僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
#14 新入生研修 1日目 そのに
「トランプしようよ!」
部屋に戻って開口一番にこれである。リュックから取り出したトランプ片手に、麻琴の一言からトランプ大会が始まった。とはいえ、時間は三十分しかないのだが。
「取り敢えず、ババ抜きからね」
「はーい!」
ジョーカーを一枚抜いてシャッフルし始める麻琴。明音さんが楽しそうに眺めている。五箇所に分けられたトランプをそれぞれ持って、ペアを捨てていく。五人でやると、あんまりペアが発生しない。手札に六枚残してゲームスタートだ。
「どういう順番?」
「時計回りかな」
千歳ちゃんが聞き麻琴が答える。時計回りということは、あれ? 誰から?
「誰からだよ?」
初美さんが聞き、
「わたしから!!」
明音さんが答える。明音さんが楽しそうでなによりです。
「どれにしようかなぁ?」
明音さん→麻琴→ボク→千歳ちゃん→初美さん→明音さんの順番になる。
「よぉし……これだ! あぁっ」
「麻琴、うるさいよ。よっと、あ、揃った」
千歳ちゃんから取ったカードはスペードのQ、手元にあったダイヤのQと共に捨てる。
「これね」
特に迷うことなくカードを取った千歳ちゃん。場にハートとクローバーの4が捨てられた。それから何週かカードを動かして、ボクの手札が二枚、麻琴の手札が四枚、明音さんが一枚となった。
「うぅ、上がれないよぉ……」
ババ抜きでよくある一枚から上がれない地獄を彷徨う明音さんを尻目に、明音さんがさっき麻琴から取ったカードを狙って、
「ハートとダイヤの9、上がりだね」
それから二人で何度かカードを交換し、結局は麻琴が負けた。言いだしっぺにくせにね。
「にしても、ちーちゃん強かったねぇ」
圧倒的速度で手札をゼロにしたのは千歳ちゃんだった。
「うちなぁ、実はこうゆうの強いんやで」
「それはまさか、スピリチュアルな感じかい?」
ちょっと食い気味に麻琴が聞くと、千歳ちゃんはふわりと笑みを浮かべて、
「そうそう、そういうことや。この手の山奥にも……」
「ちょっ、ちょっと待った! そういうのダメ!」
「おや? あぁ、寝る前じゃなきゃってことかえ?」
ち、千歳ちゃん……。これ、わざとだよね? ボクが戦慄を覚えていると、ドアが二回ノックされて、
「森末ですー。四組、お風呂の時間ですよー。あと、保険係の人は入浴前に先生のところに集まるように。以上です!」
ババ抜きが思いのほか時間かかっていて、ちょっと助かったよ。ただ、お風呂の後が不安だなぁ……。
「そんじゃ、お姫さんに怖くておもろい話すんのは、後にしましょか」
「しなくていいよぉ……」
「あたしは好きだよ、怪談。明音っちは?」
「わたしも平気。綾ちゃんは?」
「ん……苦手って程でもないかなぁ」
「決まりや」
「もう! 先、お風呂行くからね!」
こういう時の単独行動って何処と無く死亡フラグっぽい。まぁ、そんな危険な事態にはならないだろうけどさ。そう思いつつ早足にお風呂場を目指すと、森末さんが一人歩いているのに追いついた。
「あ、森末さん。さっきは連絡ありがとう」
「あぁ、姫宮さん。いいですよ、お仕事ですから」
そう言ってこちらを向く森末さん。少し長めのサイドポニーがふわりと揺れる。
「羨ましいです。うちの班はあれほど打ち解けてませんから。まぁ、今晩、頑張って仲良くなるつもりですけどね」
「それなら、ボクのこと姫宮さんなんて呼ばなくていいよ。ユウちゃんって呼んで」
「じゃあ私のことも、もなかって呼んでくださいな。あだ名なんです」
「もなかちゃん! 可愛いね」
「いやはや、ユウちゃん程じゃないよ」
二人でにこにこしながらお風呂場へ向かう。引き戸を開けると衝立があって、その奥が脱衣所になっている。
「この籠、班別だから、ユウちゃんがあっち、私はこっちだね」
籠の中に部屋から持ってきた着替え袋を入れる。脱いだ服は別の袋に入れて、着替え袋より奥へ。最後にタオルを一本もって、浴室へ。
部屋に戻って開口一番にこれである。リュックから取り出したトランプ片手に、麻琴の一言からトランプ大会が始まった。とはいえ、時間は三十分しかないのだが。
「取り敢えず、ババ抜きからね」
「はーい!」
ジョーカーを一枚抜いてシャッフルし始める麻琴。明音さんが楽しそうに眺めている。五箇所に分けられたトランプをそれぞれ持って、ペアを捨てていく。五人でやると、あんまりペアが発生しない。手札に六枚残してゲームスタートだ。
「どういう順番?」
「時計回りかな」
千歳ちゃんが聞き麻琴が答える。時計回りということは、あれ? 誰から?
「誰からだよ?」
初美さんが聞き、
「わたしから!!」
明音さんが答える。明音さんが楽しそうでなによりです。
「どれにしようかなぁ?」
明音さん→麻琴→ボク→千歳ちゃん→初美さん→明音さんの順番になる。
「よぉし……これだ! あぁっ」
「麻琴、うるさいよ。よっと、あ、揃った」
千歳ちゃんから取ったカードはスペードのQ、手元にあったダイヤのQと共に捨てる。
「これね」
特に迷うことなくカードを取った千歳ちゃん。場にハートとクローバーの4が捨てられた。それから何週かカードを動かして、ボクの手札が二枚、麻琴の手札が四枚、明音さんが一枚となった。
「うぅ、上がれないよぉ……」
ババ抜きでよくある一枚から上がれない地獄を彷徨う明音さんを尻目に、明音さんがさっき麻琴から取ったカードを狙って、
「ハートとダイヤの9、上がりだね」
それから二人で何度かカードを交換し、結局は麻琴が負けた。言いだしっぺにくせにね。
「にしても、ちーちゃん強かったねぇ」
圧倒的速度で手札をゼロにしたのは千歳ちゃんだった。
「うちなぁ、実はこうゆうの強いんやで」
「それはまさか、スピリチュアルな感じかい?」
ちょっと食い気味に麻琴が聞くと、千歳ちゃんはふわりと笑みを浮かべて、
「そうそう、そういうことや。この手の山奥にも……」
「ちょっ、ちょっと待った! そういうのダメ!」
「おや? あぁ、寝る前じゃなきゃってことかえ?」
ち、千歳ちゃん……。これ、わざとだよね? ボクが戦慄を覚えていると、ドアが二回ノックされて、
「森末ですー。四組、お風呂の時間ですよー。あと、保険係の人は入浴前に先生のところに集まるように。以上です!」
ババ抜きが思いのほか時間かかっていて、ちょっと助かったよ。ただ、お風呂の後が不安だなぁ……。
「そんじゃ、お姫さんに怖くておもろい話すんのは、後にしましょか」
「しなくていいよぉ……」
「あたしは好きだよ、怪談。明音っちは?」
「わたしも平気。綾ちゃんは?」
「ん……苦手って程でもないかなぁ」
「決まりや」
「もう! 先、お風呂行くからね!」
こういう時の単独行動って何処と無く死亡フラグっぽい。まぁ、そんな危険な事態にはならないだろうけどさ。そう思いつつ早足にお風呂場を目指すと、森末さんが一人歩いているのに追いついた。
「あ、森末さん。さっきは連絡ありがとう」
「あぁ、姫宮さん。いいですよ、お仕事ですから」
そう言ってこちらを向く森末さん。少し長めのサイドポニーがふわりと揺れる。
「羨ましいです。うちの班はあれほど打ち解けてませんから。まぁ、今晩、頑張って仲良くなるつもりですけどね」
「それなら、ボクのこと姫宮さんなんて呼ばなくていいよ。ユウちゃんって呼んで」
「じゃあ私のことも、もなかって呼んでくださいな。あだ名なんです」
「もなかちゃん! 可愛いね」
「いやはや、ユウちゃん程じゃないよ」
二人でにこにこしながらお風呂場へ向かう。引き戸を開けると衝立があって、その奥が脱衣所になっている。
「この籠、班別だから、ユウちゃんがあっち、私はこっちだね」
籠の中に部屋から持ってきた着替え袋を入れる。脱いだ服は別の袋に入れて、着替え袋より奥へ。最後にタオルを一本もって、浴室へ。
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