最強カップルの英雄神話~チート転生者と最強神姫がダンジョンを攻略して、四年後に破滅する異世界を救う物語!!~

初心なグミ

ダンジョンに足を踏み入れて


 僕達は今、それぞれの神器と持ち物を持って、ダンジョンの中に立って居た。
 
 ダンジョン第一階層・草原エリア。
 その名の通り、草原が広がっている階層だ。
 地球の草原に居る様な動物が跋扈し、モンスター同士で食物連鎖を形成している。
 もはやダンジョンと言うより、一つの世界。
 そう言えるくらいに、ダンジョンと言うのは歪なのだ。
 
 ダンジョンと言えばそう、女神ヘラが馬鹿夫をぶち込んだ監獄と言っていた。
 しかし女神ヘラが創ったのはこの異世界で、ダンジョンを創ったとは言って居ない。
 ではこの監獄は、誰が為に造られたのか?
 そもそもここは、本当に監獄であるのか?
 これは未だに解明されていない、古代の思惑である。

 さて、そんなダンジョンに入った感想だが……。

「すっごい広い……」

 これである……。
 ダンジョンとはそれ即ち、歴史的建造物であり、歴史そのものであるのだ。
 その様なモノに対して、こんな子ども地味た語彙しか捻り出せない自分に、心底泣きたくなる。
 しかし、そんな自分を肯定してくれる神様が、ソコには存在なされて居たのだ。

「いやぁ……分かるっすよ、その気持ち。俺も最初はそんな感想を抱いたモノっす……」

 それはアキレウスだった。
 何処か遠い目をしているアキレウスは、懐かしむ様にそう言ったのだ。
 このとき僕は、自分が救われた様な気がした。

「ありがとうアキレウス、やっぱりアキレウスだよ……。うんうん……」

「もしかしてハルト、バカにしてるっすか?」

「やだなぁ~そんなことある訳無いじゃ~ん」

「ホントっすかね……?」

「これは嘘だと思うね、ボクは」

「余はどちらかと言えば、半々って気がするがのう」

「私も半々って感じかな、そっちのがハルトっぽい」

「ワシも同じく」

「えへへ、バレちゃったかぁ~」

「半々でも酷くないっすか?!」

 楽しげな会話をしながら、僕達は歩を進めていた。
 僕達が今居る所が入口付近だからか、まだモンスターのモの字も見掛けない。
 見えるのは満点の青空に、揺れる青草だけだ。
 しかしそれは一本木の丘を越えたとき、ガラリとして状況が一転することになった。
 そう、──モンスターの出現である。
 僕達はモンスターを、青草に紛れ様子見していた。

「ほう、あれはヌボアかのう」

 ヌーの角とたてがみを持った黒のイノシシ、ヌボア。
 ヌボアは体長が二百四十センチ程あり、大体十匹程度の群れを成すモンスター。
 そしてその通りに僕達の目の前には、十匹の群れを成しているヌボアが、青草を食している。

「美味しいよね、ヌボア」

「えっ……あれ食べれるの?」

「食べれるも何も、私達はダンジョン攻略中、モンスターを食べるのだぞ?」

 私達はダンジョン攻略中?
 モンスターを食べる?
 んんんんんん??????

「初耳なんだけどそれ……」

「あれ? 俺、言わなかったっすか?」

「少なからず聞いてないっすね~……」

「まぁ、今言ったんだから良いでしょ? 多分」

「報連相は大事って、はっきり分かんだね」

「なに、心配することは無い。余が直々に、モンスター共を調理してやるからの」

 アルテミスさんの言葉を聞き、僕は凄く安心した。
 それはアルテミスさんが、大の料理上手だからだ。
 もうね、凄く凄い。
 アルテミスさんの料理を食べたときの、あの、幸福感溢れる舌鼓が堪らない。
 流石は百二十歳の女性である。
 もし、エマに熱熱な恋をしていなかったら……。
 ヘファイストスさんとの関係がなかったら……。
 僕は既に、アルテミスさんに告白をしていただろう。
 そのくらいに、胃袋をギュッと掴んで離れないのだ。

「マジ!? アルテミスさんの料理めっちゃ楽しみ!」

 僕は嬉しさのあまりに、飛び上がってしまった。
 そんな僕は今、ヌボアと見詰め合っている……。

「(えっ……何これ……これが、恋……?)・・・って、な訳あるかああああ!!??」

「この戯け……」

 僕のことを呆れた目で見てる仲間達。

『シュー……シュー……シュー……』

 鬣を逆立てて、土を足で蹴るヌボア。

「あっ……オワタ……」

 そのとき、僕の大声に興奮したヌボアが、十匹一斉に襲いかかって来たのだった。

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