第二十二章 魂を落とす

先に言った通り、突然ビックリされた後、私たちはしばしば「魂が飛んでしまった」と言います。私はたくさんの人が一生の中で以下のような経験をしたことがあると思います。
何かをしていると、いつの間にか突然頭が真っ白になり、しばらくしてからようやく意識が戻り、時間を見るとかなりの時間が経っているのに、その間自分が何をしていたのか全く思い出せません。
このような状況を、私たちは「魂を落とす」と呼んでいます。ほとんどの人は魂を落としても取り戻すことができ、通常はすぐに取り戻しますが、ごく少数の人は、それ以降迷い、もう戻ってこれなくなります。
私はかつてこのような事件を経験しました。
2005年のことのようです。私はある女性から焦った電話を受けました。彼女の息子が他の子供と遊んでいるとき、後ろから大きな声でビックリされ、その後倒れて、目が焦点を合わせず、表情がなく、どんなに呼んでも意識が戻らないと言うのです。
病院に運ばれ、医師の診断では脳ショック、つまり植物状態ということで、家に帰って保存的治療を行いました。その間、数え切れないほどの漢方医にお願いし、数え切れないほどの民間療法を試しましたが、依然として何の方法もありませんでした。
最後に重慶の白市驛で難病を専門に治療する陰陽師に会いました。魂が冥土に入り、牛頭馬面に捕らえられてしまったと言うのです。
治すのはとても難しく、親に諦めるよう勧めました。親はもちろん諦めませんでした。いくつかの苦労の末、私のことを知りつけ、そこで男の子の母親は試しに電話をかけてきました。魂を落とすことについては私はたくさん聞いています。一般的に本当に詳しい人は、いわゆる魂を落とすとは、実際に肉体と魂が突然分離した状態で、人は死んでいないのですが、肉体を制御する魂が体外に遊離し、戻りたいけれども戻る方法がないということを知っています。
たとえ戻る方法を見つけても、体外に出た後のことは何も覚えていません。これが多くの人が一時的に魂を失った後、記憶の断片が生じる理由です。そして通常、このような長い間取り戻せない場合、私たちがすべきことは、ただ彼の魂が体に戻る道を見つけるだけです。
だから子供の母親が私に相談に来たとき、私はこの問題は簡単に解決できると思っていました。しかし、取り組み始めると、たくさんの曲折と状況に直面しました。
その日、子供の家に約束通りに行ったとき、入り口に入ると異様な圧迫感を感じました。長年の職業習慣から、私は彼の家の配置や飾り付けを観察し始めました。風水学は多くの分野に細分化することができ、私たちの業界に属するその部分の知識は、学業を始めるときに必ず最初に学ぶものです。

彼の家の構造はこのようです。入り口には装飾用の仕切りがあり、その上にはクリスタルの装飾品がいっぱい並んでいます。仕切りの後ろには食卓があり、水槽があり、水槽の中には魚がいます。テレビの壁に正面した壁には、檀の木の質地の羅刹の斧が2本掛けられています。2本の斧の間には、非常に不調和な書道が掛けられています。

これでもまだいいですが、最も不審なのは、彼の各部屋、リビングルームを含めて、すべての窓に貝殻で作られた風鈴が掛けられていることです。私が学んだことでは、窓に風鈴を掛けることは実際には非常に危険な行動です。市販の幽霊はそれほど多くなく、何もない限り無理やり人を惹きつけることはありませんが、風鈴の音は多かれ少なかれ彼らに一種の引きつける力を与えます。

この引きつける力が、少し危険なところになります。たとえ通りすがりのものであれば、何も問題ありません。それ自身で遊んでから去っていきます。もし一部のあまり友好的でない幽霊に出会った場合、それは本当に厄介なことになります。

だから私は学業を始めてから、家の窓に風鈴を掛けているのを見るたびに、特に窓が西日に当たる場合は、できるだけそうしないように伝えるようにしています。

私は少年の母について子供の部屋に入りました。部屋には子供のベッド以外、ほとんど様々なものでいっぱいでした。洗濯物、ラジオ、薬の茶碗や瓶などです。

元々狭い部屋は雑然としており、ベッドに横たわり、目をパチパチさせているが全く意識のない子供がいると、なおさら可哀想に見えました。

事件が起こってから既に1か月が経過しています。つまり、もし子供の魂がまだ存在するなら、それが合理的に存在する残りの期間は20日以下になります。そうでない場合、その意識はだんだん弱まり、何かを忘れるか、もっと遠くに迷い、体に戻る可能性は本当に小さくなります。

私はまず母にすべての風鈴を外し、ドアと窓を閉めて、子供の部屋を密閉状態にしました。彼女に外で待っていてもらい、まずこの子供の魂が周りにいるかどうかを見る必要がありました。

道を尋ねた後、私はこの子供の魂が周りにいることを確信し、同時に、彼がとても体に戻りたいと望んでいることを察知しました。戻れない理由は、方法が見つからないだけでなく、ここに他の幽霊がいて邪魔しているからです。

このような状況は予想外すぎるので、子供ができるだけ早く自分の体に戻るには、今、彼に道を教えるだけでなく、周りの他の幽霊を追い払わなければなりません。
難道は風鈴が引きつけたのか？私は突然以前師匠が言った一文を思い出した。彼は子供の魂は一番面白いと言っていた。元気があり、天真爛漫なので、世に彷徨う多くの亡霊は子供の魂と遊ぶのが好きだと。それは占拠するつもりでも、害するつもりでもなく、ただ純粋に遊びたいだけだと。
これこそが難しいところだ。もし子供の魂を絡みつくのが悪鬼なら、私はすぐにそれを引きつけることができる。迷子の亡霊なら、道を見つけさせることもできる。しかし何の悪意もない単純な魂なら、私も彼らが世の中を彷徨い続けるのを見て見ぬふりはできない。彼らにそれぞれの場所に帰らせなければならない。男の子の魂以外は、すべて送り出さなければならない。
私は子供を見ることはできないが、彼は私を見ることができる。私はあらゆる方法を試みても他の亡霊を道に誘うことができず、子供自身を体に戻させることもできなかった。何時間ももたついて、困り果てた。
ドアの外で子供の母親は何度も催促していた。彼女は多分私を疑っているだろうし、私が家の何かを盗むのではないかと恐れているのではないかと思う。これまで何年もこのような疑いに慣れてしまった。
しかし問題はやはり解決しなければならない。仕方ないので、私は師匠に電話をかけて尋ねた。師匠は私の口述だけでは、何が原因であるのか確定できなかった。そこで師匠は、部屋の中に遺影や仏像などが掛けてあるかどうか、もう一度よく見てみるように言った。このようなものは一部の亡霊を捕らえることができる。もしあれば、まず収めておくと。
私はそこでドアを開けて子供の母親に状況を説明し、彼女の案内で再び部屋全体を調べた。今回は、師匠が言った仏像は見つからなかったが、壁に掛かっている斧に特別に気をつけ始めた。
私は突然このような状況に気づいた。この斧の形は、片方が平刃で、もう一方は少し小さな巻き尾になっている。外形から見ると、羅刹の斧で、鬼神の世界では羅刹はまさにすべての悪鬼の総称である。難道ここに悪鬼が存在するのか？
私は背中に冷や汗を流した。幸い調べたところ、この部屋には子供と他の何人か以外に、他の魂は存在しないことがわかった。こういうことなら、私はわかった。この羅刹の斧こそが、この部屋にいるすべての亡霊を捕らえている本当の原因だ。
ここでお勧めするのは、家に攻撃的な宗教的な物を飾り付けることが好きな人に、この物の由来とそれ自身が持つ機能をしっかり調べてほしい。ただ格好良さや立派さを求めて、自分に何か不審な厄介事を引き起こさないように。
斧の前で鬼神に礼拝し、丁寧に取り下げた。赤い布で包んで、光の当たらないところに入れた。私は再び子供とそれらの亡霊を探したが、今は部屋には子供の魂だけが残っていることがわかった。他のものはすでに自分で去っていた。
私は彼らに道案内をするチャンスがなく、とても残念だ。彼らがもっと良い同行者に出会い、本当の楽園に連れて行ってもらうことを願う。子供の部屋に戻り、何らかの方法で彼に自分の体の上に重なって横たわるように伝え、そして彼の母親に針を持ってきてもらい、両大きな指に小さな針穴を開け、子供の唇に血を塗った。しばらくすると、子供は目を覚まし始め、話すのが少し苦しそうで、魂が抜けた間の記憶は途切れていた。
しかし少なくとも帰ってきた。足はすべての霊気の迂回点で、魂が頭のてっぺんから全身を巡回し始めるとき、足のところで引き返し、このように循環する。2つの針の穴を開けるのは、魂に「息を抜く」ためで、血を唇に塗るのは、肉体に自分自身の味を思い出させるためだ。
母は涙目でほとんど跪くような姿になり、もともと数百元だけを私に渡して済まそうとしていたが、思い切って数千元を出した。私も恥ずかしくて受け取れなかったので、象徴的に少しだけ受け取った。これらのお金がなくても困らないし、適切な時には家族の苦労を理解する必要がある。
ここまで話して、去年のあるニュースが思い出される。「信じるかどうかは君次第だが、私はとにかく信じる」。皆さんは去年の新幹線事故をまだ覚えていると思う。その事故の後、私はずっとニュースの動向を注視していた。ある日、あるニュースキャスターが新幹線の進捗状況を報道し終わった後、深い意味を込めてこう言った：「私たち中国人が自分の足を止めて、私たちの魂を待つことができるように願う」。
ある意味で言えば、一人の人間が魂を失うことは大したことではない。何とか、われわれのような少しだけ呪術を知る人が手伝うことができる。しかし、もし一つの民族の魂が失われたら、本当に取り戻すことができない。時代と技術の発展により、私たちはすでに国を強大にさせ始めた。しかし、品質やその他の理由により、一味に速度を追い求め、その間に自分自身にたくさんの不十分な点があることを忘れてしまった。
身長1メートル20センチの小学生に、ジョーダンのように180度回転してダンクシュートをするように求めることができるだろうか。人は自分の能力の範囲を超えたことをしてはならない。私たちが頭を上げて路上を急いで走るとき、適切な時には振り返って、その影を探すべきではないだろうか。