追放された付与術師、自分自身を『神』へと強化する。~捨てられた俺、実は万能チート。美少女と無双する間に、元仲間は全滅しているようですが?~

sika3

第8話 ドラゴンの正体は美少女でした。二人目の嫁、ゲット。

「それじゃ、この水晶に手を置いてくれ」

ギルドマスターのガンドルに促され、俺はカウンターに設置された魔力測定器――直径三十センチほどの透明な水晶玉の前に立った。
これは冒険者の魔力量や潜在能力を数値化する魔道具だ。
通常、青色に光れば一般人レベル、緑なら中級、赤なら上級、そして金色ならSランク級と言われている。

「加減したほうがいいですか?」
「いや、正確なデータが欲しい。全力で頼むわい」
「わかりました」

俺は素直に頷き、水晶に右手を乗せた。
まあ、今の俺は付与術でステータスを無限に上げている状態だ。
まともに流すと壊れるかもしれないので、ほんの少し、蛇口から水を一滴垂らすくらいの感覚で魔力を流してみることにした。

――ブゥン。

水晶が反応する。
色は、一瞬で青、緑、赤を通り越し、金色に輝いた。

「おおっ! やはり金色か! 素晴らしい輝きじゃ!」

ガンドルが歓声を上げる。
周囲の職員や冒険者たちも「すげえ……」「やっぱりSランク級か」とどよめく。
だが、異変はそこからだった。

金色の輝きは収まるどころか、さらに強さを増していく。
白金(プラチナ)、虹色、そして――漆黒へ。
水晶の内部で、宇宙のような闇と星々が渦を巻き始めた。

「な、なんじゃこりゃ!? こんな色は見たことが……」

ピキッ。

不穏な音が響いた。
水晶の表面に亀裂が入る。

「あ、やば」

俺が手を離そうとした、その時だった。

パァァァァァァンッ!!

測定器が内側から弾け飛んだ。
爆発音と共に、細かい粉塵となって霧散する水晶。
衝撃波でカウンターの書類が舞い上がり、レイナさんが「キャッ!」と悲鳴を上げた。

「…………」

静寂。
ギルド内がシーンと静まり返る。
俺の手には、粉々になった水晶の残骸だけが残っていた。

「あー……弁償します」
「……いや、いい」

ガンドルが引きつった顔で首を振った。

「測定不能(エラー)、か。過去に勇者と呼ばれた男でも、水晶にヒビを入れるのがやっとじゃったが……粉微塵とはな」

ガンドルは額の汗を拭い、真剣な表情で俺に向き直った。

「レントよ。お主のランクじゃが、とりあえず『S』として登録しておく。だが、内部的には『測定不能(アンノウン)』、あるいは『国家戦力級(SS)』として扱うことにするぞ」
「SS?」
「ああ。お主の力は、一歩間違えれば国を滅ぼしかねん。変に数値を公表して騒ぎになるより、Sランクの枠に収めておいたほうが動きやすかろう」
「助かります。目立ちすぎるのは趣味じゃないんで」
「十分に目立っとるわ!」

ガンドルに突っ込まれつつ、俺は新しいギルドカードを受け取った。
金色のプレートには『Sランク冒険者 レント』の文字。
これで俺は名実ともに、この国で数人しかいない最高位の冒険者となったわけだ。
ついでに、ドラゴン素材の買取金として、白金貨百枚(日本円にして約十億円相当)の預かり証も受け取った。
現金は用意するのに時間がかかるらしいので、とりあえず当面の生活費として金貨千枚だけ受け取る。

「行こうか、シルヴィア」
「はい、レント様!」

俺たちは呆然とする冒険者たちの視線を背に、ギルドを後にした。
外はすでに夕暮れ時。
俺たちは、街で一番高級な宿屋『天上の安らぎ亭』に向かうことにした。



『天上の安らぎ亭』の最上階、ロイヤルスイートルーム。
一泊で金貨十枚もする超高級室だ。
ふかふかの絨毯、天蓋付きの巨大なベッド、そして魔法でお湯が出る専用の浴室まで完備されている。

「す、すごいです……。お城の私の部屋より豪華かもしれません……」

シルヴィアがおずおずと部屋に入り、きょろきょろと辺りを見回している。
彼女は亡国の姫だが、逃亡生活が長かったせいか、久々の贅沢に少し戸惑っているようだ。

「遠慮するなよ。金は腐るほどあるんだ」
「はい……ありがとうございます。その、レント様」
「ん?」
「部屋、一つでよろしかったのですか?」

シルヴィアが頬を赤らめて、上目遣いで俺を見てくる。
そういえば、スイートルームを一部屋しか取らなかった。

「嫌だったか? もう一部屋取ろうか?」
「い、いいえ! 嫌なわけがありません! むしろ、その……嬉しいです」

彼女はもじもじしながら、自分の銀髪を指でいじっている。

「私は貴方様の剣であり、従者です。夜の護衛も務めますし……もしレント様が『お望み』なら、私は……」

蚊の鳴くような声だが、その瞳には期待の色が滲んでいる。
可愛すぎるだろ、この姫騎士。
俺の理性に対する【精神攻撃(メンタル・アタック)】が強すぎる。

「まあ、まずは風呂に入って飯にしよう。疲れも溜まってるだろうし」
「は、はい! お背中、お流しします!」

やる気満々だな。
俺は苦笑しつつ、ソファに腰を下ろした。
その前に、一つ確認しておきたいものがあった。

「その前に、ちょっと荷物整理だ」

俺はポケットから【四次元収納】の中身の一部を取り出した。
テーブルの上に置いたのは、あの「ドラゴンの心臓」だ。
バスケットボール大の、深紅の結晶体。
迷宮から持ち出した時よりも、脈動が強くなっている気がする。

ドクン……ドクン……。

まるで生きているかのような鼓動。
部屋の温度が少し上がったように感じる。

「やはり、凄い魔力ですね。見ているだけで吸い込まれそうです」
「ああ。これを素材にして新しい装備を作ろうかと思ってたんだけど……なんか様子がおかしいんだよな」

俺は心臓に手をかざし、【鑑定(アナライズ)】を発動した。
迷宮で見たときは『エンシェントドラゴンの心臓(素材)』だったはずだ。
だが、今の表記は変わっていた。

【名称:竜帝の核(ソウル・コア)】
【状態:孵化寸前】
【解説:強大な魔力を浴びたことにより、肉体を失った竜の魂が再構築を始めている。】

「……孵化?」

俺が呟いた瞬間だった。

カッ!!

心臓が強烈な光を放った。
俺とシルヴィアは思わず目を閉じる。
部屋全体が真紅のオーラに包まれ、熱風が吹き荒れる。

「レント様、下がってください!」

シルヴィアがとっさに俺の前に立ち、聖剣に手をかける。
だが、俺は彼女の肩を掴んで制した。

「大丈夫だ、敵意はない」

光が収束していく。
結晶体がパキパキと音を立てて砕け散り、その中から現れたのは――ドラゴンではなかった。

「……え?」

そこにいたのは、一人の少女だった。

燃えるような真紅の長髪。
透き通るような褐色の肌。
頭からは二本の小さな角が生えており、背中にはコウモリのような小さな翼。
そして何より目を引くのは、その豊満すぎるプロポーションだ。
まだ十代半ばくらいの見た目だが、出るところは信じられないほど出ており、くびれるところは極限までくびれている。
要するに、超絶美少女だ。
しかも、全裸である。

「う~ん……。ようやく出られたのじゃ」

少女はあくびをしながら伸びをした。
その動きに合わせて、豊かな胸がたゆんと揺れる。
シルヴィアが「ひゃっ」と小さな声を上げて赤面し、俺の目を手で覆おうとしたが、俺の【透視無効】付与(自分用)を忘れていたようだ。バッチリ見えている。

少女はパチリと目を開けた。
縦に割れた金色の瞳孔を持つ、爬虫類的な、しかし宝石のように美しい瞳が俺を捉える。

「お主か? 妾(わらわ)の殻を割り、溢れんばかりの魔力を注ぎ込んでくれた雄(オス)は」

尊大な口調。
だが、その声には敵意ではなく、妙な艶っぽさが混じっていた。

「俺はレント。お前、さっき俺が倒したドラゴンか?」
「いかにも。我が名はイグニス。この大陸の地下深くを統べる『紅蓮の竜帝』じゃ」

イグニスと名乗った少女は、ふわりと宙に浮き、俺の目の前まで飛んできた。
顔を近づけ、クンクンと俺の匂いを嗅ぐ。

「ふむ、良い匂いじゃ。圧倒的な強者のオーラと、底知れぬ魔力の香り……。妾をワンパンで葬っただけはある」
「倒されたのに、ずいぶんと嬉しそうだな」
「当たり前じゃ! 妾は生まれて数千年、一度も敗北を知らなかった。自分より強い雄など存在しないと絶望しておったのじゃ。だが、お主は違った」

イグニスは俺の頬に手を添え、うっとりとした表情で見つめてきた。

「妾のブレスを涼風のように受け流し、最強の鱗を紙切れのように貫いたあの一撃……。ああ、思い出すだけで背筋がゾクゾクするわ」
「……マゾなのか?」
「求愛と言え! 竜族の掟において、敗者は勝者に従うのが絶対のルール。ましてや、肉体を滅ぼされ、お主の魔力によって魂ごと再構築された今、妾の全てはお主のものじゃ」

イグニスは空中でくるりと回転し、俺の膝の上にストンと座り込んだ。
温かくて柔らかい感触がダイレクトに伝わってくる。

「おい、服を着ろ服を」
「そんなもの邪魔じゃ。それよりレントよ、早く『契約』を結ぼうぞ」
「契約?」
「決まっておろう。子作りじゃ」

ブフォッ!
俺は思わずむせた。
あまりにも直球すぎる。

「ちょ、ちょっと待ってください!」

黙っていられなくなったシルヴィアが、俺とイグニスの間に割って入った。

「な、ななな何言ってるんですか貴女! いきなり現れて、レント様の上に乗っかって、こ、こ、子作りだなんて!」
「ん? なんじゃお主は。ああ、あの時ボス部屋の入り口で死にかけておった小娘か」

イグニスは興味なさげにシルヴィアを一瞥した。

「邪魔をするな。妾は今、数千年越しの発情期なのじゃ。この強くて逞しい雄種を逃すわけにはいかんのじゃ」
「は、発情期ぃ!? 破廉恥です! レント様は私の主なんですから、順番というものがあります!」
「ほう? 順番とな? つまりお主が一番目(正妻)だと主張する気か?」

イグニスが目を細め、威圧的なオーラを放つ。
元ドラゴンの威圧だ。並の人間なら気絶するレベルだが、今のシルヴィアは俺の強化を受けているため、怯まずに対抗する。

「そ、そうです! 私が最初のパートナーです!」
「ふん、小娘が。竜の愛の深さを思い知らせてやるわ」

バチバチと火花が散る。
美少女二人が俺を巡って争う図。
男としては冥利に尽きるが、このままだと部屋が半壊しかねない。

「まあ待て、二人とも」

俺はイグニスの頭に手を置き、軽く撫でた。
すると、さっきまで威嚇していたイグニスが「ふにゃあ」と情けない声を上げて脱力した。

「あ……そこ、気持ちいいのじゃ……魔力が流れ込んできて……」
「イグニス、服を着ろ。話はそれからだ」

俺は【四次元収納】から、シルヴィア用に買っておいた予備の衣服(ちょっと露出度の高い踊り子風の衣装しかサイズが合いそうになかった)を取り出して投げ渡した。
イグニスは不満げに頬を膨らませたが、俺の命令には逆らえないのか、しぶしぶと袖を通した。
踊り子風の衣装は、彼女の褐色の肌と豊満な肢体を強調してしまい、逆に扇情的になってしまったが、まあ全裸よりはマシだ。

「で、イグニス。お前は俺について来る気なのか?」
「当然じゃ。お主の魔力を浴びていなければ、今の妾の体は維持できん。それに、お主の国作りを手伝ってやる」
「国作り?」
「お主ほどの力を持つ者が、いつまでも人間ごときの枠に収まっているはずがなかろう? いずれ世界を統べる王になる器じゃ。ならば、妾がその玉座の隣に座るのに相応しい」

なるほど。
確かに、今の俺の力をもってすれば、国の一つや二つ作るのは造作もないことだ。
元パーティへの「ざまぁ」も兼ねて、自分だけの最強国家を作るというのも悪くない。

「わかった。イグニス、お前を俺のパーティに入れる。戦力としては申し分ないしな」
「うむ! 任せておけ。ブレス一発で敵国ごと焼き尽くしてやるぞ」
「それはやめろ。手加減を覚えろ」
「むぅ、善処する」

こうして、俺のパーティに二人目のメンバーが加わった。
亡国の姫騎士シルヴィアと、人化した最強の竜王イグニス。
両手に花、かつ両手に核弾頭みたいな状況だ。

「レント様、私は負けませんからね……!」
「妾もお主如きに後れは取らんぞ。夜の戦いでもな」

二人が左右から俺の腕に抱きついてくる。
柔らかい感触に挟まれながら、俺は窓の外を見た。
夜空に月が輝いている。

これからの旅は、騒がしくなりそうだ。
だが、あの薄暗い迷宮で一人ぼっちだった頃に比べれば、この騒がしさも悪くない。

「……さて、飯にするか」

俺たちはルームサービスを頼み、三人で豪華なディナーを楽しんだ。
イグニスは人間の食事に感動し、シルヴィアはテーブルマナーを教えようとして喧嘩になり、結局最後は仲良く大皿を平らげていた。

そしてその夜。
ダブルベッドに三人で寝ることになったのだが――。

「レント様、こっちを向いてください……」
「レント、妾の肌は冷たくて気持ちいいじゃろ?」

案の定、二人の猛アピール合戦により、俺は一睡もできない夜を過ごすことになったのだった。
もちろん、【精力増強】と【回復力無限】の付与を自分にかけておいたので、何も問題はなかったが。

翌朝。
スッキリした顔で目覚めた俺たちを待っていたのは、慌ただしいノックの音だった。
どうやら、昨日の測定器破壊事件と、俺が持ち込んだ大量のドラゴン素材が、国の上層部にも知れ渡ってしまったらしい。
国王からの呼び出し、という面倒くさいイベントのフラグが早くも立っていた。

だが、今の俺に怖いものなどない。
王様だろうが何だろうが、俺の平穏を邪魔するなら排除するだけだ。
最強の嫁二人を引き連れて、俺は堂々と王城へ乗り込むことにした。

(続く)

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