『意図切』

空わかめ

その6『理不尽』

『住んでるマンションで女子大生が居なくなったらしい。警察とかその子親が来て正直面倒だった。』
『特定完了!メゾングランデだって!』

サッと血の気が引いた。
まるでパズルのピースが噛み合うように徐々に怪異が輪郭を帯びていく。

「…確かに住んでるところ…近いし…このニュースも知ってましたけど…接点なんて…。それに…こういうの…犯人のところに…。」

「おね~さん。食べるものが無くなって人里に降りてきた飢えた熊が逐一人の事情や倫理を考えると思う?」

静留は最初彼が何を言わんとしているか理解出来なかった。

「…たまたまって事…ですか…?」

尋ねる静留。
当人は冷静に振る舞っているつもりだが、声は震えていた。
男は「正解」と言わんばかりに静留を指差す。

「家に帰ろうとしたのか、たまたまここに引き寄せられたのか。知らないし、ああなったら分かりようもないけど、兎に角アレは発見された事で冷たく暗い水の中から帰って来た。で、その時たまたまお姉さんを見つけて、取り憑いちゃった、って訳だ。」

「…それにしても…なんで――」

「だから、多分偶然だって。近くを通った、波長があったとか。執着するのは生きてて羨ましい、ズルいってラインも考えられるけど、もう思考は残ってないよ。剥き出しの本能として、苦しめて、怖がらせて、自分のところに連れて来よう、って考えしかないの。」

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