サーヴァント・ウォーズ
9話
自分が引いたカードを見る。『九死に一生』──セットカードだ。
続いて、手札に視線を向ける。サーヴァントカードが2枚──『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』と『傲慢の騎士 プライド』。スペシャルカードが2枚──『罪深き祈り』と『ワン・モア・サモン!』。そしてセットカード、『決して消えぬ罪禍』。
悪くない──動くのならば、このターンだ。
「俺は手札からスペシャルカード、『罪深き祈り』を発動ッ!」
「またそれか」
「このカードの効果により、自分のデッキから、カード名に『怠惰』『憤怒』『嫉妬』『色欲』『傲慢』『強欲』『暴食』のいずれかが記載されているサーヴァントカードを手札に加えるッ! 俺が手札に加えるのは──『怠惰の騎士 スロウス』ッッ!!」
逸騎が光り輝くデッキから、引き出されるカードを引いた── 『怠惰の騎士 スロウス』だ。
「さらに俺は手札から、『傲慢の騎士 プライド』を召喚ッ!」
逸騎が召喚ゾーンにカードを叩き付け──現れたのは、ATK 1500、DEF 800の初級サーヴァント。
「そして俺はッ、手札からスペシャルカード『ワン・モア・サモン!』を発動ッ!」
「『ワン・モア・サモン!』……?」
「このカードの効果により、このターンのみ、俺の召喚権を1回増やすッ! 来いッ── 『怠惰の騎士 スロウス』ッ!」
逸騎が二体目のサーヴァントカードを召喚し──だがすぐに、逸騎は手札のカードを掲げた。
「このカードは、『怠惰の騎士 スロウス』を生贄として召喚する時、召喚権を使用しないッ──俺は中級サーヴァント『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』を、防御形態で召喚ッッ!!」
「中級サーヴァント……!」
「この瞬間、破壊ゾーンに送られた『怠惰の騎士 スロウス』の効果を発動ッ! フィールド上のこのカードが破壊ゾーンに送られる時、デッキから『憤怒の騎士 ラース』を手札に加えるッ!」
──これで、逸騎の手札は3枚。『憤怒の騎士 ラース』、『決して消えぬ罪禍』、『九死に一生』。
悪くない。というか良い調子だ。
「互いに最初のターンでは、攻撃する事ができない──だったよな?」
「チッ……」
「俺はセットカードを2枚設置ゾーンに置き、エンドタイムだ」
──いける。相手がサーヴァントを破壊してもターン中なら復活させられる『決して消えぬ罪禍』に、相手の直接攻撃を無効化できる『九死に一生』。
それにフィールドには、『傲慢の騎士 プライド』と『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』──攻撃形態で召喚されたATKが1500の初級サーヴァントと、防御形態で召喚されたDEFが2500の中級サーヴァントがいる。
そう簡単には負けない──そう思う逸騎を見て、男はデッキからカードを引いた。
「オレのターンッ!」
自分が引いたカードを見て──邪悪に笑い、男は手札のカードを台座に叩き付けた。
「オレは手札から、『見習い魔法使い』を攻撃形態で召喚ッ!」
──地面から、光の粒子が浮き上がる。
輝く粒子は一カ所に固まり──光が晴れた時、そこには幼い少女の姿があった。
「お前も、またそれかよ」
「精々ほざいているといい──手札からスペシャルカード、『魔法使いの導き』を発動ッ!」
男がカードを天に掲げた──瞬間、少女の体が輝き始めた。
少女の体が光に包まれ──光が輪っかとなる。
このカードの効果は知っている──自分フィールドの『魔法使い』と名の付くサーヴァントを破壊ゾーンに送る事で、手札から中級サーヴァントを召喚権を使用せずに召喚できる効果だ。
「恨みを晴らせ──『ベテラン・ウィッチ』ッ!」
──輪っかの中から、白い女性が現れた。
このサーヴァントも知っている──ATK 2500、DEF 1000の中級サーヴァント。再び現れた憎きサーヴァントを見て、逸騎は眉を寄せた。
「互いに最初のターンには攻撃できない……オレはセットカードを2枚置き、エンドタイムだ」
──昨日戦った時と同じ展開だ。無意識の内に、逸騎は気を引き締める。
男がエンドタイムを宣言した──瞬間、逸騎のデッキが煌々と輝き始めた。
──呼ばれている。惹かれている。導かれている。
逸騎はデッキからカードを引き──フハッと、笑いを漏らした。
「あははっ、ふはッ……お前、自己主張が激しすぎんだよ……」
「何笑ってんだ……!」
「ああ、悪い悪い──俺は手札の『豊穣の天使 プリアポス』の効果を発動ッ! このカードはウェポンカードとしても扱う事ができるッ! ウェポンカードとして扱う場合、プレイヤーにのみ装備可能ッ!」
「そのカードは──」
「そうだ、お前のデッキから貰ったカードだッ! この効果によりウェポンカードとして扱い、プレイヤーに装備する場合、俺は召喚権を使用する──行くぞ、プリアポスッ!」
──ふわっと、辺りに白羽が舞い散った。
それと同時、逸騎に神々しい光が降り注ぐ。
暖かく、安心するような光──そんな事を思っていると、逸騎の背中に何かが抱き付いた。
逸騎が慌てて振り返るが──そこには、結愛しかいない。逸騎に抱き付いた者はいなかった。
「──いっ、くん……?」
──何かが、逸騎の中に流れ込んでくる。
否、違う。見えているのだ。見え過ぎているのだ。流れ込んでいるのではない──逸騎の視覚が、見えない物まで見えるようになっているのだ。
「いっくん……目が、目が青いよ……」
自分の事を客観的に見れない逸騎は気づいていないが、逸騎の両目が真っ青になっていた。
そう──まるで、プリアポスの瞳が入っているかのように。
『あっはは! これがボクの本当の力、ウォーズでしか役に立たない能力──即ち! ボクの見ている光景をマスターに見せられる! どうですかマスター! ボク、ちゃんと役に立つでしょう!』
プリアポスの視界──そこには、異様な光景が広がっていた。
男の置いた2枚のセットカード──その片方が、異様なほどにオーラを放っている。
そのオーラは、危険性を表している──本能的に、逸騎はそう思った。
「俺は攻撃形態の『傲慢の騎士 プライド』を防御形態に変更し、エンドタイムだ。そして、『豊穣の天使 プリアポス』の効果を発動。自分ターンのエンドタイムにHPを150回復する」
プリアポスの効果で、逸騎のHPが5150になる。
「チッ──オレのターンッ!」
男がデッキからカードを引き──その口から、小さく笑い声が弾けた。
「……オレはセットカード、『転生』を発動。このカードは、フィールド上のサーヴァントカードを1枚破壊し、デッキから初級サーヴァントを召喚権を使用せずに召喚する。オレは『ベテラン・ウィッチ』を破壊し、デッキから初級サーヴァント『ビギナー・ウィッチ』を召喚」
男のフィールドに、ATK500、DEF500の初級サーヴァントが現れる。
わざわざ中級サーヴァントを破壊して初級サーヴァントを召喚するなんて──何を考えているんだ?
「さらにオレはセットカード、『亡者の執念』を発動。このカードは、自身の破壊ゾーンに存在するサーヴァントカードを、召喚権を使用せずに召喚する──舞い戻れ、『ベテラン・ウィッチ』ッ!」
「チッ……」
「このターン、オレはまだ召喚権を使用していない──『ビギナー・ウィッチ』を生贄に、『熟練の魔法使い』を召喚ッ!」
『亡者の執念』──プリアポスを装備した逸騎が、危険なオーラを感じたセットカード。
その効果は──破壊ゾーンのサーヴァントカードを、無条件で召喚する。
なるほど、確かに強力だ──男のフィールドに2体の中級サーヴァントが並んだのを見て、逸騎はそんな事を思った。
ATK 2500、DEF 1000の『ベテラン・ウィッチ』。ATK 2000、DEF 1500の『熟練の魔法使い』。
さらに──
「オレは手札のスペシャルカードを破壊ゾーンに送る事で、『ベテラン・ウィッチ』の効果を発動ッ! 相手フィールド上のカード1枚を破壊するッ! オレが破壊するのは──『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』ッ!」
「チッ──だがこの瞬間、『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』の効果を発動ッ! フィールド上のこのカードが破壊ゾーンに送られる時、カード名に『憤怒』『嫉妬』『色欲』『傲慢』『強欲』『暴食』のいずれかが記載されているサーヴァントカードを、召喚条件を無視し、さらに召喚権を使用せずに手札から召喚できるッ! 俺は手札から、『憤怒の騎士 ラース』を防御形態で召喚ッ!」
逸騎の目の前に、2体の騎士が並び立つ。
どちらの騎士も防御形態──破壊されても、逸騎にダメージはない。
「バトルタイムだッ! 『ベテラン・ウィッチ』で『憤怒の騎士』を攻撃ッ!」
「チッ──『憤怒の騎士 ラース』の効果を発動ッ! フィールド上のこのカードが破壊ゾーンに送られる時、デッキから『嫉妬の騎士 エンヴィ』を手札に加えるッ!」
「さらにオレは『熟練の魔法使い』で、『傲慢の騎士』を攻撃ッ!」
「だが『傲慢の騎士 プライド』の効果により、俺はデッキから『強欲の騎士 グリード』を手札に加えるッ!」
先ほどまで中級サーヴァントと初級サーヴァントがいたのに──瞬く間に、逸騎のフィールドが壊滅した。
だが──まだ逸騎の闘志は死んでいない。
「ふん……オレはこれで──」
「終わらせねぇよッ! 俺はセットカード、『決して消えぬ罪禍』を発動ッ!」
逸騎が声を張り上げ──何もいなくなったフィールドが、キラキラと輝き始める。
「このカードはッ! このターン中に破壊されたサーヴァントを1体選択し、召喚権を使用せずに破壊ゾーンからフィールドに召喚するッ! ──蘇れ、『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』ッ!」
逸騎のフィールドに、『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』が現れる。
『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』のDEFは2500。相手のサーヴァントはATK2500と、ATK2000。
『熟練の魔法使い』は『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』に攻撃しても、逆に相手がダメージを受けるから意味がない。
つまり──
「『ベテラン・ウィッチ』が『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』を破壊して、『熟練の魔法使い』が直接攻撃したとしても……食らうダメージは2000……!」
「もういいか? オレはこれでエンドタイムだ」
男がエンドタイムを宣言し、逸騎のターンになる。
──手札は2枚。『嫉妬の騎士 エンヴィ』と『強欲の騎士 グリード』。セットカードには『九死に一生』がある。
まだ──逆転はできる。
「俺のッ──ターンッッ!!」
喉が潰れるほど叫び、逸騎はデッキからカードを引いた。
続いて、手札に視線を向ける。サーヴァントカードが2枚──『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』と『傲慢の騎士 プライド』。スペシャルカードが2枚──『罪深き祈り』と『ワン・モア・サモン!』。そしてセットカード、『決して消えぬ罪禍』。
悪くない──動くのならば、このターンだ。
「俺は手札からスペシャルカード、『罪深き祈り』を発動ッ!」
「またそれか」
「このカードの効果により、自分のデッキから、カード名に『怠惰』『憤怒』『嫉妬』『色欲』『傲慢』『強欲』『暴食』のいずれかが記載されているサーヴァントカードを手札に加えるッ! 俺が手札に加えるのは──『怠惰の騎士 スロウス』ッッ!!」
逸騎が光り輝くデッキから、引き出されるカードを引いた── 『怠惰の騎士 スロウス』だ。
「さらに俺は手札から、『傲慢の騎士 プライド』を召喚ッ!」
逸騎が召喚ゾーンにカードを叩き付け──現れたのは、ATK 1500、DEF 800の初級サーヴァント。
「そして俺はッ、手札からスペシャルカード『ワン・モア・サモン!』を発動ッ!」
「『ワン・モア・サモン!』……?」
「このカードの効果により、このターンのみ、俺の召喚権を1回増やすッ! 来いッ── 『怠惰の騎士 スロウス』ッ!」
逸騎が二体目のサーヴァントカードを召喚し──だがすぐに、逸騎は手札のカードを掲げた。
「このカードは、『怠惰の騎士 スロウス』を生贄として召喚する時、召喚権を使用しないッ──俺は中級サーヴァント『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』を、防御形態で召喚ッッ!!」
「中級サーヴァント……!」
「この瞬間、破壊ゾーンに送られた『怠惰の騎士 スロウス』の効果を発動ッ! フィールド上のこのカードが破壊ゾーンに送られる時、デッキから『憤怒の騎士 ラース』を手札に加えるッ!」
──これで、逸騎の手札は3枚。『憤怒の騎士 ラース』、『決して消えぬ罪禍』、『九死に一生』。
悪くない。というか良い調子だ。
「互いに最初のターンでは、攻撃する事ができない──だったよな?」
「チッ……」
「俺はセットカードを2枚設置ゾーンに置き、エンドタイムだ」
──いける。相手がサーヴァントを破壊してもターン中なら復活させられる『決して消えぬ罪禍』に、相手の直接攻撃を無効化できる『九死に一生』。
それにフィールドには、『傲慢の騎士 プライド』と『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』──攻撃形態で召喚されたATKが1500の初級サーヴァントと、防御形態で召喚されたDEFが2500の中級サーヴァントがいる。
そう簡単には負けない──そう思う逸騎を見て、男はデッキからカードを引いた。
「オレのターンッ!」
自分が引いたカードを見て──邪悪に笑い、男は手札のカードを台座に叩き付けた。
「オレは手札から、『見習い魔法使い』を攻撃形態で召喚ッ!」
──地面から、光の粒子が浮き上がる。
輝く粒子は一カ所に固まり──光が晴れた時、そこには幼い少女の姿があった。
「お前も、またそれかよ」
「精々ほざいているといい──手札からスペシャルカード、『魔法使いの導き』を発動ッ!」
男がカードを天に掲げた──瞬間、少女の体が輝き始めた。
少女の体が光に包まれ──光が輪っかとなる。
このカードの効果は知っている──自分フィールドの『魔法使い』と名の付くサーヴァントを破壊ゾーンに送る事で、手札から中級サーヴァントを召喚権を使用せずに召喚できる効果だ。
「恨みを晴らせ──『ベテラン・ウィッチ』ッ!」
──輪っかの中から、白い女性が現れた。
このサーヴァントも知っている──ATK 2500、DEF 1000の中級サーヴァント。再び現れた憎きサーヴァントを見て、逸騎は眉を寄せた。
「互いに最初のターンには攻撃できない……オレはセットカードを2枚置き、エンドタイムだ」
──昨日戦った時と同じ展開だ。無意識の内に、逸騎は気を引き締める。
男がエンドタイムを宣言した──瞬間、逸騎のデッキが煌々と輝き始めた。
──呼ばれている。惹かれている。導かれている。
逸騎はデッキからカードを引き──フハッと、笑いを漏らした。
「あははっ、ふはッ……お前、自己主張が激しすぎんだよ……」
「何笑ってんだ……!」
「ああ、悪い悪い──俺は手札の『豊穣の天使 プリアポス』の効果を発動ッ! このカードはウェポンカードとしても扱う事ができるッ! ウェポンカードとして扱う場合、プレイヤーにのみ装備可能ッ!」
「そのカードは──」
「そうだ、お前のデッキから貰ったカードだッ! この効果によりウェポンカードとして扱い、プレイヤーに装備する場合、俺は召喚権を使用する──行くぞ、プリアポスッ!」
──ふわっと、辺りに白羽が舞い散った。
それと同時、逸騎に神々しい光が降り注ぐ。
暖かく、安心するような光──そんな事を思っていると、逸騎の背中に何かが抱き付いた。
逸騎が慌てて振り返るが──そこには、結愛しかいない。逸騎に抱き付いた者はいなかった。
「──いっ、くん……?」
──何かが、逸騎の中に流れ込んでくる。
否、違う。見えているのだ。見え過ぎているのだ。流れ込んでいるのではない──逸騎の視覚が、見えない物まで見えるようになっているのだ。
「いっくん……目が、目が青いよ……」
自分の事を客観的に見れない逸騎は気づいていないが、逸騎の両目が真っ青になっていた。
そう──まるで、プリアポスの瞳が入っているかのように。
『あっはは! これがボクの本当の力、ウォーズでしか役に立たない能力──即ち! ボクの見ている光景をマスターに見せられる! どうですかマスター! ボク、ちゃんと役に立つでしょう!』
プリアポスの視界──そこには、異様な光景が広がっていた。
男の置いた2枚のセットカード──その片方が、異様なほどにオーラを放っている。
そのオーラは、危険性を表している──本能的に、逸騎はそう思った。
「俺は攻撃形態の『傲慢の騎士 プライド』を防御形態に変更し、エンドタイムだ。そして、『豊穣の天使 プリアポス』の効果を発動。自分ターンのエンドタイムにHPを150回復する」
プリアポスの効果で、逸騎のHPが5150になる。
「チッ──オレのターンッ!」
男がデッキからカードを引き──その口から、小さく笑い声が弾けた。
「……オレはセットカード、『転生』を発動。このカードは、フィールド上のサーヴァントカードを1枚破壊し、デッキから初級サーヴァントを召喚権を使用せずに召喚する。オレは『ベテラン・ウィッチ』を破壊し、デッキから初級サーヴァント『ビギナー・ウィッチ』を召喚」
男のフィールドに、ATK500、DEF500の初級サーヴァントが現れる。
わざわざ中級サーヴァントを破壊して初級サーヴァントを召喚するなんて──何を考えているんだ?
「さらにオレはセットカード、『亡者の執念』を発動。このカードは、自身の破壊ゾーンに存在するサーヴァントカードを、召喚権を使用せずに召喚する──舞い戻れ、『ベテラン・ウィッチ』ッ!」
「チッ……」
「このターン、オレはまだ召喚権を使用していない──『ビギナー・ウィッチ』を生贄に、『熟練の魔法使い』を召喚ッ!」
『亡者の執念』──プリアポスを装備した逸騎が、危険なオーラを感じたセットカード。
その効果は──破壊ゾーンのサーヴァントカードを、無条件で召喚する。
なるほど、確かに強力だ──男のフィールドに2体の中級サーヴァントが並んだのを見て、逸騎はそんな事を思った。
ATK 2500、DEF 1000の『ベテラン・ウィッチ』。ATK 2000、DEF 1500の『熟練の魔法使い』。
さらに──
「オレは手札のスペシャルカードを破壊ゾーンに送る事で、『ベテラン・ウィッチ』の効果を発動ッ! 相手フィールド上のカード1枚を破壊するッ! オレが破壊するのは──『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』ッ!」
「チッ──だがこの瞬間、『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』の効果を発動ッ! フィールド上のこのカードが破壊ゾーンに送られる時、カード名に『憤怒』『嫉妬』『色欲』『傲慢』『強欲』『暴食』のいずれかが記載されているサーヴァントカードを、召喚条件を無視し、さらに召喚権を使用せずに手札から召喚できるッ! 俺は手札から、『憤怒の騎士 ラース』を防御形態で召喚ッ!」
逸騎の目の前に、2体の騎士が並び立つ。
どちらの騎士も防御形態──破壊されても、逸騎にダメージはない。
「バトルタイムだッ! 『ベテラン・ウィッチ』で『憤怒の騎士』を攻撃ッ!」
「チッ──『憤怒の騎士 ラース』の効果を発動ッ! フィールド上のこのカードが破壊ゾーンに送られる時、デッキから『嫉妬の騎士 エンヴィ』を手札に加えるッ!」
「さらにオレは『熟練の魔法使い』で、『傲慢の騎士』を攻撃ッ!」
「だが『傲慢の騎士 プライド』の効果により、俺はデッキから『強欲の騎士 グリード』を手札に加えるッ!」
先ほどまで中級サーヴァントと初級サーヴァントがいたのに──瞬く間に、逸騎のフィールドが壊滅した。
だが──まだ逸騎の闘志は死んでいない。
「ふん……オレはこれで──」
「終わらせねぇよッ! 俺はセットカード、『決して消えぬ罪禍』を発動ッ!」
逸騎が声を張り上げ──何もいなくなったフィールドが、キラキラと輝き始める。
「このカードはッ! このターン中に破壊されたサーヴァントを1体選択し、召喚権を使用せずに破壊ゾーンからフィールドに召喚するッ! ──蘇れ、『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』ッ!」
逸騎のフィールドに、『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』が現れる。
『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』のDEFは2500。相手のサーヴァントはATK2500と、ATK2000。
『熟練の魔法使い』は『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』に攻撃しても、逆に相手がダメージを受けるから意味がない。
つまり──
「『ベテラン・ウィッチ』が『怠惰の悪魔 ベルフェゴール』を破壊して、『熟練の魔法使い』が直接攻撃したとしても……食らうダメージは2000……!」
「もういいか? オレはこれでエンドタイムだ」
男がエンドタイムを宣言し、逸騎のターンになる。
──手札は2枚。『嫉妬の騎士 エンヴィ』と『強欲の騎士 グリード』。セットカードには『九死に一生』がある。
まだ──逆転はできる。
「俺のッ──ターンッッ!!」
喉が潰れるほど叫び、逸騎はデッキからカードを引いた。
「ファンタジー」の人気作品
-
-
4.9万
-
-
7万
-
-
4.8万
-
-
2.3万
-
-
1.6万
-
-
1.1万
-
-
2.4万
-
-
2.3万
-
-
5.5万
書籍化作品
-
-
4
-
-
441
-
-
103
-
-
38
-
-
24252
-
-
1277
-
-
4
-
-
63
-
-
15255
コメント