最強カップルの英雄神話~チート転生者と最強神姫がダンジョンを攻略して、四年後に破滅する異世界を救う物語!!~

初心なグミ

仲間にして頂けませんか?


 騎士団本部。
 それは、──城だった。
 正確には、城では無いのだが。
 城の様な容貌をしているのだ。
 そんな騎士団本部に、エマに連れられて行った僕は今、何故かエマと、手合わせすることになっていた。

◆◆◆

 騎士団本部のエントランス。
 エントランスの中央には大きな噴水があり、エントランス全体を、煌びやかなシャンデリアが照らしている。
 そんなエントランスだが、僕の目を奪った物があった。
 それは、母性に溢れ見る者全てを魅力する容貌の、そんな女神様が描いてある、綺麗なステンドグラスだ。
 その女神様は白の羽織り物を身にまとい、茶髪の髪に王冠を被っているのだが……。
 それは紛れも無い、──ヘラ様であった。
 個人的には、実物のヘラ様の方が美しいと、そう思う。

 そうしてエントランスを見終わった僕達は、アキレウス達が待っているであろう中庭に、向かうことにした。
 しかしその際、僕はとあることが気になっていた。

「エマさん、さっきから人を見かけませんね」

 そうなのだ。
 さっきからずっと、人一人見かけ無いのだ。
 騎士団本部と言うからには、騎士団員の数人……いや、数十人程度居てもおかしくは無い筈。
 しかし現実として、僕は騎士団本部の中で人を、一人として見て居ない……。
 広い内装とは裏腹に、あまりにも静か過ぎて、気味悪さすらある程だ。
 で、あるからこそ僕は、エマに質問をしたのだが、騎士団長であるエマすらも、どうやら分からない様子だった。

「そうだな……こんなことは、あまり無いのだが……それこそ何時もなら、みんなで駆け寄って来て、揉みくちゃにされるものなのだが……アレはアレで、無いと寂しいものなのだな」

 何処か感傷に浸ってる様子のエマ。
 そんなエマの表情は穏やかで、さっき見たヘラ様のスタンドグラスよりも、──女神様だった。

(エマさんのこの顔、好きだなぁ……。それにしても、エマさんが揉みくちゃにされてる姿が想像出来ない……)

 エマさんは美しく、格好の良い女性だ。
 そんなエマさんが揉みくちゃにされてる姿など、僕が想像出来るはずも無かった。
 だからこそ僕は微笑んで、こんなことを口走ってしまったのかも知れない。

「僕……エマさんが揉みくちゃにされてるところ、少しだけ見てみたいです」

「ハハハ! 特別面白いことでもあるまいよ。ただ、互いに生きてることを、肌に感じることが出来るだけさ」

 四年後に滅んでしまうかも知れない世界。
 この世界が、どうして滅ばなくてはならないのかとか。
 どうやって滅びるのかとかは、常人である僕には知る由も無いけれど……。
 意図も簡単に人が命を散らしてしまう、そんな危険なダンジョンに挑戦することが、どれだけ苦しいことなのか。
 それだけはきっと、今の僕にも理解出来ると思うんだ。
 だって、僕も苦しみを知ってる人間なのだから……。
 そして、そんな自分だからなのだろう、心とも無くエマの手を取っていたのは。

「大丈夫……エマさんは今、生きてます。こんなにも、温かいんですから」

 僕の左手とエマの右手が、互いに絡まり合う。
 エマの、宝石の様に綺麗な赤い目は涙に揺らぎ、シルクの様に艶やかな白い髪は風に揺らいだ。

「そうか……そうだな……。うん、確かに私は生きてる……それも、ハルトのオカゲだなっ!」

 そう言って、ニコリと微笑むエマを見たとき。
 何の確信もありはしないのに僕は、こう思ったんだ。

(あぁ……。きっと僕は……エマさんを護る為に、ヘラ様に転生させられたんだ……)

 そう思うと、何だか力が湧いてくる。
 何が合ったとしても、大丈夫だと思える。
 だからこそ僕は、慰めでも何でも無い本音を、この力に任せて言ったのだ。

「いえ、これは僕の力じゃありません。前にも言ったとは思いますが、ヘラ様から貰った言わばズルです」

 その通りなのだ。
 使える人が少ない高等治癒魔法である、アクスレピオスを使うことが出来たのも。
 神レベルの魔力が無いと使えない様な、そんな超高等魔法である死の魔術を使うことが出来たのも。
 全部、ズルのオカゲなのだ。
 そして……きっとこれからも、このズルに助けられていくんだと思う。

「だからこそ僕は、このズルに見合う成果を上げなくちゃならないんです……。そしてそれは、この世界を救うことで得られて……だから、同じ目的を持ってるエマさん達と出逢うことが出来た……。それってきっと、運命だって僕は思うんです」

 そう言った僕は、エマの手を取ったまま跪き……。
 そして、最後の言葉を紡ぐ。

「僕は僕が何を出来るのか分からないけれど、このズルで誰かの役に立てるのなら僕、戦います。だからエマさん、僕のことを仲間にしてはくださいませんか」

 真摯な眼差しでエマを見詰める。
 しかしエマの方は、何故か俯いたのだ。
 
(やっぱり……ダメ、かな……)

 そう思ったときだ。
 エマは身体を震わせると、大声で笑ったのだ。

「プフッ……ハハハハハ!!!!」

「え……? 何故に笑っておるんです?」

「いやぁ……すまない。仲間にするも何も、それは此方からお願いする事だし。何を言うかと思ったら、ハルトが凄く真面目な表情で言うものだから、少し可笑しくてな」

 ──はぁ、笑った笑った。
 そう言うエマを見て、僕の顔は真っ赤になった。
 なんだろう、この気持ちなんだろう。

「むうううううう!!!」

「すまないすまない。そうでなければ、騎士団本部なんて来る筈が無いだろう?」

「むぅ、そうだけどさぁ……」

「そうプリプリせずに……さぁ、行こう。今からハルトには、私と手合わせして貰うからな!」

「・・・えっ?」

 そうして連れられた中庭には、アキレウス達四人や、その他の団員がゾロゾロと居た。
 そして僕は今は、多数の観衆に囲まれながらも、木剣を装備したエマと、対面して居るのだ。

「ええええええ!!!!!?????」
 

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