすぐ隣に座り、恐る恐る体を寄せてきている。
湯上がりの肌から漂う石鹸の香りと、彼女自身が持つ百合のような芳香が混じり合い、俺の鼻腔をくすぐる。
シルクのネグリジェ越しに伝わる体温は、以前のような死人の冷たさではなく、ほんのりと温かい。
だが、その奥底にある『聖なる冷気』――過剰な魔力循環による冷却現象が、俺の火照った体(という設定)には心地よかった。

「ああ、いいんだ。俺は魔力を使いすぎて体が熱いからな。お前のそのヒンヤリしたオーラがちょうどいい冷却材になる」

俺は大嘘をつきながら、彼女の肩を抱き寄せた。
実際には【状態異常無効】があるから熱なんて出ないし、【自動体温調節】もある。
単に、美少女といちゃつきたかっただけだ。

「冷却材……。私が、レント様のお役に立てるなら……」

セレスティアは嬉しそうに微笑み、俺の胸に頭を預けた。
背中の六枚の翼が、バサリと広がる。
黄金の粒子を撒き散らすその翼は、俺たち二人を外部の世界から遮断する繭のように包み込んだ。

「温かい……。誰かとこうして触れ合うのが、こんなに安心するなんて知りませんでした」
「今までずっと一人だったのか?」
「はい。教団の地下牢では、鎖に繋がれたままでしたから……。誰かが近づいてくる時は、私を実験道具として見るか、あるいは処刑しようとする時だけでした」

彼女の言葉には、重い過去が滲んでいた。
触れる者すべてを腐らせる呪い。
それを恐れ、誰も彼女に愛を与えなかった。

「でも、レント様は違います。私の呪いを消してくれて、翼を綺麗にしてくれて……こうして抱きしめてくれる」

彼女は顔を上げ、アメジストのような瞳で俺を見つめた。
その瞳は潤んでおり、今にも溢れ出しそうな感情が渦巻いている。

「私、レント様のためなら何でもします。命だって捧げます。だから……」

彼女の手が、俺のパジャマのボタンに触れた。

「夜のお世話も……頑張ります。使い方はよくわかりませんが、教本で読んだ通りに……」
「待て待て、どこでそんな教本を読んだんだ」
「奴隷商人の待合室に置いてありました。『旦那様を悦ばせる百の技』という本です」

なんて教育に悪い環境だ。
俺は彼女の手を優しく止めた。

「そんな無理をしなくていい。今日はただ、安心して眠れ。それが俺への『ご奉仕』だ」
「一緒に寝るだけ……ですか?」
「ああ。家族っていうのは、そういうもんだろ」

家族。
その言葉に、セレスティアは大きく目を見開いた。
やがて、彼女の瞳からポロポロと涙がこぼれ落ちた。

「家族……。私が、レント様の家族……」
「ああ。だから、もう怯えなくていい」

俺が彼女の頭を撫でると、彼女は感極まったように俺の胸に顔を埋め、声を殺して泣いた。
それは悲しみの涙ではなく、長い孤独が溶けていく安堵の涙だった。

そのまま、俺たちは静かな夜を過ごす――はずだった。

バンッ!!

「レント様! 抜け駆けは禁止です!」
「うむ! 新入りばかり可愛がるとは何事じゃ!」

扉が勢いよく開かれ、シルヴィアとイグニスが乱入してきた。
二人とも、それぞれ扇情的なネグリジェを身に纏っている。
シルヴィアは清楚な白、イグニスは情熱的な赤。

「あ、あの……シルヴィアさん、イグニスさん……?」
「セレスティア、貴女も油断なりませんね。あんな大人しそうな顔をして、初日からレント様の寝床に潜り込むなんて」
「うむ。教育が必要じゃな。主の膝の上は妾の特等席じゃぞ?」

二人はプンプンと怒っているが、その目は笑っていた。
本気で嫉妬しているわけではなく、新しい妹分をからかいつつ、歓迎している雰囲気だ。

「まあまあ、ベッドは広いんだ。みんなで寝ればいいだろ」
「もう、レント様ったら……。でも、そうですね。今夜は特別です」
「ふん、まあよい。右腕は妾がもらうぞ」
「じゃあ私は左腕を!」

結局、俺は右にイグニス、左にシルヴィア、そして胸の上にセレスティアという、窒息死しそうな配置で眠ることになった。
四人の体温と、柔らかい感触。
そして部屋に満ちる幸福な空気。
セレスティアも最初は戸惑っていたが、すぐに二人の姉貴分に受け入れられ、最後には安らかな寝息を立てていた。

これが、昨夜の出来事だ。
ハーレムの結束が固まった、平和な一夜だった。

そして翌朝。
その平和をぶち壊すように、レイナさんが飛び込んできたわけだ。



「魔王軍四天王、『死霊公爵』ゼクス……ですか」

城の一階、広々としたリビングルーム。
俺たちは優雅な朝食(エリス特製のエッグベネディクトとフレッシュサラダ)を中断し、レイナさんの報告を聞いていた。
レイナさんはまだ息を切らしており、顔色は真っ青だ。

「は、はい! 北の山脈にある旧坑道から、数万のアンデッド軍団を引き連れて出現したそうです! その進軍速度は異常に早く、あと数時間でこの湖畔エリアに到達すると……!」
「数万のアンデッドか。朝から景気がいいな」

俺はコーヒーを一口啜った。
パニックになるレイナさんとは対照的に、俺たちのテーブルは落ち着き払っている。

「レント様、死霊公爵といえば、かつて一国を『死の病』で滅ぼしたとされる最悪のネクロマンサーです。物理攻撃が効きにくく、倒した兵士をその場で蘇らせて配下にするという、厄介な能力を持っています」

シルヴィアが真剣な表情で解説してくれた。
さすが元王族、魔王軍の情報には詳しい。

「物理無効に、無限増殖か。普通に戦えば消耗戦で負ける相手だな」
「はい。国軍も動こうとしていますが、準備に時間がかかります。先遣隊として騎士団の一部が向かいましたが、おそらく……」

全滅か、あるいは取り込まれて敵の手駒になっているか。
レイナさんは絶望的な顔で言った。

「レント様……王家からの要請です。どうか、この城を砦として、魔王軍の進撃を少しでも食い止めていただけませんか? 報酬は弾みます! 国庫にある宝物庫の鍵をお渡ししても構いません!」

国を守るためなら財産も惜しまないという覚悟か。
まあ、俺としては報酬なんてどうでもいい。
この城は俺のマイホームだ。
庭にゾンビが土足で入り込んでくるなんて、生理的に受け付けない。

「わかった。引き受けよう。というより、俺の敷地に入った時点で害虫駆除の対象だ」
「あ、ありがとうございます……! でも、相手は数万です。レント様たちだけで大丈夫なんですか?」
「問題ない。……なあ、セレスティア」

俺は隣でパンを齧っていた天使に話を振った。

「ふぁい?」

セレスティアが小首を傾げる。
口の端にパン屑がついている。昨夜の妖艶さはどこへやら、今はただの可愛らしい少女だ。

「アンデッド退治、得意か?」
「えっと……はい。神聖魔法なら、誰にも負けないと思います。それに、私の翼から出る光は、邪悪なものを浄化する性質がありますから」
「だそうだ。数万のゾンビごとき、彼女一人でお釣りが来る」

俺が言うと、レイナさんはポカンとした。
彼女はまだセレスティアの正体を知らない。
ただの綺麗な少女だと思っているのだろう。

「そ、そうですか……。あ、あの、この方は?」
「ああ、新入りのセレスティアだ。職業は『天使』ってとこかな」
「て、天使……?」

レイナさんの思考が追いついていないようだが、説明している時間はない。
窓の外、北の空がどす黒く曇り始めていた。
瘴気の雲だ。
魔王軍が近づいている証拠である。

「来るぞ。エリス、防衛システム起動」
「了解。対空迎撃魔法陣、展開。城壁結界、最大出力ニ固定。旦那様、庭ノバラ園ガ汚レナイヨウ、迎撃ポイントヲ前方二キロ地点ニ設定シマス」
「気が利くな。よし、ピクニック気分で行くか」

俺たちは立ち上がった。
シルヴィアが聖剣を腰に差し、イグニスがコキコキと首を鳴らす。
セレスティアも、パンを飲み込んで背中の翼をバサリと広げた。

最強パーティの出陣だ。



一方その頃。
城から少し離れた森の中にも、魔王軍の接近を察知した者たちがいた。
元『栄光の剣』の四人だ。
彼らは昨夜の屈辱的な敗北(門前払い)の後、森の中で野宿をしながら、レントへの復讐の機会を窺っていた。

「おい、見ろよあれ!」

ジャミルが木の上から叫んだ。
北の山脈から、黒い津波のような軍勢が押し寄せてくるのが見える。
スケルトン、ゾンビ、デュラハン……。
おびただしい数の魔物の群れだ。

「魔王軍だ……! 噂は本当だったのか!」
「ひぃっ、あんな数、勝てるわけないわ! 逃げましょう!」

エリナが悲鳴を上げる。
だが、リーダーのヴァルスだけは、ギラついた目でその軍勢を見つめていた。

「待て……逃げるのはまだ早い」
「はあ? 正気かよヴァルス! 死ぬぞ!」
「馬鹿野郎、逆だ。これはチャンスなんだよ」

ヴァルスは歪んだ笑みを浮かべた。

「あの軍勢は、レントの城に向かっている。つまり、レントたちは魔王軍との戦いで手一杯になるはずだ」
「……あ」
「激戦になれば、城の警備も手薄になる。あのふざけたメイド人形も、前線に出ざるを得ないだろう。その隙に、俺たちが城の裏口から侵入して、金庫の中身をいただくんだ」

火事場泥棒。
Sランク冒険者にあるまじき発想だが、落ちぶれた彼らにとっては起死回生の一手に見えた。

「それに、もしレントたちが魔王軍に負けて死ねば、俺たちがドサクサに紛れて『魔王軍幹部を倒した』と主張することもできるかもしれん」
「えっ?」
「レントと幹部が相打ちになったところを、俺たちがトドメを刺したことにするんだ。そうすれば、俺たちは英雄として返り咲ける!」

妄想にも程があるが、極限状態の彼らはその甘い蜜に飛びついた。

「そうね……! そうよ! 私たちが負けるはずがないもの! レントが削ったところを、私たちが美味しくいただく! 完璧な作戦だわ!」
「やりましょう! 僕の魔法で、弱った幹部くらいならイチコロです!」

彼らは顔を見合わせ、下卑た笑みを浮かべた。
自分たちの装備がボロボロで、まともな戦闘力がないことなど忘れている。
欲望が恐怖を上書きしていた。

「よし、移動だ。レントたちが魔王軍とぶつかるタイミングを見計らって、城に突入するぞ!」

愚かな四人は、戦場の側面へと移動を開始した。
自分たちが、マンモスに踏み潰される蟻のような存在であるとも知らずに。



城の前方二キロ地点。
広大な草原が広がるこの場所で、俺たちは待ち構えていた。
風が強く吹き、草が波打つ。
その向こうから、地響きと共に黒い軍勢が現れた。

先頭を行くのは、巨大な骸骨馬に乗った騎士――『死霊公爵』ゼクスだ。
黒いローブを纏い、手には禍々しい大鎌を持っている。
その顔は干からびたミイラのようで、眼窩には赤い光が灯っていた。

「……ククク。ここが『特級英雄』とやらの居城か」

ゼクスの声は、錆びた鉄を擦り合わせるような不快な響きを持っていた。
彼の背後には、数え切れないほどのアンデッドが整列している。

「人間風情が、我ら魔王軍に抵抗しようなどと。……おい、そこの小僧。貴様がレントか?」
「そうだけど。挨拶もなしに人の庭に入り込むなんて、魔王軍ってのは随分と行儀が悪いんだな」

俺は腕組みをして、余裕の笑みを返した。
ゼクスは鼻で笑った。

「減らず口を。貴様の魔力、確かに大きいようだが……所詮は人間。我が『不死の軍団』の前には無力だ。見よ、この数を! 倒しても倒しても蘇る絶望を!」

ゼクスが大鎌を掲げると、地面から無数のスケルトンが這い出してきた。
数は三万、いや四万か。
草原を埋め尽くす白い骨の波。

「さあ、恐怖に歪め! 命乞いをすれば、特別にゾンビとして我が配下に加えてやろう!」

勝利を確信した高笑い。
だが、俺たちの誰一人として、恐怖を感じてはいなかった。
むしろ、シルヴィアは「ふっ」と冷笑し、イグニスは「雑魚が増えただけじゃな」とあくびをしている。

「セレスティア」

俺は隣に立つ天使に声をかけた。

「はい、レント様」

「あの汚い骨どもを、綺麗にしてやれ」
「了解しました。……お掃除の時間ですね」

セレスティアが一歩前に出た。
彼女は目を閉じ、胸の前で手を組んで祈りを捧げた。
その背中の六枚の翼が、太陽のように眩しく輝き始める。

「【神聖魔法(ホーリー・マジック)】・展開」

彼女の声は鈴のように澄んでいて、戦場全体に響き渡った。

「天にまします主よ。迷える魂に安らぎを。穢れし地に浄化の光を」

カッ!!!!

空が割れた。
いや、雲の切れ間から、極太の光の柱が降り注いだのだ。
それはただの光ではない。
高密度の神聖魔力。
アンデッドにとっては、触れるだけで存在が消滅する絶対的な毒。

「――【聖域解放(サンクチュアリ・バースト)】」

光の波紋が、セレスティアを中心にして爆発的に広がった。
それは津波となってアンデッド軍団を飲み込んでいく。

「な、なんだこの光はぁぁぁッ!?」

ゼクスが絶叫した。
彼が展開していた『死霊結界』が、ガラスのように砕け散る。
光に触れたスケルトンたちが、悲鳴を上げる間もなく灰となって崩れ落ちていく。
ゾンビは浄化され、ただの土へと還る。

「蘇生!? 馬鹿な、蘇生が追いつかん! いや、魂そのものが浄化されているだと!?」

ゼクスの必勝戦術である『無限蘇生』が機能しない。
セレスティアの光は、アンデッドを「倒す」のではなく「成仏」させてしまっているからだ。
浄化された魂は天へと昇り、後には何も残らない。

「あ、ありえん……! 人間ごときが、これほどの神聖魔法を……! 貴様、何者だ!?」
「私はレント様のメイド。……ただの天使です」

セレスティアは微笑んだ。
その笑顔は慈愛に満ちているが、ゼクスにとっては悪魔の微笑み以上に恐ろしかっただろう。

数万いたはずの軍勢が、たった一撃で半壊した。
草原には、キラキラと輝く光の粒子だけが舞っている。

「す、すごい……」

後方で見守っていたレイナさんが腰を抜かしている。
まあ、俺もここまでとは思わなかった。
俺が【神聖魔法強化】のバフを少し乗せていたとはいえ、やはり素材(セレスティア)のポテンシャルが桁違いだ。

「おのれぇぇッ! 私の可愛いコレクションたちが!」

ゼクスが激昂し、自ら前線に躍り出た。
彼の大鎌に、どす黒い怨念が集束する。

「ならば私が直接手を下す! 【即死の鎌(デス・サイズ)】! 触れただけで魂を刈り取る呪いの刃だ!」
「触れなければいい話だな」

俺は前に出た。
大鎌が振り下ろされる。
俺は避けない。

ガキィィンッ!

大鎌の刃が、俺のデコピン一本で受け止められた。

「……は?」

ゼクスが固まる。

「呪い? 即死? 悪いが、俺には【即死無効】も【呪い吸収】も付いてるんだよ」

俺は指先で鎌の刃を弾いた。
パリーン!
魔王から授かったという魔剣クラスの大鎌が、粉々に砕け散った。

「なっ……私の鎌が!?」
「次は本体だ。……シルヴィア、イグニス、出番だぞ」
「はいっ!」
「うむ!」

俺の両脇から、二人の影が飛び出した。

「【聖剣技・断罪の閃光】!」

シルヴィアの聖剣が、光の軌跡を描いてゼクスの左腕を切り落とす。

「【竜王炎・煉獄焼き】!」

イグニスの放った炎が、ゼクスの右半身を炭化させる。

「ぐぎゃああああああッ!」

ゼクスは無様に吹き飛び、地面を転がった。
再生しようとするが、シルヴィアの聖剣の力と、イグニスの消えない炎がそれを阻害する。

「つ、強い……! なんだこいつらは!? 一人一人が勇者クラスだと!?」
「正解。そして俺は、その勇者たちのオーナーだ」

俺はゆっくりとゼクスに近づいた。
彼は後ずさり、恐怖に震えている。

「ひ、ひぃぃッ! 助けてくれ! 降参だ! 軍は引く! だから命だけは!」

四天王のプライドなどかなぐり捨てた命乞い。
俺は冷ややかに見下ろした。

「降参? まあ、殺すのは簡単だが……」

ふと、俺は思いついた。
このゼクス、死霊術師としては超一流だ。
殺してしまうのはもったいないかもしれない。
城の地下迷宮には、まだ手付かずのエリアがたくさんある。
そこの管理や、あるいは畑の肥料作り(アンデッドを使った労働力)に使えないだろうか。

「おい、ゼクス。お前、転職に興味あるか?」
「は、はあ?」
「魔王軍なんてブラック企業は辞めて、ウチで働かないか? 福利厚生はしっかりしてるぞ。三食昼寝付き、ただし労働時間は24時間(アンデッドだから平気だろ?)だ」
「な、何を言って……私は誇り高き四天王……」
「断るなら、セレスティアにもう一発、浄化の光を撃ってもらうが」

俺が合図すると、セレスティアがニコニコしながら極大魔法のチャージを始めた。

「や、やります! 働かせてください! 一生ついていきますぅぅッ!」

ゼクスは光の速さで土下座した。
こうして、魔王軍四天王の一角が、あっさりと俺の軍門に下った。
所要時間、約五分。
ピクニックのお弁当を広げる暇もなかったな。

「……信じられない。国を滅ぼす災厄が、コントみたいに終わった……」

レイナさんが空を見上げて呟いていた。
まあ、これが俺たちの「日常」になりつつあるわけだが。

一方その頃。
城の裏口に忍び込もうとしていたヴァルスたちは――。

「おい、今の光なんだ!?」
「魔王軍が……消えた!?」

遠くから見ていた彼らは、魔王軍が一瞬で壊滅する様を目撃し、腰を抜かしていた。
チャンスだなんだと言っていた計画は、実行に移す前に頓挫した。

「ば、化け物だ……レントの奴、本当に化け物だ……」
「逃げよう……もう関わっちゃいけない……」

彼らは恐怖に駆られ、森の奥へと逃げ出した。
だが、彼らの不幸は終わらない。
逃げた先は、魔王軍の残党(知能の低いゾンビたち)が散り散りになって逃げ込んだエリアだったのだ。

「うわあああ! ゾンビだ! 来るな!」
「剣が折れてて戦えない! 助けてぇぇ!」

森の奥から、彼らの悲鳴が響く。
だが、誰も助けには行かない。
因果応報。
彼らは自らの弱さと慢心によって、地獄を見ることになる。

俺は城へと戻り、新しい下僕(ゼクス)に庭の草むしりを命じた。
最強のハーレムパーティに、また一人(?)愉快なメンバーが加わったのだった。

第18話へ続く。

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