最強カップルの英雄神話~チート転生者と最強神姫がダンジョンを攻略して、四年後に破滅する異世界を救う物語!!~

初心なグミ

プルーフ・リング


 冒険者ギルドのカウンター。
 それは、何処か市役所を思い出させる。
 透明なプレートで隔てられてこそ無いが、ビシッとした空気感は、僕が想像して居た虚像とは似て非なるものだ。
 そんな冒険者ギルドのカウンターに、僕達は居た。
 
「すまない。この者の冒険者登録をしたいのだが」

 僕のことを手で示し、そう言ったエマ。
 僕達の目の前に居る受付の人は、人間っぽい様でエルフっぽい様な……そんな、眼鏡を掛けている綺麗な女性だ。

「承知しました、エマ様」

 その女性は一礼すると、僕の方を見て爆弾を投下する。

「貴方様が、今噂になっている姫Tの御人ですね」

「はい。そうな、ん、です……」

 んんんんんんんん????????

(今、噂になっている姫Tの御方って、そう聞こえた様な気がするのは気の所為だよね!?)

「すみません……今なんとおっしゃりましたか?」

「貴方様が、今噂になっている姫Tの御人ですね。と、そう申しました」

「おっふ……」

 僕が怖々とした様子で聞くと、受付の女性は不思議そうに首を傾げて、もう一度同じことを言ったのだ。
 その内容に、思わず呆けてしまった。
 間抜け顔を晒してあんぐりしている僕を見て、クスッとして笑みを浮かべたエマが悪戯に言う。

「これではまるで、ハルトが私の事を好いてると、そう噂になっているみたいだな。(ななななななな、何を言っているのだ私は!! あわわわわわわ……)」

「ははは、昨日初めて逢ったばかりじゃないですか。(ななななななな、何を言ってるんだエマさんは!! 確かに僕エマさんのこと好きっぽいけどさ!!)」

 パリンッ!!
 僕とエマが見詰め合いながら、互いに冷や汗をドバドバかいていると、ガラスの割れる音がした。
 音の方を見ると、そこには受付の女性がおり、その眼鏡にヒビが入っていたのだ。

 いや、ギャグ漫画かな!?
 こんなのギャグ漫画でしか見た事ないよ!!

「あのー……大丈夫、ですか?」

 そう僕が心配を呈すると、受付の女性は割れた眼鏡を控えの眼鏡と、超高速で取り替えた。

(え、はやっ……。こんなことある? 早すぎて素顔見れなかったんだけどぉ!?)
 
「ご心配をお掛けしてしまい、申し訳ございません。私の眼鏡が尊死しただけですので、ご安心ください」

(眼鏡が尊死って何!!?? しかも、尊死する要素なんてありましたかね??!! やだ、この世界怖い……)

 この世界の住人のオタクさに、一オタクである僕が戦慄していると、耳にくすぐったい風が吹きかかる。

「私達、尊いらしいぞ…………ふふふ」

「あっあっあっあっあっ…………みっ」

 くすぐったい風と共に僕の耳を過ぎったのは、照れたエマの色っぽい声だった。
 その声が凄く凄かったため、僕の脳がオーバーヒートし魂が抜けてしまったのだ。

(エマさんが世界で一番でぇ~す………………と、いけないいけない。今、めちゃくちゃ脱線してるよ……)

「めちゃくちゃ脱線してすみません……」

「いえ、全然大丈夫ですよ。それでは、手続きへと参りましょうか」

 そう言った受付の女性は、引き出しの中から紙とペンを取り出し、僕の目の前に置く。

「それではこの紙にペンで、氏名と年齢に誕生日、生物学的な性別、そして種族の方を記入してください」

「種族って人間とかってことですか?」

「はい、そうですよ」

「分かりました」

 冒険者登録用紙と書いてある紙。
 それに僕は、名前と年齢に誕生日、性別、そして種族を記入した。
 
「終わりました」

「はい、かしこまりました。この情報は、これからお渡しします指輪の方に、インプットされます」

 そう言った受付の女性は、何かをスキャンする機械であろう台の上に、僕の個人情報が書いてある紙を置いた。

 指輪に情報をインプット?
 そんなことも出来るのか……すげぇな。

「それでは次に、こちらの同意書の方にサインし、戸籍や配偶者等を書類に記入ください」

「それなんだがハルトは、戸籍はもちろんのこと、配偶者が存在しないのだ。よって特例とする旨を、グレース王から了承の書類を賜っている。これがその書類だ」

 エマは手下げバッグの中にある書類を出し、受付の女性へと手渡しした。
 その書類には王家の印があり、それが本物であることを示している。

「はい、承知致しました。それでは、同意書へのサインだけを記入してください」

 受付の女性は書類をしまった。

 凄く頼りになる……。
 流石は王族で団長のエマさんだ。

「分かりました」

 エマに感謝しつつ、僕は同意書に目を通した。

(ふむふむ、同意書にサインと…………)

「え? 私はダンジョン内で起こる全てに責任を持ち、自己責任として墓まで持って逝きます? んーーー?」

「あ、申し訳ございません。間違えてしまいました」

 凄く申し訳なさそうにしている受付の女性は、間違ったらしい同意書を戻すと、一瞬で他の物へと変えた。

「そうですか……良かったぁ……」

「はい……大変申し訳ございません。私としたことが、ムカついた客用の物を出してしまうとは……一生の恥です」

 えぇ……(困惑)
 それはそれでどうなんだろうか……。

「今回は間違いがありませんので、こちらの同意書の方にサインをしてください」

「分かりました……」

 僕は同意書の内容を確かめた。
 それを簡単に言うと、こんな感じだ。

 ダンジョン内で怪我をしたり死んだりすると、冒険者ギルドが保険として手当てを出してくれる。
 その見返りとして冒険者は、ダンジョン内で手に入れたアイテムの換金を、冒険者ギルドでする。
 そしてそれは義務であり、破ると刑事処分に……。
 また、ダンジョン外での怪我や死亡は、冒険者ギルドの管轄外であり、保険は出ない。

 要は僕の場合だと、ダンジョン内に入れる見返りに、アイテムを冒険者ギルドに売れということだ。
 別に困ることも無いし、サインして良いだろう。

「はい、大丈夫です」

 僕は同意書にサインし、提出した。

「サインの程、しかと確認致しました。」

 受付の女性はサインを確認し、その同意書をしまった。
 すると受付の女性は、先程僕の個人情報が書いてある紙を置いた、その台の方へと向かった。
 しかしそこには、紙なんて物は無く、代わりのものと言わんばかりに、金属の何かが置いて合ったのだ。

「エマさん、アソコに置いてある金属って何です?」

 そう言って金属を指差すと、エマが答える。

「あぁ……あれは指輪だ」

「指輪?」

「そうだ。まぁ……見てれば分かるさ」

 エマのその言葉と共に、受付の女性が指輪の載ったトレイを持って来た。
 その指輪はエマの瞳と同じ色の綺麗な赤色で、輪っかの部分が約五センチ程ある指輪だ。

「お待ち致しました。こちらがハルト様の、冒険者の証プルーフ・リングでございます。大きさは指毎に変幻自在に変わりますので、ご安心くださいませ」

「へぇー、凄いですね……ありがとうございます」

 受付の女性から指輪を受け取ると、それを自分の小指に嵌めてみることにした。
 すると凄いことに、本当に指輪の大きさが、小指サイズに変わったのだ。

「うわ、ガチだ……」

 なんか異世界っぽい……そんなことを思っていると、受付の女性が、更なる情報を開示した。

「そして、プルーフ・リングを嵌めた状態で、指輪に御自身の魔力を送ると、ステータスを確認出来ます」

「ステータスの確認……ですか?」

「試しにやってみたらどうだ?」

 ステータスか……。
 少し気になるし、やってみよ。

「分かりました」

 ヒュドラと対峙したときの感覚。
 あのときの感覚を呼び覚まし、徐々に、徐々に感覚を研ぎさ増していく。
 
 やがて、あのときの感覚を完全に取り戻すと。
 指輪が光を放ち出し、プロジェクターの様な感じで、空中に映像が写し出された。

◆◆◆

Намаэ(名前)
:ハルト・タカハシ
Нэнрэи(年齢)
:18
Сэибэцу(性別)
:男
Тандзёуби(誕生日)
:7月25日
Сюдзоку(種族)
:人間
Рэбэру(レベル)
:1/12
Кинрёку(筋力)
:3/10
Сюнбин(俊敏)
:5/10
Марёку(魔力)
:2/10
Махоурёку(魔法力)
:2/10

◆◆◆
 
「意外とハルトは、普通だったんだな……」

「えぇ……」

ーーー

【世界観ちょい足しコーナー】

『魔法力』
 ︎魔法の威力であり、制御力であり、干渉力である

〇その他
筋力 ︎その者の力
俊敏 ︎その者の速さ
魔力 ︎その者の最大魔力許容量(増えることは無い)

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