第十二章 鶏のつま先

具体的にはどの年かはっきり覚えていないが、ある依頼の電話を受けた。
重慶の東に衛星都市があり、それは涪陵で、白鶴梁や漬物は世界的に有名である。涪陵と重慶の間には石沱という小さな町があり、長江に面しており、山清水秀な景色が広がっている。
今回の依頼主は石沱にある葬儀の一括サービスを提供する会社だ。彼らは言った、お客様の葬式を行う際に、何度も鶏足神に出会っている。
鶏足神というのは聞いたことがあるが、これまで会ったことはない。一部の村や田舎、僻地の山間部では、人が亡くなって3日後に、棺桶を置いてある部屋に動物の足跡が現れるという伝説がある。普通は鶏の足跡で、陰間の使者が死者の亡霊を閻魔様のところへ連れて行くために現れるとされている。だからこれを鶏足神と呼ぶのだが、これは方言の呼び方で、伝説の中では、これは有名な黒白の无常である。
実は私たちの業界では、誰も无常鬼を見たことがないし、牛頭馬面や刀山油鍋などについても同じである。なぜなら伝説はやはり伝説で、陰間に関する説は生者が死後の世界に対する一種の推測に過ぎず、陰間という世界が存在するという証拠は本当にない。しかしながら、幽霊などの非人間のエネルギーは、私たちと同じ世界に並行して存在している。
師匠は若い頃、鶏足神と遭遇した経験があった。鶏足神についての師匠の説明を見ると、民間伝説とは大きく異なっており、多くの人の鶏足神に対する認識が間違っていることがわかる。
なぜなら、それは魂を引き取る无常鬼ではなく、魂を吸収して自分自身を強化する悪鬼だからだ。
師匠は言った、鶏足神を捕まえるのは難しくはないが、その過程は面倒くさい。だから私は重慶から向かう前に、大部分の物を用意しておいた。残りのものは現地で調達しなければならない。
私が石沱に着いた後、依頼主に会った。彼は葬儀業を3代にわたって営んでいる30歳過ぎの男性で、彼は言った、彼はこの仕事をこれだけの年数やってきて、亡者の魂が戻るのを見たことがあり、乞食鬼を見たこともあり、私でさえ聞いたことのないものまで見たことがあるが、鶏足神は初めてだ。
彼は彼らの業界ではこのようなものをとても忌み嫌うと言った。なぜなら彼らは幽霊や怪獣の存在を信じており、彼らが引き受けた葬儀の業務で死者をしっかりと送り出せず、死者の魂が无常に連れて行かれてしまった場合、後代が祭りを行っても受け取れない。そうなると彼らは不運になると信じている。
明らかに、彼は鶏足神が无常鬼ではないことを知らない。
私は店の主人に、詳しく遭遇した状況を説明してもらうように頼んだ。店の主人は言った、彼らのところの風習は最初の3日間は棺桶を座敷に置き、3日目の夜は座敷のドアや窓を全部閉め、人も出入りさせない。翌朝ドアを開け、棺桶を持って埋葬に行こうとすると、供え物の果物や食べ物のそばの線香の灰の上に鶏の爪の跡がある。何度も同じような状況が起こった。異変を察知し、専門家の先輩に相談したところ、鶏足神だとわかった。今現在行っている葬式は既に2日目に入っており、3日目にまた同じような状況が起こるのを恐れている。
私はそれを聞いて、店の主人に言った、葬式を行っている家に連れて行ってもらい、私をスタッフに扮して、君のために防いでみようと言った。
その時点ではもう夜に近付いていた。心配することは、今回が本当に鶏足神の仕業なら、少なくともドアが開いている状態では棺桶を置いてある部屋に入ってこない。だから翌日の夜にそれが成功しないようにするには、今夜から準備を始めなければならない。店の主人は車で私を焦って連れて行き、車を停めた後、また歩いて約30分かかった。
だから私が着いたとき、もう夜の10時半ごろだった。時刻は亥の終わりに近付いていた。つまり、私には残り30分足らずの時間しかなく、前期の一部で亥の時に完了しなければならない作業を先に行わなければならない。
幸いなことに、私は重慶を出発する前にいくつかの準備をしておいたので、それが私にとって大変な難度を下げ、少しの時間を稼ぐことができた。亡くなった老人の姓は秦だ。彼らの田舎では、親族が亡くなると麻を着て喪服を着る伝統が依然として守られている。違うのは、彼らも90年代の都会人のように、葬式全体を大騒ぎにしていることだ。トランプをする人もいれば、チャットをする人もいれば、歌を歌ったり芝居を演じたり、跳び回っている。とてもうるさい。多分皆が逝者を偲ぶ以外に、偲ぶよりも面白いことを見つけてしまったからこそ、私は機会を得て、棺桶の下に私が包んだ伏包を置く十分な時間を持つことができた。中には欠かせない赤い紐の他に、クルミや艾蒿、名前が刻まれた檀の木の札も入っている。
その後、私はこっそり棺桶を置いてある部屋の4隅に、私が特別に作った鉄製の小さなカメを4つ置いた。それぞれの大きさは親指の爪くらいだ。こうするのは、もし鶏足神が翌日の夜に部屋に入った場合、出ていけないようにするためだ。なぜなら、カメやツメガメには別名としてワニやナマコがあり、多くの地方では直接「ワニ」という2文字で表現することもある。
では、なぜワニを使うのか説明しよう。
ワニガメは行動が遅いけれど、硬い甲羅が攻撃を防ぎ、一旦噛み付けると、死んでも離さない。水は陰で、地は陽で、ワニガメは陰陽を通吃する。亀は中国の歴史上、ずっと家を鎮める獣とされている。皆さんの地元の古い建物の軒先の曲がり角に、きっとワニガメの彫り物が見つかるはずだろう？
私は貴陽の弘福寺に、巨大な石碑があることを覚えている。その石碑はまさに石彫りのワニガメの背中に立てられている。
だから師匠は以前、私に言った。もしあなたがただ雞脚神を追い払うだけなら、直接霊堂に小さな亀を置けばいい（これが、たくさんの怪談映画や現実の葬儀現場で、悼文を書く人や案内役がワニガメを連れている理由だ）。
もちろん、私はそれを脅さすんじゃない。捕まえるつもりだ。だから4つの鉄の亀を置いたほか、椅子をかけて部屋の真ん中に吊るされている白熱電球のところまで登り、ペンで電球に小さな呪符を描いた。この作業が終わって、もう数分で子の刻になる。亥の刻に終わらせたのは、子の刻になると、それらが屋外でまず見に来るからだ。おそらく私たちが言う「道を探る」に似ている。だから見つからないようにしなければならない。
翌日、私は石沱の近くにある「酒井」という小さな集落に行き、雄黃粉を少し買い、また黄酒の瓶とタバコの1包を買った。
タバコは自分で吸うため、雄黃と黄酒は雞脚神を捕まえるために使う。夜の亥の刻、私は葬儀屋のスタッフとして、立ち入り禁止を宣言した。この3日間、地上に残された人々が祭りに使った線香の灰を一か所に掃き集め、そこに雄黃粉を混ぜた。
それから部屋の様々なところに散らばって撒いた。雞脚神のような怪異は線香の灰の上を踏んで部屋に入るからだ。これが線香の灰に鶏の足跡が残る理由だ。そして私は線香を3本取り出し、逝者に祭りを捧げ、お邪魔したことを告げた。
その後、この3本の線香の灰を包み、黄酒の瓶に入れ、混ぜた黄酒を窓縁に注いだ。すべての窓に注いだ。この霊堂の中で、私が何も動かさなかったのは棺桶だけだ。そして電気をつけ、長明燈をともし、霊堂を出て、ドアを閉め、じっと待った。
出るとき、私はドアに風鈴をつるした。夜の子の刻になると、風鈴が少し揺れ、チリンチリンと音を立てた。風が吹いた可能性もあるが、私はそれが雞脚神が起こした音だと信じたい。
子の刻が過ぎると、私は秦という老人の息子に、明日埋葬するから、今夜もう一度入って線香を上げると言った。そしてこの機会を借りて、私たちはドアを開けて入った。
老人の息子と一绪に、彼ら父子が阴阳の境を隔てたときにこそ打ち明けられる心のこもった言叶を闻いていました。そして、私は老人の息子に言いました。「あなたは外に出てください。ここを扫除したら、扉を闭めます。」
そう言っているとき、私はすでに床にあるまちまちで、お香の灰の上に散らばっている鶏の足の迹に気づいていました。老人の息子が部屋を出た后、私はドアを闭めて、本番の仕事を始めました。
电球の上に描かれた呪いが明かりとともに出てきて、すでに部屋全体を覆っていました。私は、この瞬间、その亡霊を盗む鶏足神が、绝対に私が唯一手を加えていない棺の中に闭じ込められていることを知っていました。时间が限られており、私も霊堂に长く滞在することはできません。次に私がすることは、おそらく亡くなった方に少々失礼かもしれませんが、仕方がありません。なぜなら、鶏足神が彼の亡霊を狙っているからです。
私はナイフを取り出し、棺の盖の侧面の四隅にそれぞれ四つの呪文を刻みました。最后に、私は赤い纽で棺の盖の隙间を封じました。それから鉄王八を収め、鶏の足の迹を消し、そして部屋を出ました。
翌日、埋葬のとき、私はずっと付き添っていました。棺が土に埋まるのを见なければなりませんでした。最后に墓を闭じ、鶏足神が永远に日の目を见ないことを确认してから、私は安心して立ち去りました。
葬仪屋の社长は半分の报酬を支払いました。私は彼に约束しました。もし次の葬仪で鶏の足の迹が出なければ、残りのお金を后で决済すると。
社长の何度もの感谢の言叶の中で、私はその地を离れ、重庆に戻りました。途中で私は师匠に电话をかけ、自分も鶏足神を捕まえたことを告げました。
しかし、そのとき师匠から电话がかかってきて、私にすぐに昆明に行くようにと言いました。
私は师匠の口调がおかしいことに気づき、重庆に着いたらすぐに荷物を持って昆明に飞んで行きました。