最強カップルの英雄神話~チート転生者と最強神姫がダンジョンを攻略して、四年後に破滅する異世界を救う物語!!~

初心なグミ

王との謁見


 城の中へと足を踏み入れた。
 その城は、どちらかと言えば神殿に近いのだが、神殿かと聞かれればイエスと答え難い。
 
 そんな城の中には、沢山の目を奪われる物が合った。
 大小それぞれの絵画は、繊細なタッチによって仕上げられており、一目でその価値を理解出来る代物で。
 精巧な造りの石像は、肉体美を感じさせる物が多く、この世界の芸術センスが地球と同じであることを理解した。
 やはり何処の世界でも人は、エロスに目を惹かれてしまう運命にあるのかも知れない。
 
 そんな美術品を物珍しさに僕が見ていると、みんなから勘違いされてしまい、エマに「エッチ」と言われた。
 その言葉は普通なら罵倒なのだが、最近の僕は感覚が麻痺しており、ご褒美だと解釈しているのだ。
 そんな僕は今、新たな黒歴史誕生の果てに、グレース王の御前に跪いて居た。

「エマよ、この者は何だ」

 王座に儼乎たる姿勢で座っている王は、その反面で何処か優しい印象を与える顔だ。
 そんな王がエマに問うと、同じく跪いて居たエマは、その顔を上げて答える。

「はっ! この者は我等の命の恩人で御座います」

 言葉を紡ぎ終えたエマは、再度頭を下げた。
 その姿の何と凛々しく、美しいことか。
 顔を伏せながらも、横目で見ていた僕の心を、ぎゅっと掴んでは離してくれない。

(カッコイイなぁ……)

 そんな格好の良いエマに近づく為に、より一層無礼の無い様にしなくてはと、そう思った。

「ふむ……それは誠か? 名も知らぬ者よ」

 名も知らぬ者とは、おそらく僕のことだろう。
 ココは大事な場面だ、絶対に間違える訳にはいかない。
 気合いを入れた僕は、顔を上げて謙虚に、だけど力強くその言葉を紡いでいく。

「はっ! 左様に御座います。あのときはエマさん以外が蘇生中で、唯一戦えるエマさんもボロボロでした。そんな状況でしたから、最悪全滅も合ったと、自身がおっしゃっておりました。で、あるからこそ! 間に合うことが出来たことを、心よりに思っております!」

 出来る限り自分を下げて、出来る限り相手を上げる。
 しかしながら自分の有用性を示す為に、その功績を遠回しにアピールしなくてはならないのだ。
 その塩梅が良く分かっておらず、平然を装っている僕の心臓はずっと、ドクンドクンと鼓動を鳴らしている。

(あぁヤバいかも……滅茶苦茶顔に影が着いてるし、何も反応が無い。これ、死んだかも…………オワタ)

 人生が終わったと思った。
 そう思ってしまう程に、恐かった。
 しかし、そんな得体の知れない無味無臭の恐怖は、大きな哄笑に絆されて消えることになる。

「ハーハッハッハッハ!! そなたは誇りと申すか!! なるほど、中々どうして謙虚だっ! よかろう、我に名を名乗ることを許そうぞ!!」

 誇りとは、それ即ち。
 自尊心であり、自惚れであり、名誉と思うこと、そのものである。
 故に王は、陽翔の言い分をこう受け取ったのだ。
 ──我等を助けることに品位を感じ、それを守ることを最大の名誉とする救世主。
 で、あるからこそ、その様な献身的で謙虚な陽翔に、王が自ら名乗り出ることを許したのだ。

「王よ、その大心遣い有り難き幸せに存じます……」

 僕はそう言うと、深く頭を下げ。
 その目を、王へと真っ直ぐに見詰めた。

「名をハルト・タカハシ」

 まずは、堂々と名前を名乗り。

「この命を拾ってくださった、慈悲深い女神様にこの世界を救う使命を賜り。この指輪と共に、異なる世界より馳せ参じた」

 僕の神器である三つの指輪を見せつつ、そして女神様の存在をアピールし。
 最後に、その身分を明かす。

「使徒に御座います」

 と、キリッとした目付きと姿勢で。

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