第二十章 牛を殺す

2003年の年末、一人の德望の高い人の招待に応じて、私は重慶の下流にある涪陵という都市に行きました。以前言ったことを覚えていますが、白鶴梁、漬物の故郷です。この先輩は偉い人で、年齢は私の師匠とほぼ同じで、本宗は道家で、俗を離れて髭を生やし、髪を結んで道士になりました。
一昨年までに彼が道を修得したと聞いています。彼は元々私を涪陵に招いて、彼の以前の弟子たちと互いに知り合うためで、私たちが歩む道が比較的偏っていることを知り、お互いに世話をし合うことを望んでいました。彼の弟子の数は多くはありませんが、全国各地に分散しています。
今回は一堂に会し、交流することになりました。私は重慶に住んでおり、近いので、招待を受けた当日に涪陵に到着しました。当時、重慶から涪陵まではまだ汽車が通っておらず、私も車を持っていなかったので、涪陵に行く方法は2つしかありませんでした。一つは菜園壩で長距離バスに乗ることで、運賃は50元で、2時間で着きます。もう一つは朝天門の埠頭で汽船に乗ることで、運賃は12元ですが、一夜を費やさなければなりません。
私は船を待って川を眺める余興がなかったので、高速道路に貢献することにしました。涪陵に着いてから、私は先輩を訪ね、たくさん話しました。話しているうちに、彼は突然私を試そうとして、私に一つの問題を出しました。
彼は数日前に知人から電話を受けたと言いました。涪陵の牛殺しの路地という場所で夜に時々牛の鳴き声が聞こえるそうです。しかし、この場所は都市の中にあり、牛の鳴き声が聞こえることは完全に不可能です。この路地はとても昔、牛を殺す屠場でした。そこで先輩の知人は、牛の動物霊がいるのではないかと思ったそうです。
先輩は「もしあなたがこのことを私に手伝ってくれれば、本当にありがたいです」と言いました。私は彼の苦渋を理解しています。俗を離れた後、普通の修道者の生活を送りたいだけです。しかし、知人から助けを求められて、断りにくいので、私が来たのを機会に、私に手伝ってもらおうとしたのです。
彼が私に頼んだのも縁で、もし私が一日早く到着していなければ、このことは私の心配事にもなりませんでした。動物霊のことは私はずっと知っています。万物にはすべて霊があります。ただ、牛という動物には、本当に一度も接触したことがありません。
子供の頃は牛は王二小専用だと思っていました。大人になってからは牛肉乾は老四川ブランドしか認めませんでした。本当に私に事件として対処させると、本当に経験がありませんでした。しかし、先輩が言った以上、どうしても従わなければなりません。一晩休んだ後、私は先輩が言った場所に行き、涪陵第二診療所の向かいで、この牛殺しの路地という場所を尋ねてわかりました。
これは上から下まで比較的狭い階段で構成された路地で、多くても2、3人が並んで通行できる程度です。道路の両側には様々な野良広告や免許証の取得の電話番号が張り付けられています。
両側の建物はほとんど以前のような土手付きの古い建物で、路地の途中ぐらいに、少し新しめのマンションがあります。先輩が説明したとおり、彼の知人はおそらく近くに住んでいるはずです。
私は周りを見回しました。鉄格子の門があり、門の中の左側には2つの入り口があるマンションがあり、右側は塀で、壁には以前は門があったようで、色が違うレンガで閉じられていました。
通りかかった人に尋ねると、ここが以前の屠場の場所だとわかりました。日がまだ高いので、私はこの路地を通り抜けました。スタイルから見ると、このような古い川東の住宅は重慶の中心部では「あまりに古くて」などの街の景観に影響を与えるという一連の言葉で撤去対象になることは間違いありません。
中心部には建設の足取りを引っ張る古い建物がたくさんあり、冷酷に撤去され、高層ビルに取って代わられています。古いものがますます少なくなり、新しい家がますます多くなり、重慶もまた、自らを国際的な大都市だと主張し始めましたが、徐々に最も貴重な本土文化を失っているのです。
まだ時間が早いので、私は再び路地の入り口に戻り、タバコを1箱、ビールを1缶、雑誌を1冊買って、鉄格子の門のところに蹲って、時間をつぶしました。
多分、このしゃがんだ姿勢は少々上品でなく、いたずらっ子っぷりがたっぷりで、暇をつぶす間に何匹かの不審なイヌが通り過ぎ、あちこちに鼻をつけながら、私を蔑むようにしていました。
夜が降りてくるまで、私は立ち上がり、そこで耳を澄ませて行き来しました。
冬の夜はより早くやってきて、より早く暗くなります。暗闇の中で数時間も待ち続け、タバコがほとんどなくなろうとするところで、ついに「もー」という声が聞こえました。
音は大きくないですが、静かな環境の中では周りの建物とは相容れないように感じられます。その後、ほぼ30秒ごとに、この牛の鳴き声が聞こえます。
後半になると、この牛の鳴き声がいつもと違う感じがするんですが、どこが違うか、本当に言い難いです。状況を確認した後、残ることは問題を解決することです。このような奇妙な鳴き声がこの場所に現れるにはきっと理由があります。多分、先輩が言った通り、動物の精霊なのかもしれません。
翌日の朝早く、私は再びその場所に行き、「喻家壩で太極拳をする」と言う何人かの老人に出会い、彼らに地元の昔の状況を尋ねました。
幸いなことに、これらはすべて古い住民で、当時のことをはっきりと覚えていました。つまり、1990年代初頭には、ここは元々牛を屠殺する専用の屠場でした。牛の頭は誰も欲しがらなかったので、当時は切り取った牛の頭を道端に山積みにしているのをよく見かけました。
それぞれ大きくて、きっと少し不気味だったに違いありません。経済用動物であり、私も普段肉食が好きですが、自分で殺すか、殺されるのを見るのはやはり少し忍びないです。
いわゆる、立っていると腰が痛くないということで、私は多分そのような人間なんだと思います。肉を一切食べない定力もなければ、肉を見てただため息をつくしかありません。後にこの屠場は何らかの理由で引っ越し、元の場所に収容所が建てられました。
収容所は当時の時代には放浪児、精神病患者、国籍のない人々を受け入れるところでした。中に入ると、恥辱を感じるような気がします。その後、近くの小学校が拡張を始め、再び収容所が撤去され、学校のバスケットボールコートに改造されました。
道理で言えば、これら何度もの建設と撤去を経て、当時の古い品物は何も残っていないはずです。もし動物の精霊なら、取り残された牛の頭が近くに遺されているのでしょうか？
地面にはもう間違いなくありません。何度も改築されているからです。では、地下に埋まっているのかもしれません？でも私にはどうしようもありません。人の土地を掘り返すわけにはいきません。長い間考えても対策が見つからず、運を試してみることにしました。2日間の調査の中で、地面に下水道の蓋があることに気づき、中に入って見ることにしました。もしまだ何も見つからなかったり、解決できなかったりしたら、恥ずかしがりながら先輩に報告して帰るしかありません。
そのとき、誰もいないうちに、私は蓋をこじ開けました。どうやって開けたか聞かないでください。知りたくないはずです。
風を通した後、私は鉄の踏み板を下り始めました。深くはなく、たった3メートルほどで、その後は角がありました。普通、私の印象では下水道はネズミ、糞水、ゴキブリでいっぱいですが、この通路には水はなく、ゴミとネズミはたくさんいました。さらに前に進むと、光が見えなくなり、ライターを取り出して、もう数メートル進むと、通路の床に錆び付いた刀があり、そのすぐ近くには牛の頭の白骨がありました。
驚きのあまり、ここで幸いにも見つけた手がかりに慶幸していました。
当時、誰かが牛の頭を斬るとき、頭と刀を一緒に下水道に落としてしまい、そのまま拾い上げなかったようです。もし動物の霊なら、このような場合、赤い糸で光の当たるところまで引っ張ればいいだけです。しかし、羅針盤で動物の霊の位置を見て、それを連れて歩こうとしたとき、明らかにそれが抵抗し、嫌がっていることがわかりました。多分動物だろう、と最初は思いましたが、いろいろな方法を試しても、それを連れ出すことができませんでした。
私が困り果て、どうしようもないとき、羅針盤の指針が動き始めました。そして、この動きは私に、近くに移動している亡霊がいることを告げていました。いわゆる、矢が弦に引かれては戻せない。既にここまで来た以上、弓は引かれてしまったので、引き返す矢はありません。
私もただ引き続き前に進みながら探り求めるしかありません。私はこの2つの霊がどちらも動物の霊かどうかを見ることも確定することもできません。最初の霊が私と一緒に行かない理由は、おそらく後ろのこの霊を置いていかないからかもしれません。
幸いなことに、それらが一緒に集まった後、やっと連れ出すことができました。牛は本来、霊性のある動物ではないので、連れるのが比較的面倒でした。送り出した後も、私はなんとなく妙な感じが残りました。
先輩の家に戻り、彼にこのことを話しました。先輩は果たして高名な方で、私がこのことをうまく解決した後、やっとその中の話を私に語りました。
彼は手を洗った後、偶然ここで牛の鳴き声がする不思議な出来事を知り、自ら調査に行ったこともありました。しかし、既にこの事に口出しすることができなくなり、ある機縁が現れるまで待たなければ、この2匹の牛の霊を解放することができませんでした。
先輩は言いました。牛は一生働き者で、頑固さが天性です。なれた牛は、紐をつけなくても飼い主についてくる。この点では、牛は馬と同じように、飼い主を認識することができる。だから、普通の動物の霊に道案内をする方法を牛に使うと、あまりうまくいかないかもしれない。幸いにもあなたはできました。
なぜ私が道を求めるのか知っていますか？すべての生命にはそれぞれの道があり、この道は生まれながらに持っているものですが、それぞれ異なります。悟るだけでなく、求めることも大切です。人間が世界一の生命になったのは、既に道を得たことになりますが、これは大きな道です。もし細かく各生命の道を求めるなら、それこそが本当の道を得ることになります。
よく言われるように、牛鬼蛇神。牛鬼がまず首位にあります。この出来事を経験した後、この出来事自体はあまり意味がなく、その過程も平凡でしたが、私は自分に2年に1度12月に菜食を始めるという決まりをつけました。私のせいで、あるいは私のせいでなくても、消え去った生命を慰めるためです。
多分今日の物語は読み手にとって退屈に感じるかもしれません。また、深く心を込めて私の真意を理解する人もいるかもしれません。