第十章 老犬

2006年の時、私はとても印象的な出来事に遭遇しました。
私が一人で重慶で仕事を始めてからのこれら数年間、友人たちの口コミを通じて、実際にかなりの数の人が私に相談に来て、彼らのいわゆる迷信的な問題を解決してもらおうとしました。多くの人は最初、私の仕事に半信半疑でしたが、本当に問題を解決してあげると、彼らは信じるようになりました。
私は通常、最後に彼らに十分な証拠を与えて信じさせます。そして、口を慎み、人に教えるが事を教えないように注意します。実際、多くの人が私を見つけてきたとき、私を誤って霊媒と思い、私の仕事が生者と死者をつなぐ橋を築くことだと考えていました。それは私の仕事の一部ですが、私がこの職業を続けて14年になりました。この間、たくさんの印象的な出来事に出会いました。
ある言葉があります。「人が死に臨むとき、その言葉は善意をこめている」。もっと正確に言えば、死後の魂こそが、この人生の最も真実な姿であると言えるでしょう。
なぜなら、それはあまりにも赤裸々で、装いをすることも、偽りを続ける理由もありません。私たち生者に比べて、率直に言って、恥ずかしい思いをするべきです。
以前の投稿の返信で、多くの友人が自分の家で起こった奇妙なことを書いているのを見ました。何度もつい返信してしまいました。私が直面しているのは、世界の多くの人が存在しないと思っているものですが、これら何年間の経験の中で、私は死者の純粋な魂から、人間として本来理解すべき多くのことを学んだことに気づきました。
なぜ私たちは人間と呼ばれるのでしょうか？
なぜ私たちは生きているのでしょうか？
死後の世界はどうなのでしょうか？
私たちの生き方は本当に意味があるのでしょうか？
生者は本当に亡くなった家族を再び見ることができるのでしょうか？
など、たくさんの質問があります。私はただ、あなたが善意を持てば、実はこの世界には自分に属する浄土があり、少なくとも心の中は暖かいと感じることができると言えるだけです。
自分自身に尋ねてみてください。最後にお年寄りを道渡しさせたのは何時のことでしょうか？
自分自身に尋ねてみてください。失われつつある青春と命を見たとき、私たちは冷たく無感動でいるべきなのか、それとも闘うべきなのか？
地上に落ちているお金を見たとき、本当に警察官に届けるでしょうか？
道端で老人が転倒しているのを見たとき、あなたが最初に思うのは助けることなのか、それとも「誣告されるのが怖い」という態度で遠ざかることなのか？ 皆さんは去年の小月月事件をまだ覚えているでしょう？18人の通行人たち、あなたたちはいったい何を考えていたのですか。取材に対して、彼らは皆見なかったと言うか、何かを言うか。ゴミ拾いのおばあさんが小さな女の子を助けたとき、皆はまたネット上でそのおばあさんを有名になりたがってお金のためだと罵り始めました。私たちの良心はいったいどうなったのでしょう。だから私が今話す2006年に起こったこの物語は、皆さんが見ればいいだけで、ある場合は改め、ない場合は戒めとしてください。もし私の物語が人の心に少し波紋を立てることができれば、私がポストを書いた初心が本当に叶ったと思います。
私の両親の家は重慶の五里店近くにあり、古いコミュニティで、以前はかなり大きな機械工場で、後に一部の従業員住宅をコミュニティに計画しました。
コミュニティには老人がいました。若いときに祖国のために奮闘し、工場で40年以上働いてきました。枕元に配偶者がいなく、膝元に子供もいません。
性格が奇妙で孤独で、人と話すのが嫌いで、皆さんはあまり彼のことが好きではありませんでした。この人は皆に対して敵意を持っているようで、冷たく、少し刻薄だと思っていました。
私が重慶に帰った後、父は私の職業を知り、私が父に人として善良であるようにと伝えたところ、父も徐々に身近な人を気遣うことを学び始めたようです。
父は私に、私の職業が良い職業だとは思わないけれど、私の師匠が教えてくれた善良さはとても貴重な真髄だと言っていました。だから父は04年から06年の間、自発的にその孤独な老人に近づきました。老人の家は金がないとは言えません。何とか年金で一生暮らせるくらいのお金はあります。しかし誰もそばにいないので、金を使い果たすことすら意味がなくなってしまいました。また、彼は長年人と親しくないため、ほとんど友達がいませんでした。ただ彼のそばにいる13年間一緒にいた大きな狼犬がずっと彼を伴っていました。
04年から06年の夏まで、老人は初めて私たち家族全員を自宅に食事に招待しました。そしてこれが唯一の一度でした。あの日彼の家で、私は無意識に彼の家の13歳の老犬が食卓から遠いところに横になっていて、元気がないように見えましたが、耳はずっと立てて、目もずっと私たちを見つめていました。
私はこの老人とこの犬がとても怖かったけれど、私はやはり試しに彼に犬はどうしたのか、具合が悪いようだと尋ねました。
老人はやっと私に犬が病気になって、何日も経っていて、もうすぐ死んでしまうと言いました。言い終わってしばらく沈黙し、目には悲しみがいっぱいでした。
私は思うのですが、老人にはあまり友達がいなく、いわば敵が多いかもしれません。しかし老人はいつも自分の子供のようにこの犬を飼っていました。彼にとって、この世界で本当に唯一の家族であり友達は、その犬だけだったのです。
私は彼の悲しみを理解しています。彼は犬がすぐに彼を離れていくことを知っていました。しかし彼には引き留める方法がありませんでした。私は犬に畏敬の念を抱く人で、少年の頃師匠に付いていたとき、師匠が犬の血や牙を取るのを見ました。しかしそれはすべて犬が既に死んでから師匠が行うことで、そして師匠は私に、犬の生命の道は私たち人間の生命の道ととても近く、時には彼らは自分自身を人間だと思っており、私たち人間とは天生の主従関係だと考えていると教えてくれました。
師匠は言いました。畜生は嘘をつかず、人を騙さない。しかし私たち人間はする。畜生は病気を装わず、策略を弄さない。しかし私たち人間はする。慈烏には反哺の恩があり、羔羊には跪乳の義がある。しかし私たち人間は危機のとき、多分利己的なために他人を裏切るかもしれない。生命は貴賤を分かちません。だから、生命に対しては必ず畏敬の念を持たなければなりません。
特に犬は、犬はたとえ死んでも、少なくとも人々に楽しい思い出を残すことができます。
だからあの日、私が老人の瀕死の犬を見たとき、私は何かをしてあげたいと思いました。私は通霊の方法を知っていますが、犬の言葉は分かりません。さらに難しいのは、私が私たちの言葉で老人に犬が言いたいことを伝える方法があっても、老人が必ずしも信じるとは限らないことです。
そこであの日から、私は毎日両親の家に夕食を食べに帰り、食事の後、いつも老人の家に立ち寄りました。私は老人に、私は彼の家の犬が大好きだと言い、徐々に他のことも話し始めました。老人は私の職業にもある程度の理解を得、私の言うことを半信半疑にしていました。
その後、父が老人に私が本当にできることを伝えた後、老人はやっと私を信じるようになりました。
犬はもう極度に衰弱していましたが、まだ死なないでいました。生命はすべてこのようです。病気が深刻な人が長い間治療を受けていると、体がますます悪くなり、生きることが彼にとってはむしろ苦しみになり、死が解放になることがあります。
私はとても分かりませんでした。犬がこんなに衰弱しているのに、どうしてがんばり続けているのか。私はインターネットでたくさんの資料を調べました。多くの人が、犬は老いて死ぬ前に、ずっと主人を見つめ、主人ともう少し一緒にいたいと思っており、息を引き取る最後の瞬間に涙を流し、主人の世話に対する感謝を涙で表現すると言っていました。
それで私はやっと分かりました。元来犬はこんなに長い間がんばり続けていたのは、主人ともう少し一緒にいたいと必死に闘っていたのです。私はずっと犬が四足動物の中で最も情義を重んじ、感情が豊かなことを知っていましたが、主人がどんな人であっても、善人であれ悪人であれ、たとえ一口の食べ物を与え、頭を撫でてやっただけで、一生をかけて報いるとは思いもしませんでした。
そこで私が再び老人の家に行ったとき、私はこれらを老人に伝えました。老人が長い間冷たい顔をしていたのが、ついに泣き出しました。彼は呟き始め、この犬が彼とこんなに長い間一緒にいて、良い生活を送れなかった、自分の家に生まれ変わるべきではなかったなどと言っていました。老人がこんなに悲しく泣いているのを見て、私はその場で、善意の嘘をついて老人を慰める決心をしました。
私は老人に、犬が最期のときには私に電話をかけるようにと言った。私はすぐにやってくると言った。数日ごとに、老人は私に電話をかけ、犬がすでにけいれんを起こし始め、もうだめかもしれないと言った。そこで私はすぐに彼の家に向かった。
犬を見たとき、私は心が痛かった。私は老人にソファに座ってもらい、犬を横に抱えて老人の太ももの上に載せた。犬の目つきは本当に耐えられなかった。それは老人をじっと見つめ、私でさえその目には惜しみと懸念がいっぱいであることがわかった。
老人は「ベイビー犬」とつぶやいていた（重慶方言で、ハニーのような意味）。犬は喉の中で呻き始め、その長く、力のなさそうな声である。私は犬の頭のてっぺんを撫でながら、「彼はあなたに話しかけているんです」と老人に言った。老人は私に「何を言っているのか」と尋ねた。老人は明らかに私が犬に代わって彼とコミュニケーションを取れることを信じていた。
私は「私はもうすぐ行かなければなりませんが、まだあなたを守りたい、あなたと一緒にいたい」と言った。
これらは私が考えついたことだけれど、私は犬が本当にそう言っていたと信じたい。私は続けて、「あなたは自分を大切にしてください。私はいつまでもあなたの親切さを忘れません」と言った。
「ちゃんと薬を飲んでください」（彼の家の棚にはたくさんの薬瓶があったのでこう推測した）、「何年も私を育ててくれてありがとうございます」。
奇妙なことに、犬はこのとき本当に涙を流し、目をパチパチさせながら、徐々に息を引き取った。老人は声も出ないほど泣いていた。長い間泣いた後、彼は私に「今どうしたらいいのか」と尋ねた。私は「私が試しましょう」と言った。
私はこれまで動物の霊を呼び出したことがなく、呼び出せるかどうかもわからなかった。
そこで老人は犬小屋の中の食べ残しの骨を持ってきて、私は犬の毛をたくさん集め、呪文を描いて、呼び出しを始めた。私の推測では、犬は六道の生き物なので、六道を呼び出す方法を使えば呼び出せるはずだと思った。やはり、犬の死体が「ワンワン」と何回か叫び、まるで子犬の声のようだった。多分、犬は元の体に戻り、初めて子犬のときの状態で、再び飼い主の恩返しをしようとしていたのだと思う。
老人はまたしばらくの間犬の体を撫でていました。私は犬を送り出す時が来たと思い、老人に言いました。あなたはもしそれを自分の子供のように思っているなら、心から誠意を持ってつぶやいて、子供よ、いい旅をして行こう。老人が承諾した後、私は赤い糸を輪にし始め、そして糸を門外まで伸ばし、犬に道を教え、それが行くべき場所に行かせました。
（声明しますが、悪意のある霊に出会わない限り、私は一般的にそれを打ち砕きません。私たちが言う道案内とは、おそらく仏教で言う超渡のことを指します。）
犬の魂が去った後、私は老人と一緒に、コミュニティのウメノキの木の下で、犬を埋めました。
私が学んだことの中で、49日を超えた魂は道案内が難しく、その時彼らは通常生前の意識を持っていないことが多いです。私たちが言う打ち砕くとは、往生できないという意味ではなく、このエネルギーを消散させ、行くべきところに行かせるということです。
往生ということについては、私は目撃したことがなく、ただ聞いただけなので、確実に答えることができません。許してください。今日は私が自分の約束を破り、いくつかの質問に適切に返答しています。
この出来事は私に大きなインパクトを与えました。一方で、動物の霊も呼び出せることが実践で証明され、もう一方で、現在の街や市場での犬打ちの現象に深く嫌悪を感じます。
どの犬が路上で人を噛んだら、私たちはそれを狂った犬だと言い、追いかけて打ち、死なせないと諦めません。しかし、その責任は自分のペットをしっかりと世話しない、またはペットを捨てるペットの飼い主にあります。犬は自分が捨てられたことを知りません。自分が迷子になったと思っているだけで、既に慌てています。そして人々が追いかけて傷つけるのです。人間でさえ狂ってしまうので、犬にとってはなおさらです。
これまで何年も私はペットを飼わないできたのは、彼らが去る時の目つきを耐えられないからです。これも私たち人間が生命に対して果たすべき責任です。
そして、コミュニティのその老人は、2007年の年末に亡くなりました。